綾瀬さんと真谷くん15「姉というもの」

この前は屋上に行こうとしたら姉ちゃんに見つかってちょっとヒヤヒヤしたなぁ…今日も見つからないと、いいけどなぁ…
「あ、優!」
噂をすれば、か…
「なんだよ姉ちゃん」
「襟が乱れてるよ」
これで風紀委員なんだよな、悪趣味なのに。
「はぁ…ありがとう。で何の用?」
「ん? ただそれだけ」
いたずらっこい笑みが隠せてないよ姉ちゃん。
「そうかじゃあ屋上に行くから」
「なんで屋上に行くの?」
それは言いたくないってわかってて聞いてるよね!
「別に」
「ふーんそっか」
あ、なんかやばい。理由はわからないけどやばい。
「あ、あとあの事バラすなよ?」
「はいはい分かってますよー」
姉ちゃんに念を押して、屋上へ向かう。
「おまたせ響」
本を読んでいるのかこちらに気づいてないようだ。
「もしもーし?」
顔を覗き込むと、気づいてくれた。
「ひゃぁっ! って優でしたか……びっくりさせないでください」
「ごめんごめん響が気づいてなかったようだったから」
あぁ可愛い。とても可愛い。その後、いろいろと話した。勉強やらテストやらお弁当やらのこと。話題は尽きない。
「あ、もうすぐ予鈴が鳴りますね。早く戻りましょうか」
でも時間は有限だ。なんとももどかしい。
「そうだな。響、怪しまれないように先に戻ってくれ」
「わかりました」
響の驚いた顔も可愛かったなぁ。さて僕も教室に戻るとするか。

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