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地方移住とパラレルワークは相性がいいかもしれない。

 好きな場所でも、仕事がなければ暮らせない。かといって誰もかれもが起業したりパラレルワークやフリーランスの決意ができるわけじゃない。そんな不安定なの怖!
 それでも30才のタイミングで東京を離れたくて、自由の時間を買ったと割り切り、無職で静岡へ引っ越しました。その後、紆余曲折はありましたが、今は二か所の職場に通うパラレルワークで元気に暮らしています。
 そんなことをまとめて投稿したところ、たくさんの方に読んでいただきました。反響の大きさに、移住への関心の高さを実感しています。

 一方で、地方移住が大きな潮流にならない理由もわかる気がします(東京は転入超過に戻りました)。とくに仕事への不安は大きい。移住相談窓口などでも求人情報を案内できても、基本的には移住者自身が主体となって仕事を見つけるしかありません。でも、地方の求人情報は職種や業種の選択肢が限られるため、やりたい仕事がみつからないかもしれません。年収の減少も気になります。また、移住先で入社した企業が合わなかった場合、目も当てられません。想像するだけで胃がきゅっとなってしまう。
 移住してもらうには、仕事の問題について「あなた頑張りなさいよ」で終わらせられません。わたしも、自分のこれまでを振り返りつつ考えました。新天地で働くために結果的に大事だったことがあります。そして、もう一つ、もしかして東京よりも地方都市のほうが"新しい働き方"がはまることもあるんじゃないか、と思い至っております。

移住したては町に馴染む時間があったほうがいい

 知らない地域に引っ越したとき、まずは生活を安定させるまでに時間が必要です。毎日の買い物に使うスーパー、一人でゆっくりできる喫茶店、自転車で移動しやすい道、おいしいパン屋、最寄りのUNIQLO...そして徐々に行動範囲を広げ、だんだんと土地の歴史と暮らす人たち、いろんな企業のことも知っていきます。
 もしも背負うものが少ない身ならば、移住してすぐは、フル稼働で働くことはせず、町に馴染む時間を優先してください。自分のやりたいことも見えてくるし、会社を選ぶにしてもその地域に馴染んでからの方が情報が豊富です。地域の発展を牽引してきた会社がどこか、有名企業の評判はどうなのか、あそこの会社は小さくても魅力的な社長さんがいる、と解像度が上がっていきます。
 東京と違って、地方の生々しい情報はインターネットやtwitterだけではつかみきれません。みんなそんなに発信してない。住まないとわからない。

生活コストが低いと、会社勤めを辞めても生きていけるかもしれない

 東京で暮らしていた5年間、ボディーブローのように効いてくる高い生活コストと、うまく時間を使えない生き方との掛け算で、だんだんと視野が狭まり、気づくと、起業や個人事業主などの不安定な選択肢は全く目に入らなくなっていました。
 ところが静岡生活を無職でスタートしたところライフスタイルが好転(このあたりは以前の記事をご参考ください)。この生活なら急いで会社員に戻らなくても生きていけるかもしれない、と思うようになりました。このちょっとした精神的な余裕は、都内では感じられなかったものです。あれ、もしかして静岡なら"新しい働き方"できるかも?

「ちょっと手伝ってほしい」ニーズが結構ある

 静岡市は適度に都会なので、外から来た人を迎えることに慣れています。そのため、人間関係がじわじわと広がるにつれ、何ができるの?こんなことはどう?この人を紹介するよ、ちょっと手伝って、と声をかけていただくことが増えていきました。感謝しかありません。そしてこの頃はたくさん迷走もしました。ご迷惑をおかけした皆様、ほんとにすみません..
 そして、親切な人たちと話す中で気づいたのですが、たとえ地域で求人が存在しない職種であっても、細かなニーズは存在します。ニーズが小さいため、企業が人を雇うほど大きな仕事として成立しづらいのでしょう。けれどフリーランスとして受けるには十分だったりします。
 そんな「ちょっと手伝って」を積み重ねた結果、今は二ヵ所の職場とプロジェクトをいくつか掛け持ちするパラレルワーカーとして生活することになりました。都内にいた頃は、そんな働き方で食べていけるとは思えなかった。
 もちろん会社勤めのような安定感はありませんので、数年後にどんな生活かはわかりませんし、後悔もするかもしれません。けれども声をかけてもらえたときにすぐに動ける自由さは心地よいです。また、もし一つの仕事でなにかあっても、軸足をうつしながら柔軟な対応もできそうです。

おわりに:移住と"新しい働き方"

 すんなりと自分に合ったいい会社へ転職できたなら、それで全く問題ありません、とても素晴らしいことです。けれども、移住と転職をセットに考えると、おそらく仕事面の不安で動けなくなります。
 もしも身軽で幾ばくかの貯蓄があるならば、人生のバケーションと割り切って、縁のありそうな町へ引っ越してみてください。そして、もしその町が身体に馴染むようであれば、成り行き任せの"新しい働き方"でしばらく生計をたててみるのもいいかもしれません。東京の仕事もうけられますしね。地方都市の場合はそのほうが働きやすい場合があります。そしてもしだめだったら、東京でも地元でも、また違う場所に行こう。それぐらい気軽なほうがいい。
 なお、地方都市には「学び直し」の場として非常に大きな可能性を感じています。東京よりも生活コストを抑えることができるため、必要最低限の時間を労働に費やして、残る時間を社会人大学院へ入学したり、資格習得を目指すなど、勉強時間に充てることができそうです。

 ”新しい働き方”は、リスクを回避するための選択肢にもなると思っています。新しい場所でも、これまでと働き方を変えれば暮らせるかもしれない、と少しでも希望を感じてもらえたならば、幸いです。

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