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ガラパゴスでもゴミ分別

2015年11月14日日経新聞夕刊に掲載されたものです。

 先日、神奈川県の逗子で引越しをした。引越しと言っても同じマンション内移動なのでそれほど移動距離はない。3日間掛けて荷物をまとめて友人たちの手を借りて動かした。引越しはこれまで捨て切れなかったものを整理する絶好の機会だ。新居になるべく不要なものを持ち込まないように思い切っていろいろ捨てる決心を固める。

 ところが10月から我が逗子のゴミの分別が非常に厳しくなった。生ゴミなど家庭ごみ処理の有料化(市の有料指定袋を購入)である。新聞、雑誌、ダンボールやミックスペーパー(雑紙)などの再生紙は紙袋に入れて無料で出せるが、油がついたピザの箱や使用済みティッシュは有料となる。プラスチックも容器包装プラスチックは無料だが、おもちゃなどのプラスチックは有料の燃やすゴミの仲間になる。その分別があまりに細かく、捨てるものをいちいち本のように厚いゴミ捨て規則の項目から検索しなければいけない。

 ゴミの分別と言うと、9月に取材してきたガラパゴス諸島ではここ10年ほどで分別が進みだした。分別といっても逗子市のような細かいものではなく、生ゴミ、リサイクル可能、リサイクル不可の3つだけ。しかし、ガラパゴス諸島が所属するエクアドル国自体はこうした分別がないため、これは画期的な取り組みだとも言える。
 ガラパゴスではリサイクル可能とされたゴミはその後、ゴミ収集場でベルトコンベヤーにのせられ、作業員がガラス、金属、電池、段ボール等を手作業で仕分けする。段ボールや新聞紙はまとめられて資源として本国に送り返され、ガラス等は細かく砕かれてタイル等の素材となる。こうした取り組みのおかげでリサイクル率ほぼゼロだった状態から37%まで上がったと言う。ちなみに逗子市の分別が細かくなる前のリサイクル率は28%、日本全体のリサイクル率(20.6&、2013年度)を上回っている。

 ガラパゴス諸島は太平洋の真ん中で独自の生態系を持っていて、その分、人の影響を受けやすい。考えてみれば日本も太平洋に浮かぶ島国でガラパゴス諸島同様多くの固有種や独自の生態系がある。人口はガラパゴスの5000倍であり、焼却炉が世界で一番多い。そのごみの影響はガラパゴス諸島の非ではないだろう。面倒なごみの分別も環境意識を高める上では重要なのかもしれない。

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