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横一列の平等主義がもたらした世界

私たち人間は、知識というものを共有するべきではなかったのではないかと最近思う。こんな話を聞いた事がある。

知識というものは、一部の人間だけが持つべきものであり、その知識の全てを人間皆で共有すれば、世界には破滅がやってくる。知識というものは、本当に優れた人間だけが持つべき特別なものであり、その知識を一般人に持たせるべきではないと。知識というものは、正しく使われればそれはとても大きな効果をもたらす。しかし、その使い方を間違えれば、この世界はあっという間に破滅する。

皆が、教育を受け、そしてそれなりの知識を身につける。こうした在り方がこれまではとてもいい様に語られてきた。でも、この知識を共有するという事が、この世界を確かに豊かにはしたけれど、その知識をそれぞれの人間が持つ事によって、この世界の美しさが、徐々に消え失せてしまっているというのも事実としてある。

私たちは、この知識というものを上手に使いこなすほどに、精神が発達していない、そんな気がする。私たちは知識というものを、自分たちの持つその力で上手に使いこなすという事がどうも出来ていない気がする。知識というものに、コントロールされ、私たちは、自分達で得たその知識を自分で上手く扱う事が出来ていない。つまり、私たちは、自分達で得たその知識によって踊らされているという事になる。知識というものに、私たちはもて遊ばれているという事になる。

知識というものは、私たち人間の上に君臨し、そしてその知識を持つ者の精神を常に試しているのではないだろうか?

お前にこの知識を与えるが、その知識をお前は上手に使いこなす事が出来るか?そう知識は言い、私たち人間を試しているのではないだろうか?

人間である私たちは、知識というものを毎日何考える事無く、その手にしている訳なのだが、そこには、もっとその知識を持つ事による責任というものを私たちは持つべきなのではないだろうか?

知識を持つ事には、それ相当の責任がある。その責任を持つ事が出来ないのであれば、その知識は持つべきではないし、その知識を得たいと安易に考える事も、本当はとても危険なのではないかと思う。

私たちは特に何も考える事無く、多くの知識を手にする事が出来るが、その知識を手にする事による責任というものを、私たちは何もとっていない気がする。知識を持つには、それ相当の責任を持つ必要がある。でなければ、私たち人間は、その知識によって、自身を、そしてこの世界を滅ぼしてしまう事になってしまう。

知識とは、その意味を考え、そして責任を持って所有する事が出来なければ、ただその知識とは、この世界を破壊する武器にしかならない。私たちはこの知識というものを持つ事にもっと責任を持つ必要があるのではないだろうか?私たちが持つ知識、これに対してもっと意識的になり、そして私たちはその重い責任をその身にしっかりと背負う必要がある。

私たちの精神とは未だ未発達なものであり、知識を自分のものとして所有するほどに進化はしていない。この私たちが今この世界を作っている。とするなら、未来に私たちの生きる世界などあるのだろうか?

私たち人間は、未だ知識にその身を捕らわれ、支配されている者であり、知識を上手に使いこなすほどには、その精神は進化などしていない。

何もかも全て同じという平等主義が、こうした今の在り方を作ってしまったのではないだろうか?人間に高低差をつける訳ではないが、やはり、誰でも彼でも、皆同じにというこの制度が、この世界にもたらしたものは大きい。

知識とは、本当にその知識を扱う事が出来る程に精神が発達した者が持つ事がないかぎり、その知識が正しくいかされる事はない。知識に対し、その精神が小さければ、その知識は、その知識を扱うものをいつか必ず飲み込んでしまう。私たちは、いつでもこの知識というものと、それを扱うに等しい精神を持つべきなのではないだろうか?

知識の共有とは、表面的に見れば、とても素晴らしいものの様に思うかもしれないが、この知識の共有が世界に恐ろしい力をもたらした事もまた事実と言えるのかも知れない。

知識、それは人々を貪欲なものにし、そしてその上手に使いこなす事の出来ない知識は、私たち人間を攻撃的な人間に、暴力的な人間に変える。知識とは、私たち人間をより過激なものにする。正しく扱える人だけがこの知識を使ってこの世界をよくすることができ、その知識を正しく扱う事の出来ない私たちにとっては、知識とはただの興奮剤でしかないのかも知れない。

私たちは刺激の強いスパイスをかぎ、そしてその臭いにこの精神をかきたてられる。そして、今日もその知識というスパイスの臭いで脳のあらゆる部分を刺激され、その刺激によって私たちは動かされ生かされているという事になるのではないだろうか?

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