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精神疾患伝説

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精神障害2級(双極性障害、ほか依存症。色々の玉手箱)の 戦ったこと、戦わないこと。苦しみはポイ🌈
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#子ども

めぐる夜桜

めぐる夜桜

たまに通る団地の公園に、一本の桜の木がある。
団地じたいが古いので、桜もなかなか立派な古樹だ。
季節にはわざと遠回りして寄る。

その四月、スーパーの帰りに通り掛かると、水銀燈に浮かび上がる夜桜の下で激しく泣いている子どもがいた。私は駆け寄りたい衝動にかられたが……

(急に知らない大人が走ってきたら怯えてしまう。何気なくゆっくり行くんだ。)

いかにものんきな買い物帰りに桜を見に寄った風でぶらぶ

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飛ばされちゃったらなんにもしないの

飛ばされちゃったらなんにもしないの

風の強い日。
一人歩いていた。
体がヨロヨロするほどの強風。

ふと。前に2、3歳くらいの女の子と若いお母さんが歩いていた。

女の子は強風に大はしゃぎ。帽子を飛ばされそうになってきゃあきゃあ笑ってる。ママも一緒に笑ってる。
女の子が笑いながら叫んだ。
「飛ばされちゃうー❗️」
ママがおかしそうに言った。
「ねー。飛ばされちゃったらどうしようねー」
女の子はこともなげに笑って答えた。

「飛ばされ

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カッコつけんな

カッコつけんな

カッコつけて生きてたその心は、
「見て。愛して。理解って」
って意味だった。

親がいない子も大勢いるし、いても奴隷やペットみたいにされてる子もね。たくさん知ってるし、私もそのうちの一人だったし。

さよなら。
もういい。
私は私のこと愛せるようになったもの。
とっても可愛がっちゃう。

それまで必死こいてダイエット、美容、ファッション、お勉強、普段の立ち居振る舞いから言葉、趣味も、磨きに磨いた。

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光る子ども

光る子ども

「おまえさんは、家にいるときは、なんといわれているんだね。」
「あたしは、家にいるときは、名もない、つまらないものなの。でも、家の外にいるときは、だれにも、好きな人になれるのよ。おばあちゃん、おうちにいるとき、あなたはいったいどんなかたなの?」
「ああ、わたしかね。わたしは、家にいれば、ちょっとした人物さ。だが、外に出れば、なんにでもなれるのさ。」
(E.ファージョン『ガラスのくつ』岩波書店)

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