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三浦豪太の探検学校

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冒険心や探究心溢れる三浦豪太が世の中について語った日本経済新聞の連載記事「三浦豪太の探検学校」(2019年3月に最終章)の、リバイバル版。わずか11歳でキリマンジャロを登頂。フリ…
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2022年11月の記事一覧

ネパール支援の旅

 先週、ネパールのホテル・エベレストビューツアーから帰ってきた。  カトマンズに滞在した初日、いつも僕たちの遠征を現地で仕切ってくれるプラビン・ケーシーにこれまでミウラベースキャンプが集めたネパール大震災義捐金とそれを配るリストを手渡した。そのリストにはこれまで僕たちのエベレスト登山を手伝ってくれた約50人のすべてのシェルパが載っている。その多くは山岳地帯でも被害が大きかったターメとロルワリングのシェルパだ。ブラビンは「確実にみんなに渡るようにする」と固く誓ってくれた。  

登山で心の平静

 先日、山形の出羽三山に「日本の名峰・絶景探訪」というテレビ番組で行く機会を得た。 出羽三山は月山を主峰とし羽黒山、湯殿山からなる。古くから修験道の修行の場であり、現在も羽黒山伏(修験者)が千人以上もいる日本有数の修験道の場である。  そこで山伏として宿坊を営む星野文紘氏と話をすることができた。彼は白装束にホラ貝を持っていて想像していた山伏そのものであった。ところが実際に話をしてみるととても気さくな方で、登山と山伏の話で盛り上がった。  星野氏によると出羽三山は山伏の中では

水の力で観光資源守る

 「頑張ろう ネパール! エベレスト街道」というツアーで、8日に日本を出発、16日帰国予定でエベレスト街道を歩く。この企画はホテル・エベレストビューを建設した宮原巍(たかし)さんと共に計画したものである。  今年4月25日に起きたネパール大震災以来、観光客が激減している。確かに震災による揺れやモンスーン(雨期)による地盤の不安定化によってトレッキングルートのいくつかは通行が難しくなっていたが、現在では迂回ルートもできて、何度もここを通り抜けてきた僕にとっては逆に新鮮だ。  

反応速度と予測力

 先日、日本が誇るテニスプレーヤー、錦織圭選手が参加する日清食品ドリームテニスARIAKEを見に行く機会があった。  大会の収益の一部は東日本大震災の支援や世界食糧計画(WFP)に充てられる。注目は錦織選手と彼のライバル、マリン・チリッチ選手(クロアチア)の8ゲームマッチ。身長198㌢のチリッチ選手から放たれるサーブは強烈で後ろの観客席で見ている僕たちでさえその威力とスピードに度肝を抜かれた。  このエキシビションマッチでは正確にチリッチ選手のサーブのスピードが分らなかった

膝のケガ防止に訓練を

 昨年から僕は全日本スキー連盟(SAJ)の教育本部の国際委員となった。そのため先日、長野県の熊の湯スキー場で行われたスキー中央研修会に行って来た。  本来、この時期の研修会は、スキー技術選手権で選ばれたナショナルデモンストレーターやSAJデモンストレーター(現在の協定を表現するスキーヤー)が雪上で今年の協定を実演する場である。しかし、今年は雪不足のためスキーを滑ることができず、2日間の研修期間は座学となった。今年の教程内容のビデオを見たり、スキーの教え方、スキースクールのリス

今ネパールに必要なもの

 「頑張ろうネパール!エベレスト街道トレッキング」というツアーを企画している。これは12月7日に出発、3日間掛けて世界一標高の高いホテル「ホテル・エベレスト・ビュー」まで行くというもの。そこは日本人の宮原巍(たかし)氏がつくったホテル。僕の祖父・三浦敬三が最初のゲストというゆかりも三浦家にはある。  全室からエベレストを見ることができ、さらにクンブ地方の名峰、ローチェほか、クンビラ、タムセルク、カンテガ、アマダブラムを一望できる。ぜいたくなホテルである。  このツアーの説明会

エベレスト遭難 映画に

 ついに本格的なエベレスト登山映画「エベレスト3D」が封切のとなる。先月、僕はこの映画を試写会で見る機会があった。  この映画は1996年、8人もの犠牲者を出した史上最悪とも呼ばれる大量遭難事故を基にしている。この模様は米国ジャーナリスト、ジョン・クラカワー氏のベストセラー「空へ」をはじめ複数の書籍が出版され、日本でも難波康子さんがこの事故の犠牲者のとなり多くの人に知られることになった。  今回ハリウッドがこの遭難を描くことになる。なぜ、これほどこの遭難が多くの人の感心を呼

ビタミンDを「浴びる」

 群馬県の前橋温泉クリニックでは毎年「アンチエイジングキャンプ」を行っている。抗加齢医学の第一人者、白澤卓二先生のレクチャーのほか、同クリニックの岩波佳江子先生の本格的フラメンコが楽しみだ。  僕は毎年このキャンプの登山の講師を任されている。今年は榛名山の天目山や相馬山の麓を歩く。「関東ふれあいの道」をコースとして18日に実施した。この日はめまいがするほどの日差しに、赤や黄色に染まり始めた榛名山一帯の紅葉が映えていた。  最初の挨拶で白澤先生からアンチエイジングに対してのワ

求愛行動の不思議

 ガラパゴス諸島では様々な求愛行為が見られた。アメリカグンカンドリはノドの下にある奇妙な赤い風船を膨らませ、くちばしを鳴らしてアピールすると言う。オスのアシカは自分のハーレムを守るため体を大きく誇示して雄たけびを響き渡らせる。  中でも僕が気に入ったのはアオアシカツオドリの求愛行為だ。アオアシカツオドリはその名の通り足が見事に青い。この鳥の求愛行動は脚をゆっくりと片足ずつ上げ、自分の脚の青さをアピールする。この動きがなんともユーモラスでかわいい。  アオアシカツオドリにとって

生が際立つガラパゴス

 BS朝日の「地球紀行」と言う番組のリポーターでガラパゴス諸島に行く機会があった。この島は、生き物好きの僕にとって憧れであり、いつか行ってみたいところであった。  エクアドル本土から太平洋沖合約1000キロに位置する19の大きな島々と100ほどの小さな島々からなる。土着した生物は南米本土から隔絶されている為、鳥のように飛んできたか、海流に流されてたどり着いたものばかり。数百万年と言う年月の間に本土に入る種類とはたもとを分かち、独特の発展を遂げた。  人より大きなゾウガメ、海

モーグル選手の魅力

 先日、東京・両国で下山研朗君の結婚パーティーが行われた。下山君はモーグルの元ナショナルチームメンバーであり、ソルトレークシティー五輪の代表である。ナショナルチームで僕と重なることはなかったが、探究心旺盛で勢いのある新人だったと記憶している。その後も僕が主催するモーグルキャンプを手伝ってもらったり、彼の実家のペンションに泊めてもらったりと公私共に付き合いがある。  下山君が招いた友人は僕もなじみの深い人たちばかりだった。附田雄剛、里谷多英、野田鉄平、上野修、西伸幸、西順子、水

ガラパゴスでもゴミ分別

 先日、神奈川県の逗子で引越しをした。引越しと言っても同じマンション内移動なのでそれほど移動距離はない。3日間掛けて荷物をまとめて友人たちの手を借りて動かした。引越しはこれまで捨て切れなかったものを整理する絶好の機会だ。新居になるべく不要なものを持ち込まないように思い切っていろいろ捨てる決心を固める。  ところが10月から我が逗子のゴミの分別が非常に厳しくなった。生ゴミなど家庭ごみ処理の有料化(市の有料指定袋を購入)である。新聞、雑誌、ダンボールやミックスペーパー(雑紙)な

謙虚さと工夫、偉業生む

 9月、国内最大級の「第4回ウルトラトレイル・マウントフジ」レースが行われた。  私の父、三浦雄一郎が名誉実行委員長を務めるこのレースは富士山の裾野の山間部を回る。168㌔にも及ぶレースで、今年の累計標高差は8337㍍。日本だけでなく世界からも集まり、その数は総勢1400人、46時間の制限時間の中、昼夜を問わず走り続けた。  ウルトラトレイル・マウントフジの半分のコースを走るSTY(SHIZUOKA TO YAMANASI)というレースも同時に開催された。距離は80.5㌔、