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【こんな場所に出会いたかった⑦】誰も排除しないから、カオスなほど多様な人があつまる、頼れる居場所~富士市「ゆめ・まち・ねっと」大人との関わり編~

■最初に

こんにちは!サイボウズのもっちーです😊

静岡県庁を38歳で退職し、今は子ども若者のためにたくさんの活動をされている、渡部達也さん(以下:たっちゃん)と美樹さん(以下:みっきぃ)のご夫婦がたくさんの活動をされている、NPO法人ゆめ・まち・ねっとさんのシリーズです。

前回は、関わりのある子どもたちの姿をご紹介しました✨✨

今回は、大人との関わり編です!
来ている子の親との関わりや、地域の大人の方との関わりについて、どんな関わり方をしているのかお伝えします。

以前の記事
⓪「子どもたちへのまなざし」の紹介記事はこちら
① 活動の紹介編はこちら
② 視察・体験編はこちら
③ 発達障碍のお勉強編はこちら
④たっちゃんの軌跡編はこちら
⑤県庁を辞めて相棒との活動編はこちら
⑥子どもたちの姿から編はこちら

※障碍(者)の文字について
これからは、障碍と書きますと宣言した理由はこちらの記事から

■大人との関わり


【基本的には子ども・若者】


基本的に、子ども・若者の居場所、遊び場としているので、
「完全無料・親の申し込み不要」
として、当初からやっています。

小学生も中学生も働いてないから
というシンプルな理由もありますが、

親子関係が悪い家庭の子どもに出会いたい
という想いもあります。

親子関係が悪いのに、親に申し込みをしてもらう、これってとってもハードルが高いことなので、親の申し込み不要としているといいます。

子ども食堂も、親は不参加、それにはこんな理由もありました。

「親子でわいわい、楽しいねって食事してる場所のイメージになっちゃうと、それを見て嫉妬や劣等感を覚えたり、卑下したりするような子がこなくなちゃう。
うちの親はこういう場所に一緒に来てくれない。
あんなふうに笑ってくれない。
そんな想いで親子参加の場を見ることになり、足が向かなくなるんじゃないかな。」

子ども・若者はもちろん、関わる大人にも開けた場ですが、子ども・若者の中でも、特に他ではつながりにくい子とつながりたい想いが強いことを感じました。


【来ている子の親との関わり】


たごっこパークやおもしろ荘、むすびめなど、ほとんど毎日子どもがいる生活ですが、子どもたちの親につながることは少ないそうです。

ただ、本のエピソードにもあるのですが、親とつながることもあります。
時にはおもしろ荘に頻度高くくることもあったそうです。

お父さんが家出した娘のことで、相談しに来たことも。
その時は、相談の最中にビール見つけて、飲めますか?って、飲みながら身の上話や、お父さんとしての苦労話を聴いたそうです。

また子どもを通じてつながることもあります。
子どもがおもしろ荘に来るようになり、お母さんが一緒にくることで、つながり、
もし必要ならお米とかトイレットペーパーとか、お渡しできるから、いつでも連絡してねって言ったら、連絡くれて今でもつながっている。

あとは自分自身が困ってなくても、ママ友で困ってる人を、「頼りになる人いるんだよ」って紹介してくるっていうケースもあります。


【大人との関わり】


親以外の大人の方にも、関わりがあります。

ある時、たごっこパークに行ったら、ホームレス状態の人が住んでいたこともあるし、おもしろ荘にも来るよ、そういう不思議なおじさんおばさん。
と、たっちゃん。

そういう方たちとはどう過ごすのですか?

ひたすら話を聴いてあげる感じかな?嘘だろうと思うようなことも多いんだけど。

大人にも頼りにされているのは、ふでパンやワンコインゼミなどの活動があるからだけではありません。

その人が生きやすくなるようにと考えていることが、根本にあるからだとお話を聴いて感じました。


【その人が生きやすくなるように】


自分1人で抱え込んで、問題が増えていって、どうにもならなくて困っている人が来ることもあります。

大変だねって、傾聴してあげるってのも本当に大切だと思います。
でも、状況によってはその段階ではなく、1つでも何かが解決できることで、他の困りごとにも解決の希望を見出すこともありますよね。

そのうち電気もガスも止められちゃうとか、なんとかなるやつは、なんとかしてあげた方がいいんじゃないの?って、考えています。
ときには急場凌ぎの生活費を渡すこともあります。

児童扶養手当がもらえるよとか、就学援助受ければ学校のお金の負担がなくなるよとか、
場合によっては、生活保護を申請しましょうとか、
手当てや支援を知らない人もいるので教えてあげたり、知ってはいるけど、どう手続きしたらいいのかわからないという人には、
一緒に申請書を書きましょう、一緒に市役所にいきましょうと・・。

公共料金の滞納や借金の問題などは、電話で支払いについて交渉してあげたりと、課題を1つずつ整理しながら、一緒に考えていくことにしています。


【ある1人のお母さん】


出会ったお母さんにお話を聴いた時、こんなことを言っていました。

たっちゃんのところに出会って、
子どものことを重く考えられるようになって、
自分の気持ちが軽くなった

話を聴くと、この方も本当に大変な経験をしてきていました。
その中で、いろいろな問題が重なり、追い詰められていた気持ちや、子どもに宿題を"やらさなければならない”という気持ちから、時にはお子さんを叩いてしまうこともあったといいます。

そんな中で、みっきぃの民生委員の活動から、ゆめ・まち・ねっととつながり、ワンコインゼミや、たごっこパークなど、様々な活動を通して、たっちゃんやみっきぃに相談し、一緒に問題解決をしてもらったことで、

今では、自分の中で子どものことを重く受け止める(とても大事に考えられる)ようになった、そう考えられてから、自分の心は軽くなったとお話くださいました。


【制度のはざまの人】


福祉や支援って、専門的になればなるほど、あるいは公的になればなるほど、守備範囲が狭くなっていきますよね。
そういう、支援のはざまにいる子ども・若者あるいは大人が多く訪れます。

そこにいつでも対応できるように、” 公的制度に乗っかった取り組み ”をせず、フリーハンドでいるというのは、当初から思っていたこと。

例えば、放課後デイサービスのようにすると、当然、障碍のある子しか受け入れられないし、放課後は必ずやらなきゃならなくなる。
一方で、6時で終わりとか、対応する時間が決まっていて、対応する人も決まってくる。
個別の特別な配慮はしてあげられないし、もらっている参加費への対価としてのサービスしか提供できない。
診断されている障碍の程度に応じたサービスしか提供できない。
など課題が山積してしまう。


放課後毎日、おもしろ荘やむすびめを開いているとはいえ、公的制度ではないので、関わっている子どもに切羽詰まった困りごとが生じれば、臨時休止にして、そちらに対応をするこもある。

逆に夜7時で閉めようと思っていたけど、久しぶりの若者が相談に訪れたから、夜9時、10時まで延長して話を聞くということもある。

そのときそのとき、
最も困っている子ども・若者、あるいは大人に特別な対応をすることは日常茶飯事
といいます。

近年流行りのダイバーシティというのを意識したことはない。
だけど、気づいたらダイバーシティというよりはカオスという言葉がぴったりな、多様な人が集う居場所になっていた

こんな支援対象の人、受け入れていますとやってきたわけでもない。だけど、誰でも来て良さそうに見えるので、
僕でも私でも大丈夫ですか?
って来てくれるんでしょう。
求めてくれれば、誰でもどうぞ「ようこそ」って感じ。

そうお話くださいました。


■最後に

誰でもどうぞ、「ようこそ」って感じのスタンスでいつもいられることってすごいことだと思いませんか…?
人間だれでも苦手な人っていそうに思うのですが、たっちゃんやみっきぃにはそういうことがないのかもしれません。

「ようこそ」といえば、サイボウズに入社した時、1週間程度はいろんな方との初めましてがあったのですが、その度に「ようこそ」「ようこそ」って言ってもらえて、嬉しかったです。
こんなに、「ようこそ」って言われたの初めてだなってなりました。
zoomの背景も「ようこそ」の背景を作ってくれていて感激したのを覚えてます。
※部署によると思います

大人でも嬉しい「ようこそ」を、いつも出会う人に向け続ける人がいる事は、パワーになるでしょうね。

次回は「大切にしていること」をお伝えします。
たっちゃん、みっきぃが講演や勉強会で知り、大切にしている考え方や関わり方をお伝えします。
「あー、そうだよなー」と感じたお話が盛りだくさんです。
次回も見ていただけると嬉しいです😊

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