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みなさんの宝物[保存版]

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お世話になっているnoterさんの作品をひとつか2つずつ、少しずつ集めさせて頂きます。
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#私の作品紹介

連載小説(50) | 最終話 | 漂着ちゃん

連載小説(50) | 最終話 | 漂着ちゃん

 エヴァが死んだことを、現場にいた者たちはみな理解した。重々しい空気が流れた。
 しかし、エヴァの死に顔を見ると、みな顔を見合わせた。

 私にはエヴァはどう見ても微笑んでいるようにしか見えなかった。胸に刺さったままのナイフ。
 凄惨な血の流れとエヴァの微笑は、どう見てもアンバランスだ。

 エヴァを失くした悲しみよりも、私が真っ先に思ったのは「なにを考えて死んでいったのだろう?」ということだった

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連載小説①漂着ちゃん

連載小説①漂着ちゃん

 リュックサックにロープだけ入れて山を目指した。日に数人しか利用客がいないような駅だったらどこでも良かった。駅周辺には、数件の家屋しか見えない。そこに魅力を感じたから下車した。

 細い道が一本あって山頂へとつづいている。けもの道だろう。だったらなおさら好都合だ。道なりに進んで行った。それにしても長い道である。もうすでに人家はひとつも見えなくなっていた。なのに道はどこまでもつづく。

 何時間歩き

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編み物自己満作品をご紹介します♪/編み物おばさんの「今」

編み物自己満作品をご紹介します♪/編み物おばさんの「今」

来週末、ステンドグラス作家をしている妹が某マルシェに出店します。主催者の意向で、屋号を持っていない人の作品も出せるということで、以前も2度、私の作品を置いてもらいました。

妹はマルシェに出店する事を目標にして来たので、その夢が叶ったばかりか、最近はある会社からお誘いを頂き、店舗を使ってワークショップも月1で行っており、大活躍〜♪
ただ、他の事ができない事が悩みなんだそうで、しばらくマルシェはお休

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草の花冠

草の花冠

小学生の時
友だちのお姉さんと
一度だけ
ふたりきりで
遊んだことがある

背が高くて
とってもきれいな
お姉さんに誘われて

まだ小学六年のお姉さんでも
ぼくには立派な
大人の女の人に見えた

草原のまん中に座って
お姉さんは器用に
草花で冠を作り
ぼくの頭に被せた
「うん。似合ってるよ、きみ」
「女みたいで嫌だなあ、ぼく」
「そんなこと、ないってば」
くすくす、くすくす
太陽のように笑いながら

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