綾瀬さんと真谷くん16「介入」

放課後帰る準備をして、響が待つ所へ行こうとしたらなんと如月に出くわした。
「優くぅん! なんでこの前はあんな酷いこと言ったのぉ?」
へ? うわぁ、とことんめんどくさい奴だなぁ……
「なんでって言われても困るんだが」
「だってぇあたしはぁ優くんの事がぁ、す─」
如月がそう言いかけた時、
「ねぇあんた優になにしてるの?」
冷えた姉ちゃんの声がした。
「え?」
「あんたなんかに優はやらんからね」
風紀委員の堂々たる風格。無駄なところで発揮してないでいつもそれくらいの威厳を保って欲しいものだ。
「あ言い忘れたけど私、優の姉だからね」
そこの声は甘くしなくていいんだよ。だからイケメン風紀委員とか言われちゃうんだよ。
「それにあんた服装乱れすぎよ? まず持ってそこを直さないと誰も振り向いてくれないわよ」
「…………」
如月は何も言えなくなっていた。
「……助かったよ姉ちゃん」
とりあえずは感謝しておくか。
「如月さん、あんたなんかに優はやらんけど……そうねぇ」
つ、と姉ちゃんの口の端が綺麗な三日月を描いて吊り上がる。
「たとえば……綾瀬さんぐらいしっかりしてたら考えなくもない、かな?」
やっぱり爆弾落としてきた……笑い方からして考えてること薄々わかったけどさぁ……
「ちょ、何言ってんだよ姉ちゃん」
姉ちゃんの手を引いてショックを受けて固まってる如月から離れる。
「付き合ってること言うなってあれほど言ったでしょ!」
周りに誰もいなかったのが幸いだよ。これで誰かに聞かれてたら、嫌がらせされるんだろうし。
「え? あぁ、「たとえば」の話よ。それにあの子の正反対の代名詞じゃない、響ちゃん」
ねぇちゃん……そういうことじゃないんだよ……

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