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沈黙の艦隊(著:かわぐちかいじ)【この作品はマンガ紹介で語れるようなチープな作品ではないのだ「じゃあ、なんだというんだ!」独立国【やまと】「な、なにぃぃぃっ」「や、奴は狂ってるっ」】

90年代初頭。
日本の相対的国力が絶頂期だった時代。
日本は押しも押されもせぬ世界ナンバー2となり、
望む望まないに関わらず、
ソ連を下したアメリカとの水面下での死闘が始まっていたのでした。

誰が世界の頂点に立つのか。
たとえ望まなくても、戦いは勝手に始まってしまう。
それが世界だ。

そんな時代を背景にした、
日米対決。
しかも潜水艦のマンガ。

ひとりの男が、
最新鋭の潜水艦で反逆を起こし、
それを使って、なにやらとんでもないことを始める。
ただの反乱でもないし、
まだかろうじて残っていたソ連圏への亡命でもなく、
再び日本を大国化させるためでもない?

いったい、この男は何を目的にしてるんだ?

↑ 今頃に映画化。じ、自分、観ていませんっっ


そしてその男、海江田の操る潜水艦が、
たった一隻で並み居る敵艦を次から次へと返り討ちにしていく。

戦争アクションであると同時に、
政治サスペンスでもある。



私は特に、政治外交の部分が気に入ってた。
最初のうちこそ、潜水艦「やまと」の戦闘シーンに期待していたが、
舞台裏とも言える外交シーンが、だんだんと白眉になってくる。

特に敵であるアメリカのベネット大統領が、いい!
小男ながら恐るべきマキャベリズムで日本を圧死させようとしてくるが、
その都度、海江田と日本政府の逆転劇で、状況を覆されてしまう。
別に間違ったことをしているわけではない。
作中、ベネットほど有能な人物は他にいないのだが、

時代を変化させる風が直撃するとき、名君はどう判断するのか?

というモデルケースになっていて、すごく歴史スキは興奮するのだ。
君子は豹変するのだ!



また日本の議会での政策編。
「やまと」の接近を受けて、日本では国策を根本的に変えるために、
民主国家なので国民にアピールしての選挙を始める。
この選挙戦がいい!

本来はこうあるべきなんだけど、
残念ながら現実の日本では一度もこんな場面は観られた試しがない。

ヒトラー、トランプ、ブレグジット、
ポピュリズムの愚行と呼ばれるけど、
元来は間違った選択さえできるのが本当の民主主義。
賢人に管理された民主主義は民主主義とは言えないはず。

アツイテーマを語り、国民の心に直接に訴えかける。
そんな熱い時代が、かつて日本史にあっただろうか?

悲報!卵氏、ゆであがる(嘘)



そしてもちろん潜水艦戦、艦隊戦がいい!

潜水艦戦争アクションだから当たり前だけど、
男と男の戦いの駆け引きがいい!
強いから勝つのではない。策で勝つのだ。

特に潜水艦戦は騙し合いバトルであり、
「ジョジョの奇妙な冒険」みたいに、
カードを伏せて戦うスタイル。
こちらの裏をかく相手の、さらに裏をかく。

この状況で逆転できる保険がまだあるんですかっ?

猫艦長、潜水艦戦体験日記より(嘘)

バトルマンガしてる。

最近、映画化されたそうだけど・・・・
正直いって今更感がする。
もう日本は良くも悪くもナンバー2ではないのだ。

あの絶頂期の日本で、
これからどうすればいいんだ?
とか言われてた時代だから、本作に価値があったんだと思う。
時代から外れたら、それほど心にも響かない。

次の絶頂期が来たら、
あの時はこんなのが流行った、とかいって話題になるかもだけど。


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