見出し画像

もうやめたんだ。

何にも面白くないし、楽しくない。むしろ苦痛。でも、私たちはその苦痛の中から抜け出ない。一生懸命作り笑いして、一生懸命何の興味もない話を永遠に聞いている。

何の為に、そこに行くのか?何の為にその人の話を聞くのか?一生懸命その人の話を聞いた所で、その人は自分のことなど何も聞いてはくれない。でも、その人がいつか自分の話を聞いてくれるんじゃないかといった幻想をその胸に抱えて、私たちはというか、私はいつまでも相手の話を聞いていた。

聞いていただけだった。私は気付いた。私のしている事は下僕同然なんだと。相手の話をいくら聞こうと、いくらその話に賛同し、首を縦に振ろうと、その相手は私の話など聞かない。彼らは私には何の興味もない。私はただ自分っていう人間に興味を持って、私の話を聞いて欲しかっただけ。でも、彼らは自分の事にしか興味はない。私の事になど何の関心もない。

彼らは自分を愛し、その自分に興味があるだけで、その愛と関心を私に向ける事はない。こんな事を知るまでに一体何年かかったか?どれだけの時間を無駄にしてきたか?私はただ自分を愛し、そして自分という人間に興味を持ってほしかっただけ。でも、世の中をよくよく見まわして見れば、誰もかも皆自己愛者。皆、自分を深く愛し、その自分にしか興味はない。自分以外誰も見えない。そんな中に割り込んで行こうたってそれは無理。その事にやっと最近気がついた。だから、もうやめた。

ニコニコ笑って作り笑顔して、相手の受けのいい言葉を並べて、相手を喜ばす事。おだて上げる事。そんな事をしても彼らの愛情も関心も掴む事は出来ない。

ずっと手に入ると思っていた。彼らを上手くおだてれば、自分の望む愛や関心、それが手に入るとそう思っていた。だから、いつもいい子ちゃんを演じてた。笑顔を振りまいて、話題満載の自分を必死に演じてた。でも、そんな事をしても意味はない事を知った。だから、もう私は、良い顔をして、その場を取り持ったり、誰かの聞こえのいい言葉を並べたてて、その人をおだてるのをやめた。

私は下僕じゃない。誰かの気持ちをよくするための下僕じゃない。私は空気清浄機じゃない。だから、私はこれまでの自分を何もかもストップさせた。

もう誰にもおべっかなんて使わない。そんな事をしなくては付き合っていけないのなら、私は一人の方がずっといい。その事にやっと気づいた。この歳になって気づいた。こうした事に気づくまでは相当な時間がかかったが、私は今この手に自分の時間を取り戻した。

もうやめたんだ。おべんちゃら使って、愛嬌のある自分演じるの。そうしたら、この肩に今まで感じた事のない重みを感じた。この重みを私は今まで感じる事が出来なかったんだ。そう思うと心の底からゾッとした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?