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ライターと子育てとの両立の悩み。取材ライター歴11年のプロ・渡辺まりこさんから答えのヒントをいただく

先日、地方在住取材ライターとして活躍されている渡辺まりこさんにポートフォリオを添削していただき、昨日の夜は「取材ライター案件獲得セミナー」を受講した。

結論として、まりこさんのアドバイスや講義内容は大変素晴らしかった。プロのノウハウや視点をリアルな言葉で知ることができたし、何より「自分の中でぼんやりしていた働き方へのモヤモヤ」を見直して、軌道修正するきっかけになった。

情報漏洩になってしまうので、講義で何を得たのか具体的にはここには書かない。
「自分の中でぼんやりしていた働き方へのモヤモヤ」を見直して、軌道修正できたことについて、自分でも整理しながら書いてみようと思う。

仕事が楽しくて案件を増やしたいけど子どもが…

添削や講義を申し込む際に、質問や悩みを書く欄があった。

ちょこちょこ悩みは浮かぶが、どれも「それは基礎練と実戦を繰り返して、体得していくしかないよなーたぶん」という、ある程度の答えを自分の中で出していた。

ふと、唯一答えがいまいち見えてこない課題がひとつ見つかった。

「もっと案件を増やしたいが、子どもが突発的に体調不良で休むことなどを考えると不安でなかなか踏み込めない(その場合、近くに頼れる人・場所が少ない。病児保育に預けるのは金銭的に現実的でない)ことです」

私には今、幼稚園の年中の娘が1人いる。娘が幼稚園に行っている間に仕事をし、突発的に休むことになってもこの働き方なら対応できる、それが魅力で選んだと言ってもいい。

3歳から集団生活に入った娘は、いまだに毎月1〜2回は必ず体調不良で休んでいる。それも、1回につき早くて3日、長いと1週間ほどかかる。ちょうど先週も月曜以外の曜日は全て休んでいた(今日から無事登園再開!バンザイ!!)

そういう状況のため、今受けている案件の数は月に2〜3件のみ。
これなら育児も家しごともプライベートも全く無理なくできる。

私自身、元々体力もなく体調を崩しやすい体質である。特に今年の夏は辛かった…。そんな中、育児も家事も仕事もとなると、なかなか私にとってはヘビーだ。だからこそ、今のバランスがベストだと思っていた。

しかし、この秋から取り組んでいる案件が面白いのでもっと増やしたいなぁという欲が出てきたのである。じゃあ、今の状況だと1番心配になるのが「取材の日に突発的に娘が病気になったらどうしよう」ということだ。

うちは夫婦ともに両親は遠方にいるので、当日いきなりお願いするのは不可能だ。実際、近くにいたとしても私の両親はまだ仕事をしているし、このご時世だと感染症の怖れがある場合は、高齢者に病気の子どもを「預かって」というのも気が引けるかもしれない。

そのために、世の中には「病児保育預かりサービス」という素晴らしいサービスがある。もちろん、そのような状況で預かってくれるのだから対価としてはそれなりの金額になる。

私は回答に「金銭的に現実的でない」と書いたけれど、それも確かに理由としては大きい。今の娘のペースだと、月に数万は飛んでいくだろうから。今の私の稼ぎでは、トントンどころかマイナスだろう。

でも、正直そこは「キャリアをつなぐ」ための必要経費だと思うので、そうと決めたら別に痛い出費だと思わないと思う、私の性格としては。

もし自分で払えない状況なら、夫に頭を下げてお願いするのもアリだ。うちの夫はそういうことに関しては、おそらく100%賛同してくれるタイプである。

じゃあなぜこんなに躊躇する気持ちになるのか、自分では特に分析することもせずボンヤリと抱えたまま日々を過ごしていたと思う。

仕事と同じくらい、まだまだ子育てもしたい!

そんな中、渡辺まりこさんとのやりとりの中で、そのことについて改めて向き合うときが来たのだった。

まりこさんは個別に送ってくださった回答動画の中で、「答えはないけど」と言いつつも、ご自身の経験をもとに真剣に考え、その思いを話してくださった。そして、それをきっかけに私の中でこの悩みに対する答えのようなものが見えてきた。

「そうか、私は『仕事をしたい』と思う気持ちと同じくらい『子育てをしたい』んだ」

私がもっと若い頃に考えていた、人生でやってみたいことの第1位は実は「子育て」だった。私は小さい頃から家族と過ごすことが大好きな子どもで、大人になってからも「仕事をしている時間」が「家族と過ごす時間」を脅かすくらいの長時間労働になるなら全然やめるぜ!という思考の持ち主だった。

特に「やりたい!」と心が躍る仕事に出会ったこともなく、いつも「生活のために金銭を得るための手段」だと割り切って働いていた。

しかし、結婚してからのんびりしていたせいもあるが、実際には30代後半までなかなか子どもを授からなかった。

社畜の夫の平日の帰りは基本的に「午前様」。私は派遣で働いて定時で帰ってくるが、毎晩1人でテレビを見ながら晩ごはんを食べる。夫が多忙な時期は、会社で徹夜をしたり土日も出勤したりして、一緒に過ごす時間が週にわずか数時間ということも度々あった。

家族と過ごす時間が好きだったのに、新しく作った家庭では1人で過ごす時間があまりにも長すぎた。寂しい。不妊治療もなかなか実を結ばないし、夫とも一時期とても仲が悪くなって、ますます子どもを授かることは遠い夢になった。

※そこから娘を授かるまでの話はここでは割愛しますが、以前そのことを書いたnoteがあるので貼っておきます。

念願の娘が生まれて、私は「人生で1番やってみたかったことができる!!!」と子育てに思いっきりフルコミットすることにした。
介護のパートも出産前にやめてしまったし、夫も「構わない」と言ってくれているし、そのまま嬉々として専業主婦になった。

とはいえ、初めての育児はもちろん楽しいばかりではないし辛いことも多かった。それもここでは詳しくは書かないけれど、トータルで振り返ると充実していたと思う。

娘が2歳くらいの頃のことで、忘れられない瞬間がある。
ようやく言葉も少しずつ話せるようになってきている娘に、平日のお昼にごはんを食べさせている時だった。

「おかぁしゃん、おいちいね」

と言ってにこにこ笑う娘の笑顔。その瞬間、私は昔自分が1人で夕飯を食べていた頃の気持ちを鮮明に思い出したのだった。

この頃の娘は、ひとくち食べるたびに「おいちいね」を言ってくれた。

娘と、ごはんを「おいしいね」と言い合いながら食べる。それって、数年前の私にとっては遠い遠い、夢のまた夢の話だったはずだ。
それが今こうして、思い描いていた最高の形になって現実になっている。

娘は、毎日私の夢を叶えてくれているんだなあ。
そう、思ったのだった。

娘が望んでいるというより「私が」そばにいたいのだ


だいぶ話が飛んでいってしまったけれど、私の中にはまだまだ「子育てにもコミットしたい」という思いが、実は隠れていたことに気がついたのだった。

娘も幼稚園に入園した頃は「やったー!自分の時間ができた!そろそろ社会復帰もしたいなぁ」とワクワクしていた。
アフターコロナの世界ではリモートワークが常識になり、昔から「書くこと」は好きだったことやリモートでの働き方に魅力を感じて、思い切ってライターの世界に飛び込んだ。
ライターの仕事はやはり今まで経験してきたどんな仕事よりも楽しくて、長く続けていきたいなと思っている。

そんな中、「子育てとの両立って難しい」という感覚が生まれたのだが、実はそこに潜んでいるのは「もっと自分が娘のそばにいたいと思っている」という感情なのだった。

病児保育を利用することに踏み切れない理由で、もう一つ思い出したことがある。

私がまだ幼い頃、熱を出して保育園を休んでいた時の、とても心細い気持ちだ。
熱が出てしんどくて、扉を1枚隔てた台所に母がいるのはわかっているのに、そばにいないととても心細く、泣きたいような気持ちになった。

その記憶が強いので、どうしても「病気の時は娘のそばにいたい」と思ってしまうようだ。

実際、病児保育ならいざという場面でもプロが対応してくれるから素人の私がそばにいるよりもはるかに安心だし、子どもが寂しくならないように配慮してくれることも知っている。子どもも、大体の子は親と離れる瞬間は泣くかもしれないが、姿が見えなくなればすぐに環境に順応することもわかっている。

それをわかっていても躊躇するのは、他でもない「私」がそうしたいと望んでいるからなのだ。

そういう思いがあるうちは、今後はやりたい仕事と、やりたい育児のバランスを取ることが先決なんだなと、何かが一気に腑に落ちたのだった。

目標は細く長く、楽しく続けていくこと

まずは、娘の免疫がついて体が丈夫になるまで、休む頻度がもう少し減るまでは、仕事はしばらくこのままゆっくり運転で行こうと決めた。

それまでは育児も楽しみつつ、私もゆっくりと子離れしていこう。人生や状況の潮目を読みながら、アクセルを踏んだり緩めたりすればいい。

自分の人生の舵取りをするのは自分だ。

仕事の案件とか収入の額とか、状況は何も変わってないかもしれないけれど「仕事の案件を増やしたいなぁ…でも子どものこと考えると不安だなぁ…」となんとなく思いながら過ごしているのと、「今は敢えてそうしたいからそうするんだ」と主体的に過ごしているのでは、多分全く違う。


今回、このような自分の人生を立ち止まって考えるきっかけをくださった渡辺まりこさんには、改めて感謝申し上げます。

駆け出しライターのゆっくり運転、じれったいかもしれませんがこういうタイプもいるんだな〜と、なま温かい目で見守ってくださると大変嬉しいです。

長文になってしまいましたが、読んでくださってありがとうございました!


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