#私の作品紹介
連載小説(50) | 最終話 | 漂着ちゃん
エヴァが死んだことを、現場にいた者たちはみな理解した。重々しい空気が流れた。
しかし、エヴァの死に顔を見ると、みな顔を見合わせた。
私にはエヴァはどう見ても微笑んでいるようにしか見えなかった。胸に刺さったままのナイフ。
凄惨な血の流れとエヴァの微笑は、どう見てもアンバランスだ。
エヴァを失くした悲しみよりも、私が真っ先に思ったのは「なにを考えて死んでいったのだろう?」ということだった
連載小説①漂着ちゃん
リュックサックにロープだけ入れて山を目指した。日に数人しか利用客がいないような駅だったらどこでも良かった。駅周辺には、数件の家屋しか見えない。そこに魅力を感じたから下車した。
細い道が一本あって山頂へとつづいている。けもの道だろう。だったらなおさら好都合だ。道なりに進んで行った。それにしても長い道である。もうすでに人家はひとつも見えなくなっていた。なのに道はどこまでもつづく。
何時間歩き