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【読書感想】「子どもたちへのまなざし」~ここにあるのは幻想でなく希望~ゆめ・まち・ねっと:渡部達也著

■最初に

こんにちは!サイボウズのもっちーです😊
先日富士市で活動をしております、NPO法人ゆめ・まち・ねっとさんに宿泊込みで取材&活動体験をしてきました!

静岡県庁を38歳で退職し、今は子ども若者のためにたくさんの活動をされている、渡部達也さん(以下:たっちゃん)と美樹さん(以下:みっきぃ)のご夫婦がたくさんの活動をされています。

まずは、たっちゃんが長年積み重ねてきた活動の中で出会った子どもたちとのエピソードやたっちゃんという人のことがよくわかる、この本!
子どもたちへのまなざし」の紹介をさせてください

■読書感想

【まえがき】

まえがきは、たっちゃんの小中学校のころのエピソードから始まります。
エピソードには、「うんうん。あるよねそういうこと・・」
と思うようなことを、“ 心のとげ ” として表現していて、いつまでも心に引っかかっていることが書かれていました。
いじわるなことはしなかったけれど、いじわるな人から守ることもしなかった。
もっと出来ることがあったのではないか・・
そういった “ とげ ” 
誰しも似たような “とげ ” があるんじゃないかなと思います。

私はこのまえがきで心がつかまれました。

この著者さんは、他人がささいに思うようなことも、とても大切に感じ続けることが出来る人で、大人になった今でも、子どもの相談を小さいこととして扱わない、大切に話を聴く人なのではないか・・・と、3ページのまえがきから、人となりの一部が見えた気がします。

こども食堂用の食材をいただき、嬉しそうに掲げるたっちゃん

【第1章:今の子どもたちに何が必要なのか】

この章では、
・切れ目のない支援と、切れ目のある支援について
・境目のない支援と、境目のある支援について
・関連するエピソード
が書かれています。

いくつかのお話をお伝えします。

支援を前提とした関係性は、支援される側と、する側を生み出す
支援する側が良かれと思って、される側の足りないと感じる部分を補おうとする。
「あなたのための支援」は時に子どもたちを孤立無援な状況に追い込む。
という言葉はとても響きました。


ひとりの子どものエピソードを例に、支援の場が明確になればなるほど、どの機関にも属せない子もいること、そして、その子の育ちにかかわったどの機関も責任を負わず(負えず)、お母さんだけがひとりで問題を背負い込み、抱えきれなくなる。
こういった方本当に多いと思います。

たっちゃんのおひざで活動紹介マンガを読む子どもたち

【第2章:NPO法人ゆめ・まち・ねっと】

この章では、
たっちゃんが静岡県庁を退職し、NPOを立ち上げたお話や、想いについて書かれています。

最初は意識していなかった、「特別な支援」や「社会的養育」が必要だと言われる子ども・若者との出会い・・。
生きづらさを抱えた子どもと次々に出会うことにこそ、使命があるのではないかと感じたこと。
などが書かれています。

中高生が多く来ていることの秘訣を聞かれることがあるそうで、下記のようなお話がありました。

僕らに何の肩書もないことも要因かもしれません。今、中高生世代の子どもにかかわる大人は肩書や資格のある人ばかりです。
先生、監督、指導者、支援員、相談員、カウンセラー、ケースワーカーなど
~中略~
様々な統計数値から子どもたちの生きづらさが垣間見れます。
その軽減策として語られるのはいつも、公的機関を増やす、機能を拡充する、ネットワークを強化する、肩書や資格のある大人を配置するといったものです。
子どもたちが求めているのは、自分の育ちを気遣ってくれる「固有名詞」のおにいちゃん、おねえちゃん、おっちゃん、おばちゃんの存在ではないでしょうか。

子どもたちへのまなざし
たっちゃんの自宅の庭に置かれている土管

【第3章:積み重ねてきた子どもたちとの日常】

この章では、子どもたちとの日常をエピソードとして紹介しています。
たごっこパークやおもしろ荘という活動の中で過ごしている子どもの姿と、学校や支援施設で過ごしている子どもの姿の違いのエピソードや、障碍のある子が生き生きとしているエピソードもあります。
また、思いやりの育み方についても、素敵な言葉があるので、少しだけ紹介します。

「思いやりのある人になりなさい」「他者の痛み、苦しみ、悲しみが分かる人になりなさい」道徳教育などで良く言われることです。
でもこうしたことは教えられて身につくものではないのです。
敬愛する児童精神科医・佐々木正美先生に教わりました。
他者を思いやる感情は、他者と十分に喜びや楽しみを分かち合ったあとに育まれるのだと。他者への思いやりをなくして、どれだけ勉強ができてもその能力を誰かの幸せのために生かそうとする大人にはならないでしょう。

この3章は本当にたくさんのエピソードがあります。
子どもが難しい話をしたい理由って?
大人もこの場に救われている
機能不全家族

他にも本当に様々な日常からのエピソードがあります。
大変なお話、ホッとするお話、
3章だけでも、ぜひ読んで欲しいです!

子どものころの自分が「こんな場に出会いたかった」「こんな人たちに出会いたかった」と強く感じた章です。

公園の片隅で駄菓子屋さんを開くたっちゃん・みっきぃ夫妻

【第4章:二人三脚での歩み】

この章は、たっちゃんの相方、みっきぃとのお話でした。

たっちゃんは、みっきぃのことを、あいだみつをさんの
「あなたがそこにただいるだけで」という作品のような存在といいます。
そして、その作品の最後の一文
「そんなあなたに わたしもなりたい」
とたっちゃんは思っているそうです。

ほとんど休みなく動かれていて大変ではないかと聴いたときも、
県庁の時も残業はすごくあったし、今は一緒に働きたい 相棒 と仕事が出来ているから、もっと働きたいくらい。

と、みっきぃという 相棒 と働くことが楽しいとお話していたので、尊敬し合ってご夫婦2人で作り上げてきたことを感じました。

【第5章:子どもたちと関わるあなたへそして僕へ】

子ども・若者へのメッセージから始まるこの章は、生きづらい気持ちを抱えている人へ、そして自由な遊びを通じてこそ、本当の学びあいが生まれるというお話がつまっています。

「頑張らせるのではなく、頑張れる環境を」

児童精神科医の佐々木先生のこの言葉を指針にしているといいます。

ムリに頑張って疲弊してしまうことって子どもも、大人もあると思います。子どもの時に、頑張れる環境にいられた子は、チャレンジしても大丈夫、失敗しても学びに変えられる力を持つとこの章で感じました。

多くの子ども・若者で賑わう「冒険遊び場たごっこパーク」

■最後に

最後までありがとうございました!

今回は本当に長編になりますので、
ペースを上げて、記事を公開していきたいなと思ってます。
とても素敵な場で、素敵な方々です。この場所と2人に出会って救われている人がいる。ぜひ読んで欲しいです!

余談ですが、
最初に訪問のお願い連絡をした時に、サイボウズのことも話題にして、返信をくれました。「サイボウズさんは松山ですよね。父も松山に住んでいたことがあって・・」と共通の話題を入れて返信をくれました。
これってなかなか出来ないよなーと感じます。
調べてくれたのか、知っていたのか、細やかな気配りを最初の連絡から感じました。

次回は活動の紹介編です✨✨本当にたくさんの活動をしていますよ
またよろしくお願いいたします。