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めんま、
2019年3月8日 00:42
「別れよう」チェダーチーズの挟まったサンドイッチを頬張りながら彼女はそう言った。一瞬、内耳でそれが止まったわけだけど“別れ”を切り出されたことを僕は理解した。何も言えないまま、緩い時間が過ぎていくのを左手首で感じながらお揃いの指輪を眺めていた。理由も聞けないままでいると彼女はサンドイッチを食べきって、おもむろに小説を取り出す。お皿に落ちた萎れたレタスが僕のようで、情けない
2019年3月12日 20:27
空虚な心の最上階には漠然とした不安が住み着いていた。まるで冷え切ったトマト缶をぶちまけたみたいな感情だけ。赤が散らばって、酸っぱい匂いが充満する。専ら、人生は楽しくない。強かな弱さ、カビの生えたドーナツの穴。そんな感じだった。よく分からないけど、多分そんな感じだった。“人生とは”、そんなことを考えながら生きる毎日は充実だけが正義みたいだし、丁寧な暮らしとやらは心を殺