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水の力で観光資源守る

2015年12月12日日経新聞夕刊に掲載されたものです。

 「頑張ろう ネパール! エベレスト街道」というツアーで、8日に日本を出発、16日帰国予定でエベレスト街道を歩く。この企画はホテル・エベレストビューを建設した宮原巍(たかし)さんと共に計画したものである。
 今年4月25日に起きたネパール大震災以来、観光客が激減している。確かに震災による揺れやモンスーン(雨期)による地盤の不安定化によってトレッキングルートのいくつかは通行が難しくなっていたが、現在では迂回ルートもできて、何度もここを通り抜けてきた僕にとっては逆に新鮮だ。

 しかし、こうした自然災害に加え、政治的な不安定さが最近ネパールで聞かれるようになった。発端はネパールが新たに発布した新憲法により、州の区分けが変わってしまったことによる。この新たな区分けにより、ネパールのインド国境付近に住む親インド住民の政治的なバランスが問題となり、それにインドが介入、国境付近でインドとの陸路輸送を止めてしまった。そのため首都カトマンズでは燃料や日用品がとても手には入りにくくなっているという。
 ネパールが抱える問題は震災の爪痕、風評被害に加え、近隣諸国との関係が挙げられる。
過去10年の間にも王制の崩壊など、政治の不安定さにまつわる問題があった。そんな中でもヒマラヤの山々は変わらぬ壮大さと美しさで魅了してくれた。

 今回の旅ではトレッキングによる観光アピールとともに、クンブ地方の集落、ナムチェバザールに「テラ・プロテクト(除菌機能水)」という浄水器を設置する。これは画期的で、電力やカセイソーダ等の化学薬品を使わなくても、植物ミネラルの自己放電による電気分解と水素吸蔵作用により、生体に有害ではないPh12以上の強アルカリ性の状態を保てる。
この強アルカリの中ではほとんどの細菌やウイルスは死滅する。さらに人体には無害であるという特性を持ち、直接噴霧すれば除菌・殺菌できるし、飲料水としても使うことができる。
 1日300㍑ほどの水を浄化することが可能で、これをシェルパの里とも言われるナムチェバザールの病院に設置する。ネパールが混乱に陥っても、きれいな水を供給できれば、山岳地帯では独立性のある観光資源を保てるのでは、と思っている。

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