[理系による「文学」考察] 森鴎外 "雁" (1911~1913) ➡文学でキュビズムを実現
自身の背景がゴリゴリの理系であるせいもあると思いますが、日本の作家で一番好きなのは軍医であった森鷗外です。他の作品もいつか考察してみようと思いますが、今回は"雁"です。
キュビズムは下記で言及したように、3次元を2次元で表現するための遠近法とは異なった手法による表現方法です。
キュビズムを少し拡大解釈して、ある事象における多面的要素による再構築、と定義してみます。
文学でキュビズムを実現するには?、に1つの解を出す作品が"雁"と思います。2人の主人公による同時刻の2つの異なるストーリーが、交差しそうで交差しないギリギリのもどかしさの中で物語が紡がれ、1つの作品として大成するのは、これってキュビズムじゃん!、と考えた次第です。
キュビズムのスタートとされるピカソの"アヴィニョンの娘たち"が1907年、
森鴎外の"雁"が1911~1913年、
と、1900年代の初めは、世界的に何か新しい表現が生まれる機運だったのかもしれませんね。
話はそれますが、"雁"の舞台の池ノ端周辺ですが、なんとも色々なモノがごっちゃごちゃになっており、御徒町の歓楽街のど真ん中を小学生が集団下校している光景には度肝を抜かれましたが、パリのモンマルトルも同じような構成なので、芸術は以外とそんな場所から生まれやすいのかもしれませんね。
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