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綾瀬さんと真谷くん

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シリーズ「綾瀬さんと真谷くん」を読みやすくまとめたもの。この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。 2020年12月21日…
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#連載小説

綾瀬さんと真谷くん1「綾瀬さんと僕」

僕には好きな人がいる。今日も麗しい綾瀬響さんだ。さらりとした長い髪の毛が陽光を反射して青みがかって、まるで物語のお姫様のように艶めく。その髪を耳にかければきらりときらめく華奢なイヤーカフ。校則が緩いから邪魔にならなければアクセサリーを身につけてもOKで正解だ。可愛らしさが際立っている。
 何も見た目だけじゃない。中身だって素晴らしい。学級委員長を務められる誠実な人柄、そして誰に対しても優しく接する

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綾瀬さんと真谷くん4「トラブル発生」

デートから1ヶ月、色々忙しかったりして、図書館とか近場でお金のかからないようなところでのデートが続いた。これはこれで身の丈に合っているからいいとは思うけど、もうちょっといいカッコしたい。
 そんなある日だった。昼休み、いつも通り二人でお昼を食べていると、ソワソワとしていた響ちゃんが、
「あのさ、優くん……」
そ、と耳元で囁いてきた。お互い名前呼びにはなんとかなれたけど、耳元で声がするのは話が違う。

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綾瀬さんと真谷くん15「姉というもの」

この前は屋上に行こうとしたら姉ちゃんに見つかってちょっとヒヤヒヤしたなぁ…今日も見つからないと、いいけどなぁ…
「あ、優!」
噂をすれば、か…
「なんだよ姉ちゃん」
「襟が乱れてるよ」
これで風紀委員なんだよな、悪趣味なのに。
「はぁ…ありがとう。で何の用?」
「ん? ただそれだけ」
いたずらっこい笑みが隠せてないよ姉ちゃん。
「そうかじゃあ屋上に行くから」
「なんで屋上に行くの?」
それは言いた

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綾瀬さんと真谷くん16「介入」

放課後帰る準備をして、響が待つ所へ行こうとしたらなんと如月に出くわした。
「優くぅん! なんでこの前はあんな酷いこと言ったのぉ?」
へ? うわぁ、とことんめんどくさい奴だなぁ……
「なんでって言われても困るんだが」
「だってぇあたしはぁ優くんの事がぁ、す─」
如月がそう言いかけた時、
「ねぇあんた優になにしてるの?」
冷えた姉ちゃんの声がした。
「え?」
「あんたなんかに優はやらんからね」
風紀委

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綾瀬さんと真谷くん17「卒業式」

綾瀬さんと真谷くん17「卒業式」

桜舞い散る3月の下旬。今日は姉ちゃんの卒業式だ。
「今日は姉ちゃんの卒業式か…」
正門横には{第七十一回清巌高校卒業式}と大きく書かれた立て看板が置かれている。正門前で突っ立っていると
「優おはよ!」
と声がした。声がした方に振り向くと響が立っていた。
「おはよ響」
「それじゃ、体育館に行きましょうか」
在校生は先に入る決まりだ。
「うん」
式典会場である体育館へ向かうと、すでに多くの生徒たちが集

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綾瀬さんと真谷くん18「写真」

卒業式が終わり、運動場で写真撮影などをして別れを惜しむ時が来た。そんな様子を突っ立って見ていると、ふいに声をかけられた。
「優? 先輩たちと写真に撮らないの?」
声の主は響だった。
「あぁ、ちょっと考え事しててね。響は写ってきたの?」
「うん。委員会でお世話になった先輩たちと写真撮ってきたよ」
「そうか。じゃあ僕も先輩たちと写真に撮ってもらいますか」
そのあとはたくさん写真に写った。そんな楽しい一

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綾瀬さんと真谷くん19「体育祭に向けて」

今日から体育祭の練習が始まる。2年が参加する種目はクラス対抗リレーと障害物競走、3200m走、騎馬戦(今時よくやるよ、とは思う)、学年対抗リレー、借り物競走かぁ。立候補制の種目ではなぜかいつの間にか借り物競走に出ることになってた。なんでだ。んで今日は? あぁ障害物競走の練習か。地味に嫌なんだよなぁ、めんどくさいの多いし。でも頑張るしかないか。成績悪いと姉ちゃんに笑われるし。
「障害物競走の練習きつ

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綾瀬さんと真谷くん20「体育祭」

綾瀬さんと真谷くん20「体育祭」

今日は体育祭本番だ。優勝出来るかどうかは正直かなり不安だがやりきるしかない。んで、最初に出るのは……うーわ3200m走か。初っ端からキツくないか? 頑張るしかないけど。最初の競技だから体力はセーブしておきたいし、足には自信があるから最後の方で一気に追い抜くとするか。段々と応援に熱が出てきているのがわかる。応援のウォーミングアップできてなかったのかよ。よしあとは最後のコーナーで一気に仕掛けるか。最後

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綾瀬さんと真谷くん21「騒乱」

「それは……同じクラスの真谷くんと付き合っていることです」
響がそういうと生徒席から大きなどよめきが起きていた。
「まじかよ……」
とか
「あいつら付き合っている素振りすら見せてなかったぞ……」
とか驚きの声があがっていた。まぁそうなるわな。こっちゃ隠すのに必死だったがね。
「あの地味な真谷に彼女いたなんて……しかも我らが綾瀬さんとか信じられん」
という声も聞こえた気がした。しかもさっきの失礼やろ

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綾瀬さんと真谷くん22「打ち上げ」

体育祭が終わったあとの休日、クラスで予定の合う人だけで近くの居酒屋へ行った。僕はカウンター席で注文した唐揚げを食べていた。そこへクラスメイトの男子がやってきた。
「なぁ真谷〜」
「なんだ?」
「綾瀬さんと付き合ってるってホント?」
あぁ……面倒だ。適当にあしらうか。
「あー、そうだけど何か?」
「いつから付き合ってたの?」
「そんなの聞いてどうするんだよ」
なんで知りたいんだよそんなこと。
「いい

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綾瀬さんと真谷くん23「帰り道」

打ち上げからの帰り道、僕は一緒に来ていた響を見つけた。
「響ー!」
そう呼びかけると響が振り向いてくれた。
「あ、優どうしましたか?」
「響、一緒に帰ろっか」
「えぇ、そうですね一緒に帰りましょうか」
帰路につきながら、色々と雑談した。
「なぁ響」
「なんでしょう?」
「僕の歌上手かった?」
「はい、とても上手でしたよ」
「そうかそれなら良かった」
時間というものはあっという間にすぎていき、響の

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綾瀬さんと真谷くん24「夏休み」

今日から夏休みに入った。夏休みの課題は夏休み前にある程度やってあるので、楽な方だ。今年は海まだ行ってないな……と思っていると、兄ちゃんが部屋に入ってきた。
「なぁ優」
「どうしたの兄ちゃん? 」
「明後日、海に行かないか? 」そういえばここ数年海に行ってなかったな。
「わかった」
「あと俺の彼女も一緒に行くからそこんところよろしく」
「了解」
兄ちゃんの彼女さんも来るのか……響にも行けるかどうか一

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綾瀬さんと真谷くん25「海」

響と浜辺で水を掛け合って遊んでいたら、喉が渇いてきた。売店でなにか飲み物買うか。
「響〜売店で飲み物買ってくるからそこで待ってて」
「わかりました」
売店で炭酸飲料を2つ買って戻ろうとしたら、金髪の男にナンパされてる響がいた。
「ねぇ〜そこのお姉さん俺と一緒に遊ばな〜い?」
「えっと……遠慮しときます」
響がそういうが男は離れようとしない。
「ほらほら〜一緒に行こうよー」
「や、やめてください!」

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綾瀬さんと真谷くん26「課題」

夏休みも残すところ約半分となった頃、夏休みの課題がある程度残っていたのを思い出した。
1人で課題やるのも寂しいし、響と一緒にやるか。
そう思い立った僕は響に電話をかけた。
「響〜明日図書館で一緒に課題やらない?」
「明日……ですか? 」
「うん」
「明日は特に予定はないですし良いですよ」
「朝10時に集合でいい?」
「了解です」
「ありがとう。じゃまた明日」
そういって電話を切った。

翌日、響と

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