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【エッセイ】会社は人間味のあるロボットが欲しい

 Twitterでこのようなツイートを見かけました。


・「コクハラ」→「告白ハラスメント」
脈の無い状態で告白

・「新型パワハラ」→「新型パワーハラスメント」
やる気のある人に「頑張りすぎるな」

・「ズムハラ」→「ズームハラスメント」
オンライン会議で部屋をイジる

・「エイハラ」→「エイジハラスメント」
「いい歳だから」「今の若者は」

・「ブラハラ」→「ブラッドタイプハラスメント」
血液型で性格を決めつける


 「パワハラ」「セクハラ」「アルハラ」等、このような言葉が浸透してから随分経ちますが、ここ数年、「〇〇ハラスメント」「〇〇ハラ」という言葉が増えてきました。
 上記以外にも「逆ハラ」「カスハラ」など思いつきますが、特に印象的なのが「ハラハラ」。「ハラスメント・ハラスメント」です。他人の行動や言動に対して「ハラスメントだ」と過剰に反応する行為らしいです。

 会社というものは、従業員に「コミュニケーション能力」を求めます。その一方で、近年は、社会全体のコンプライアンス意識が高くなり、従業員の言動に敏感になっています。実はこの二つの事柄って相反する事だと思うんですよね。
 人と人がコミュニケーションを取るというのは、何かしら嫌な思い、不快な思いがつきまといます。そしてそれは、人との距離間が近くなれば近くなる程大きくなります。人が抱える悩み、その多くが人間関係によるものなのではないでしょうか。
 ハラスメントにならないよう、周りに不快な思いをさせないよう、人とコミュニケーションを取ろうとすると、当たり障りのない薄っぺらい会話ばかりになったり、「それはハラスメントだっ!」と言われるのが怖くなりコミュニケーションが減っていく。しかし会社は、何かにつけて飲み会やレクリエーションを企画し、従業員同士、親睦を深めさせようとする。

 ・・・・・・もう良く分からない時代に突入しようとしています。

 結局このコンプライアンス社会において一番ベストなのは、「事務的に仕事をこなすロボットの様な従業員」であり、「無駄に人との繋がりを求めず、淡々と業務を遂行する人」なのである。
 「職種によってはそうはいかない」と言う人もいるでしょう。例えば企画職のような、何かを生み出す職種の方達。しかし、その方達も結局、会社にとっては「何度もミーティングで議論を重ね、新たな価値を生み出すロボット」なのではないでしょうか。なんなら、何の問題も無く、会社の武器となる新たな価値を生み出してくれれば、ミーティングで議論を重ねようが重ねまいが、どちらでも良いのではないでしょうか。

 「事務的なロボットみたいな人はいらない」「オペレーターはいらない」と会社は言うでしょう。「だったらAIやロボットに仕事をさせる」と言うでしょう。
 しかし、このコンプライアンス社会において「人間味に溢れる従業員」を育成する事は不可能なのではないでしょうか。

 いいかげん認めてしまったらどうだろうか。そんな事は不可能なのに従業員に人間味を求め、その結果、社内で生じたハラスメントは揉み消すつもりだ、と。そして「人間味があるけれども問題を起こさないロボット」の様な人材が欲しいのだと。

笑顔で多くの売上を上げてくれるロボット。
笑顔でミスなく事務処理をしてくれるロボット。
笑顔で臨機応変に対応してくれるロボット。
笑顔で新たな価値を生み出してくれるロボット。
笑顔で上司先輩の言う事を聞いてくれる、可愛いロボット。
笑顔でお酒を飲み、場を盛り上げてくれる、面白いロボット。
笑顔で
笑顔で
えがおで
エガオデ・・・
エガオデ・・・・・・

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