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一陽来復の娘 20


こちらの続きとなります↑


※こちらのお話は少し長めのお話しになっています。ご注意下さい。(2741文字)



声がした方を振り返ると、

どこか見覚えのある女性が立っていました。


(…あれ、この人…?(;・∀・)

私は、この女性をひとめ見て、

昔見た「夢」の中に出て来た、
過去の「自分」…


「少し良い家の娘さん」だと、気づきました。



「…な、なんで?…(;´Д`)?



戸惑う私の様子を見て、「彼女」は、

鈴の音のような声で、ぽつんと、

「…ごめんなさい…」

ちいさな声で、言いました。


(……?(・・)

私が見た夢の中では、

彼女は、当時の人として、上流婦人としての人生を
守りながらも、心の奥深い所で、

戦争や身分格差に心を痛め、
その渦中の人達の苦しみに思いを馳せ、

人の世の哀しさを感じながらなくなった、
心優しい、どこか繊細さのあるような人でした。


そんな方に、謝ってもらう覚えは、
その時の私にはありませんでした。



(…どうしたんだろう?何が言いたくて出てきたのかな?

…あ、あれ?(・・;)

今、私の目の前にいる「彼女」は、

昔見た夢の中の姿そのままに、

おっとりと、品良く、慎ましやかな様子で
佇んでいましたが、


ですが、よく見ると、

その姿は、まるで、長年、鍛え上げた人かのように、
ぴたっ、と、全く、微動だにせず、

その「身」には、

神様にお使えした、もしくは、
神様の「ご用」をした経験のある人特有の…

「静謐で、堅牢な気」を、濃厚に纏っているように
見えました。


(…な、なんで?(;´Д`)?

私は、「普通の女性」が「その状態」である事に
違和感を感じ、

(…よし…)

「目」を凝らしてみました。

すると、

彼女の「奥」に、

すうっ、と…

神様にお仕えする方が纏うような、
白い、さらりとした装束を身につけた、

1人の壮健な男性が、「見え」てきました。

(…これは、「彼女」の「前」の人?なのかな…?
少し好みかも…!(⁠*⁠´⁠ω⁠`⁠*⁠)✨
↑マッチョ好きです(^.^;


などと、ややふらちなことを思いつつ(^.^;
「彼」に話しかけようとすると、

ふわーーーっ、と、

熱く乾いた、爽やかな「風」が、
こちらに吹いてきました。

(……うわー…気持ちいいなー…✨(⁠*⁠´⁠ω⁠`⁠*⁠)✨

その、吹いてきた心地良い「風」に触れると、
爽やかな気持ちよさと共に、

彼が、一族を守る優しい神様に仕え、
その声を降ろす役割を担っていたこと、

そして、神様の声を正しく降ろす為に、
自らを磨きあげ、長年かけて身に付けた、
彼の「在り方」などが、

ふわっ、と、こちらに伝わって来ました。


(おおー……そういう事かぁ…( ´∀`)✨


などと、私がのんびり感動✨(^.^;していると、

彼は、その、澄んだ眼差しを、すっ、と
こちらに向けて、

穏やかに話しはじめました。

(…俺は…

…神に仕える立場として生まれて、
幼い頃から、その定めを生きた。

与えられた役割を果たして、皆の役に立って…

そして、時に、神の…自然の世界を知って…

そんな、まあまあいい時を過ごした…)


優しく微笑む彼。

(…だが…その生き方は、裏を返せば、それしか知らないと言う事でもあり…

俺は、その生き方しか知らず…

…そして、生まれ育った村以外の世界を知らずに、
一生を終えてしまった…)

その刹那、さっ、と、
穏やかな彼の目に、暗い陰がよぎりました。

そして、

(…実は、うちの村は…

本当に突然…見知らぬ者達に攻め込まれて…
あっと言う間に、皆が、散り散りになって
しまったんだ…)

と、静かに、つぶやきました。

(…神さんに仕える者として、俺の父親やじいさま(祖父)がそうだったように…

昔からの決め事を行って、そして…
それを、◯◯(息子さん)に受け継いで…

その後に、自分の命は、自然に帰るもの、
と思ってた。

でも…その思ってたものは、全部、はかなく消えちまった。泡沫のように…



…もちろん、何事にも、終わりはある。

生きるって事は、命のやり取りだし、
俺らも、ずっと、様々な命を受け取りながら、
生きてきた…

それが、俺らの身の上にも訪れただけ…
「俺らの番」が来ただけだと…

まるで、嵐の時に、山々の向こうから、
黒雲や生暖かい風と共に現れる、大きな雷のように…

全てをうち壊す恐ろしいものは、

予兆なく突然訪れ、

それに皆なすすべもなく翻弄され、

全て、呑み込まれるんだと…)


ぽつぽつと…でも、しっかりとした口調で、

彼は、昔、自分達の身に起きたことを、
話してくれました。


そして、改めて、私の方を見ると、


(…だが…だからこそ…

生ある時…「今この瞬間」を、

己の全てをかけて、生きる。


そこにこそ、「いのち」の本質がある。

…そうだろう?)


彼は、再び穏やかに微笑みました。



(…だから…

俺の事を、「愚かだ」と言うものもいるかも
しれないが、

俺の心は、一族を滅ぼされた憎しみに
支配されはしなかった。


運命に対し、そのような心を持ち、
わが心を穢すことはすまい。

俺らの神さん…いや…)


彼は、すっ、と、居ずまいを正すと、


「我が神、そして、我が一族の誇りにかけて。」


と、言いました。




もう終わってしまった、辛く苦しい出来事を
話してくれているはずなのに…

その時の彼からは、


何者にもおかすことも、奪いさることも出来ない、

人の内側でいきいきと光輝きながら息づく、

「いのち」そのものを、感じました。

そして、彼の言葉はなおも続きました。


(だが…この度のことは…

これは、俺らの知っている理の外の…
他の(広い世界の)人の世のことが原因だと…

だからこそ、何故なのか、と…

どのような(人々の)働き(社会情勢)で、こんな事が起きたのか、それを知ってみたい、と…

知らなかった、広い世界を知りたい、と…)


そして、生まれ変わるその時に、

「様々な事を知りたい。」

と願ったのだ、と、教えてくれました。


(…様々な事を知りたい…

だから、広い視野が持てるような、
高度な教育を受けられる、ノブレスな身分の
「彼女」にこの人は生まれ変わったのかな…?(´⁠;⁠ω⁠;⁠`⁠)


一体、どれだけの「想い」だったんだろうか、
と、私は一瞬、胸がきゅっと苦しくなりましたが、

彼はどこか明るく、さっぱりとした様子で
穏やかに微笑んでいました。




そんな彼の在り方を、
どこか不思議に感じていると、

またあたたかな風が吹き、

ふわっ、と

望みの為に、「彼女」に生まれ変わって、

でも、「彼女」は、様々な事を、
知れば知るほど、

自分の生まれた世界での価値観に、
少しずつ違和感を感じ、

悩んだ末「私」として生まれる事になった…


という「顛末」が合わせて「伝わって」きました(^.^;


(…そ、そうかー…( ´Д`;)


ほんの少し戸惑う私の様子を見て、「彼女」は、

鈴の音のような声で、ぽつんと、

「…ごめんなさい…」

と、言いました。


↓続きますm(_ _)m💦

お待たせして誠に申し訳ございませんでした(`;ω;´)


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