マガジンのカバー画像

創作シリーズ

63
Aoyが過去に創作した作品集です
運営しているクリエイター

記事一覧

[創作]心の戦争を起こしてしまって

[創作]心の戦争を起こしてしまって

先達、高まる欲望と憎しみを克服して、平和を勝ち取った先達の方々。

私たちはもう戦争はしない国となりました。

戦争はしない国となりましたが、私たちは心に戦争を作ってしまいました。

すみません。

ごめんなさい。

かつてあれ程の生きてるかも死んでるかも分からない毎日を生き抜かれたあなたたちが作った国を、私たちはもう一度不幸にしてしまいました。

あなたたちの苦労を、考えなかったのです。

戦争

もっとみる
[創作]喝!喝!

[創作]喝!喝!

父親は息子のことをお前と言うくせに、息子からお前と言われることは嫌らしい。

あえて言おう、断じて嫌らしい。

一人の青年が素振りをしていた。

竹刀を振りかざしている。

青年は一つ一つ、一回一回に言う。

1回目

「死ね!」

2回目

「不満!」

3回目

「効率!」

4回目

「有意義!」

5回目

「矛盾!」

6回目

「愚か!」

7回目

「期待!」

8回目

「段取り!

もっとみる
[創作]高校生概論

[創作]高校生概論

青いとは、欠落である。故に若さとは、欠落である。

足りないもの同士、出会う。

だからこそ彼らは間違う。

でもそれは必要なことなのだよ。

彼らは青かったのだよ。全体的に。

だからみんな間違ってるな。 

だから心配いらない。

あなたが血迷っていれば、彼らもまた血迷っている。

そこで愛を持つ者がいれば、

それは自己愛の宝に映るな。

しかし年配の方から見れば、劣等の猪に見えるだろう。

もっとみる

[創作]阿呆

「こやつ、息子が自殺未遂しとったのに、まだ有意義に縛られちょる。

まだ期待しちょる。

その期待が息子を殺したがな。

何遍お前は輪廻すれば気が済むんじゃ。

どれだけお前は変わらねえんじゃ。

この阿呆。」

[創作]悩める人のみこの論文を聞く

私はあなた方に褒めてもらうために賞を取ったのではありません。

あなた方が影響を与えないこの日本を変えるために、行動した結果、賞を二次的に受賞しただけです。

私は教祖になりたいわけではありません。

故に私はあなた方の面倒を見ることはできません。

そんなことのために、私はやっているのではないのです。

それは私が18の時から言っていることです。

[創作]季節の匂い

[創作]季節の匂い

小さい頃から、感じていたの。

大きくなって、部活や体育祭は楽しくなかったけど、

そのときにも感じていたの。

その季節の匂い。

春の新芽、夏の盆、秋の冷ややか、冬の太陽。

機能不全で僕の体調は悪かったけれど、

外では草木の匂いがしたの。

草木の匂いに、夏の盆。

盆の暮れに、人の祭り。

神隠しが好きなんだ。

きっと神様は僕たち子ども。

無邪気で朗らか、曇りなく。

人は生きて死ぬ

もっとみる
[創作]やったことは届いていた

[創作]やったことは届いていた

今にきて、私のやったことが、かつての私の苦しみが、仲間となって声援となって、届いた。

そもそも考えてみれば、世の凶悪犯罪と私たちは変わらない人間だ。

そこを初めての点にしない限り、私たちは真の意味での平和を選択することはできない。

私たちは何にもなる巨魁であり巨悪だ。

しかしこうしてまた自己認識をしていくことで、私は創作活動をし続けてきた。

他者が、いた。
他者が私たちの前にいたのだ。

もっとみる
[創作]大経営者と話すのは簡単だが、大学の課題をやるのは難しい

[創作]大経営者と話すのは簡単だが、大学の課題をやるのは難しい

どこかの会社の社長とか、大経営者と話をすることは全然簡単だ。

だって日常が彼らのような人たちの思考と思想に支えられた日常を過ごしているから。

でも大学の授業の課題は、難しい。

怖くて、できない。

とてつもなく怖い。

できなかったらどうしよう、

もし提出の仕方をミスったら?

間違って違う資料を添付してしまったら?

そうすることによって自分の自尊心が傷ついたら?

ああ恐ろしい、恐ろし

もっとみる
[創作]就職したことによって、休むことができました

[創作]就職したことによって、休むことができました

就職してよかったことは、休めるようになったことです。

なぜならお金、があるからです。

お金を稼いでいるうちは、自分を頑張らせなくていい理由ができる。

逆にお金を一銭も稼げていなかったときは、毎日が過労でした。

本当はそんなこと、しなくてもよかったのにね。

だけどしょうがないのです。ほんとうに、しようがない。

就職してからは口実ができるのですよ、働いているから休んでいい。お金を稼いだから

もっとみる
[創作]尊き普通の世界

[創作]尊き普通の世界

その男子は、先生との話も深まったことにより、多少の冗談を言ってもいい雰囲気を察知した。

もとより普く議論において最も崇高とされる行為は談笑であり、お互いが心を開け放す"冗談"を言える空気こそが議論としてふさわしい、と男子は知っていたからだ。

「先生、そんなことを言っていますが、実際のところ他者に分別をと言っているその"分別''すらも、結局のとこ生きるための執着ではないのですか?」

男子は若干

もっとみる
[創作]誰よりも優しいあの人は

[創作]誰よりも優しいあの人は

世界でも高く支持された一流の人間が亡くなった。

生前、その人物は滅多に怒ることはなかった。

「歴史の史実と比較しても、この人は現代的なところで聖人と言われるに値する人間であろう」とまで評価された人物は、90歳を超え100歳近くで亡くなった。

その人物は出会った人の素質を生かし、つねに世の中に価値を創造し、そして怒らなかった。

数々の賞を受賞し、それでも一つも驕った様子を見せないその様は、こ

もっとみる
[創作]経営の質を向上させたいから小説を買いに行こう。暇つぶししたいから、自己啓発本を買おう。

[創作]経営の質を向上させたいから小説を買いに行こう。暇つぶししたいから、自己啓発本を買おう。

成功者=暇人、は考える。

経営の質も向上させたいし、よし、小説を買いに行こう。

時間潰したいし、よし、自己啓発本を買いに行こう。

[創作]もう終わりと言われた離脱者は

[創作]もう終わりと言われた離脱者は

プロの世界の第一線から身を引いた青年は、師のもとへやってきた。

その青年は世間からはもう終わった人間だ、と揶揄された。

師匠の前で青年は素直な気持ちを吐いた。

「第一線でやってきましたけど、プロになるにしたがってやはり商業というか、結果に皆が血眼になる世界だと思います。実際に僕もその渦に巻き込まれた1人で、結果が全てだ、結果を出せなければ死刑、というような雰囲気がふんだんにありました。

もっとみる
[創作]あいつだけが知っていた.

[創作]あいつだけが知っていた.

小さな女の子が大怪我をして、泣いていた。

優しい大人、たちはその子に駆け寄った。

「名前はなんていうの?」

「救急車を!いやまずは警察に連絡を!!」

「この子の親はどこにいるのですか!?」

優しい大人たちは必死に女の子の身辺整理を始めた。

女の子は泣き止むことがなかった。

そこに悪人の嫌われ者の奴、が現れた。

嫌われ者の奴、はまたたく女の子のもとまで駆け寄った。

そして女の子を抱

もっとみる