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面白い本・好きな本|一瞬も 一生も 美しい日本文学と建築[金閣寺・五重塔・羅生門]篇

『一瞬も 一生も 美しく』

誰もが知ってる有名な資生堂のコーポレートメッセージ。今この瞬間も美しく、そしてこれから先もずっと美しく。とてもいい言葉。

で、これって日本の建築と文学にもあてはまるかも、という話。


伊勢神宮 -1300年前から、一瞬を繰り返す

天皇の祖先、天照大神を祀る最も格式の高い神社。内宮と外宮を中心に109もの社が点在する。切妻造の茅葺屋根に千木と堅魚木をのせ、檜の白木の円柱が特徴の「神明造」。

伊勢神宮は2013年竣工なので築9年
なんと、スカイツリーよりも新しい。。

それもそのはず、20年に1度の式年遷宮のため、築20年より古くなることはありえない。新築して綺麗な社殿に神様をお迎えする。1300年にわたり繰り返される、日本の伝統を体現する建築。

では、これは日本人の新築信仰からくるものか?

築年数が浅いものほど価値がある、という現代住宅でよくある信仰。中古は避けられスクラップ&ビルドを繰り返す。西洋の石造建築に比べて、高温多湿の日本の木造は耐用年数が短いから仕方ない?

そんなことはない。
だって法隆寺はずっとそこにある。

伊勢神宮の参道にて


法隆寺 -1300年前から、ずっとそこにある

奈良にある聖徳宗の総本山。飛鳥時代に創建された仏教施設で、聖徳太子ゆかりの寺院でもある。金堂、五重塔を中心とする西院伽藍と、夢殿を中心とした東院伽藍に分けられる。

法隆寺

法隆寺の築年数は約1300年!

ご存知の通り、世界最古の木造建築。法隆寺で使用される檜は、木材の中でも耐久性が非常に高く、伐採後100〜200年で少しずつ強度が増すという。そして1000年が経過するまで強度に変化がない。

五重塔の地震対策はとても有名で、建物中心に「心柱」を設けて揺れを抑える。そう、スカイツリーでも応用されたもの。

法隆寺の廻廊にて


一瞬も 一生も 美しい 日本建築と文学

1300年の長い長い時間の中で、20年という一瞬の輝きを繰り返す伊勢神宮の美しさ、そして1300年もの間、ずっとそこにあり続ける法隆寺の美しさ

新築信仰があるかと思えば、古いものを愛でる侘び寂びの文化もある。そんな大きな振れ幅が、日本建築のいいところなのかなぁと。

と、いうことで、そんな日本建築に思いを馳せながら読んでほしい日本文学の名著三選。

一瞬も 一生も 美しい
丁寧に紡がれた日本語の物語

金閣寺 「永遠に続く美と 一瞬で滅びる美と」
五重塔 「一生残るものに 一瞬一瞬を大切に」
羅生門 「永劫に生きるか 刹那的に死ぬのか」

「一瞬」と「一生」しばりで副題をつけてみる


金閣寺/三島由紀

1950年、昭和時代に起きた「金閣寺放火事件」をもとに描かれた物語。三島由紀夫といえば、これ。

「永遠に続く美と 一瞬で滅びる美と」

『金閣寺』は、三島由紀夫の長編小説。三島の最も成功した代表作というだけでなく、近代日本文学を代表する傑作の一つと見なされ、海外でも評価が高い作品である。

Wikipedia


五重塔/幸田露伴

江戸後期に再建が始まった谷中感応寺の五重塔をモデルにした作品。建築に携わる身として、臨場感抜群。

「一生残るものに 一瞬一瞬を大切に」

技量はありながらも小才の利かぬ性格ゆえに、「のっそり」とあだ名で呼ばれる大工十兵衛。その十兵衛が、義理も人情も捨てて、五重塔建立に一身を捧げる。エゴや作為を超えた魔性のものに憑かれ、翻弄される職人の姿を、求心的な文体で浮き彫りにする露伴の傑作。

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羅生門/芥川龍之介

平安末期の荒廃した京都の羅城門を舞台に、人間の内面を描いた作品。黒澤映画との違いを見比べてみてもいいかと。

「永劫に生きるか 刹那的に死ぬのか」

芥川龍之介の小説。『今昔物語集』の本朝世俗部巻二十九「羅城門登上層見死人盗人語第十八」を基に、巻三十一「太刀帯陣売魚姫語第三十一」の内容を一部に交える形で書かれたものである。生きるための悪という人間のエゴイズムを克明に描き出した。

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