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読書日記・幸せなことなんじゃないか

12月1日(金)

クリスマスツリーを出すのを忘れている。毎年11月中には出しているというのに、今年は「あ!クリスマスツリー出さなきゃ!!」と毎日言い続けながら、言ったそばから忘れていくので、結局ツリーが出せていない。早く出さなきゃ(その後、10日までツリーのことは忘れられる)。

12月2日(土)

江國香織さんの『シェニール織とか黄肉のメロンとか』を読んでいる。学生時代から仲の良かった3人の女性たち。それぞれの生き方が大きく異なっていても、友情がずっと続いていてステキだなぁと思いながら読みふける。毎晩のようにワインを飲んでいるのも良い。お酒の登場する物語ってそれだけで魅力的に思える。

12月3日(日)

相変わらず『シェニール織とか黄肉のメロンとか』を読む。作家の民子、自由人の理枝、主婦の早希。この3人が主軸となって物語は進むんだけど、一番共感したのは、民子のお母さんである薫さん。80歳をこえても老人扱いされたくない!と思っている薫さん。しかし時々、娘たちや若い人たちが何を言っているのかわからないと思うこともあって、でもわからないと思いながらも当たり障りのない返答をしながらやりすごしていく、そんな薫さんの姿がまるで自分だったので面白かった。

12月4日(月)

『シェニール織とか黄肉のメロンとか』も面白いんだけど、ちょっと気分を変えて『沈黙の果て』の下巻も読む。『シェニール織とか黄肉のメロンとか』の平和な世界と打って変わって、『沈黙の果て』の言葉で表しにくい闇のようなものに体ごと飲み込まれるかのような気持ちになり、でもこの感覚もクセになっているので読書って不思議だなと思う。

絶対にイヤだと思うような内容のものでも、読んでみたら「もっともっと読みたい!!」と思えるものもあったりするもんね。『沈黙の果て』はまさに「もっともっと読みたい!」と思える作品だった。でも読み返したくはないし、自分のメンタルがやられているときは読みたくないかも、とは思う。

12月5日(火)

犬の通院日。経過観察でOKとのことでホッとする。無事に終わって良かったね!と犬に声をかけたら、めちゃくちゃ怒りながら吠えられた。きっと「病院に連れて行きやがってどういうつもりだ!!」と文句を言っているんだろう、と推察されるものの、これも君の健康を守るためなんだよ、と説明しても犬はまったく聞いていない。まあまあ落ち着いて、と体をなでようとしたら、ピョイーンと後方に飛び跳ねて拒否された。拒否されているのに「後ろにジャンプできるなんてスゴイじゃん!!」と称賛してしまった。

12月6日(水)

『シェニール織とか黄肉のメロンとか』を読み終わる。友達の関係は、双方が努力しなければ続かないんだろうな、と漠然と思っていたんだけど、この本を読むと、肩の力を抜いても続いていく、そんな友情も世の中にはあるのかもしれないなと思えた。

自分勝手とマイペースと絶妙な思いやりで生きる理枝の姿、そしてそんな理枝のふるまいに付き合い続ける民子と早希の、あきらめにも似た愛情がとても心地よくて、こんな風に年齢を重ねられたらなぁと憧れてしまう部分もあった。

江國さんの描く世界は、江國さんご自身が生きている世界そのもののように思えて、だから江國さんは私とは別次元で生きているんだと昔からずっと思っていて、江國さんの世界に魅了され続けてきた人生だったなぁと気づいた。もちろんこれからも、江國作品に魅了され続けるつもりなんだけど、これってとても幸せなことなんじゃないかと思った。

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