【読書感想文】 "生き方"について考えたくなるコミック3選
こんにちは、みつまめです。
noteでは何回も「本好き」と言いあれこれ書き散らかしておりますが、コミックも好きです。
小学校3-4年生くらいから少女漫画誌を買い始め。
(なかよし派でしたか、りぼんも読んでいました)
中学生の頃にはオタクの友達が出来て、少年マンガや、花ゆめ系に手を出し。
高校生くらいには、同人誌を書いてる友達もできて、さらに読む作品の幅が広がり。
コミックは割と身近でした。
先日人様のコメント欄でとあるコミックをお薦めしたときに、ふと「大人になってからハマったコミック、結構考え込むようなものが多いかも」と気づきました。
特に、ジェンダーとか、生き方とか、根っこにそんなテーマがあるものが多いなぁと。
ライトに楽しく読める類のものではない為、あまり人に薦めた事がありませんでした。
でも今は電子で気軽に読みはじめられるし、合わなきゃサクッとやめられるし、お薦めしても良いかも?と気付きました。
といいつつ有名なのばっかりですが、知らなかったもの、気になるものがありましたら、試し読み等でぜひチェックしてみてください。
"生き方"について考えたくなるコミック3選
1.よしながふみ『大奥』
今季ドラマ化されて話題になってますね。
結構前に二宮和也さん主演で映画化されたりもしてます。
個人的にはコミックがお薦めです。
微妙な表情とか、「美しくない人」のリアリティ、生々しい描写、伏線の張り方はコミックならではだと思います。
日本の江戸時代、疫病が原因で男性が激減し、女性が社会の中心になる話です。
将軍は女性、大奥に入るのは男性です。
史実に沿って話が展開していき、性別だけが逆転している世界。
そして表向きの記録は「将軍は男性」となっているところも設定上のポイント。
跡継ぎでにっちもさっちも行かなくなり、仕方なく将軍に祭り上げられた「女」が、時代が下ると共に「男なんかに将軍は無理」「男は政治に口を出すもんじゃない」とか言っていたり。
そのへんが面白くもあり、ゾッとしたりもします。
特にジェンダーについて学んでいた学生時代。
実際の社会で男女の立場が逆転したらどうなるのかな?とよく妄想していました。
少なくとも、子どもなどの社会的弱者に対してやさしい社会になるのかな?と。
でも、『大奥』を読むと、男女の立場をそっくりそのまま逆転しても、結局は同じことなのかな?と思えます。
結局人間その立場のことしか「知らない」ので、結果は同じ気がする。
それに女性だろうが男性だろうが、政治能力がある人はあるし、ない人はない。
平和主義な人もいれば、「ガンガンいこうぜ」な人もいる。
将軍になりたい人もいれば、なりたくない人もいる。
社会的弱者に優しくない人だっているし、逆に優しすぎる人もだっている。
弱者に優しいからといって、社会を変えるほどの事が実現できるとも限らない。
結局「その人次第」としか言いようがなくて。
「男性」「女性」という生物学的な性別って、実はあまり関係ないのかな、と。
ラストは感動的で、新しい時代を感じさせる明るい終わり方でしたが…
家定や家茂が目指した世界は、現代の日本ですら実現出来ていなくて。
強烈な皮肉だなぁとも思ってしまいました。
一種の思考実験にもなり、普段使っていない脳みそを動かす感じで面白いです。
なお、よしながふみさんは『きのう何食べた?』という40代男性カップルのお話も書いてます。
(これもドラマ化されたので有名ですね)
こちらは全体的にふんわりやさしい雰囲気でちょっとほろ苦な感じ。
あと食べ物の描写がめちゃくちゃ美味しそう。
ドロドロは苦手という方には、こちらの方がお薦めかも。
2.雲田はるこ『昭和元禄落語心中』
そういえばこれも何年か前にドラマ化されてました。(ドラマは見そびれました)
私はコミックから入りましたが、これはアニメもお薦めです。
声優、石田彰さんの七変化っぷりにゾクゾクします。
コミック版がすごいのが、落語の「型」が誰の型なのか、絵で描き分けていること。
落語の大切な要素、声や音がコミックにはないからこその表現ですが、本当に凄いです。
コミック最終巻、五代目菊比古の表情や目。九代目八雲の目。
「型」を通じて繋がっている。あの人やこの人が落語の中に生きている。
ゾクゾクするし、無性に泣けます。
日本の戦前〜現代までの、落語家とその周りの人たちの物語。
私は落語には全然明るくなくて、笑点みたいな楽しいイメージしか持っていませんでした。
ですが、落語家も表現者であり、表現者としての闇も当然抱えていて。
闇も含めてこその「噺家」なのだなぁと。
八雲は幼少期に女社会では生きられなくなり、ある意味では捨てられた子。
「男社会」に生きて、最後には、「最愛の子」や家族を持てた。
小夏は「女性ならでは」の方法で、そこに参加して。
でも最後には男も女もなく「落語の和」の中入れた。
八雲も、小夏も。もしかすると信之助も。
みんな与太郎に救われたのかな。
本当によかったです。
八雲や小夏の感情を追体験した感じで、これが現代だとどうだったんだろうとか。
色々考えてみたくなる話です。
3.ヤマシタトモコ『違国日記』
これは最近電子で数巻+他の巻の試し読みを読んでハマったコミック。
紙の本で読み込みたくて、買うタイミングを図っている最中です。
最新巻まで追いつけていないですが、とにかくじわじわと面白い。
35歳の少女小説家 槙生が、15歳の姪 朝を引き取るところから話が始まります。
朝は中学3年生で、事故で両親を亡くした少女。
さらに両親は籍を入れていない夫婦。
(でも家族3人で暮らしていた描写はある。読み進めたらその辺の理由がわかるんだろうか)
「好きなことをしなさい」と言う割に、朝をガチガチにしばる様子の母、実里。
理想主義で完璧主義、娘に何かを背負わせようとしているような。でも何かに苦しんでもいるような。
実里の闇が見え隠れします。
今は亡き実里が残した「日記」には何が書かれているんだろう。
朝は、両親を亡くした当時は「悲しい」を感じられていないけど、成長するにつれてその感情はどう表れるんだろう。
朝の心の動きに、かつて中学生・高校生だった私が激しく共感しています。
10代の頃独特の、楽しいけど、あのヒリつくような感情の動きを追体験している感じ。
何者かになりたいのに、自分にはその才能がない事もわかっていて。
足元がぐらつく感じ。
どこまで行ってもつきまとう空虚さ。
慎生さんの言うことには、大人の私が頷く。
彼女は風変わりだけど、自分の世界を持っていて、「真っ当な人」という印象。
少女性を抱えたまま大人になった人で、それでいて経験を経て達観している部分もあるというか。
そして朝との暮らしを通じて、慎生の世界が広がっている様子なのも面白い。
私の心の中にいる高校生の私に、慎生さんの言葉が刺さったり。
逆に大人になった私が、慎生さんの言葉に深く頷いたり。
うまく表現できないのですが、2度美味しい感じです。
小説やコミックにはどっぷり浸かってしまうタイプなので、しばらくその世界から帰ってこれなくなる恐れがありまして。
そのため、まだ紙の本を買えずにいます。
でも紙の本で読むって決めたから、電子で読み進めたくない。
続きが早く読みたすぎる。いつ買おうかな。
人の表情や心の機微に強く惹かれるのかも
私はもしかすると、人の表情や、その裏側にある心の機微に強く惹かれる質なのもしれません。
少年マンガとかも好きだし、結構読んできた方だと思います。
なんなら近年ブームになった鬼滅とかチェンソーマンとかも、別に嫌いではないです。
でも大人になった今、どっぷりとはハマれないんですよね。
そして、もう一つ気づく。
紹介したお三方、みんなBL出身の漫画家さんだ…!
BLは、ストーリーやキャラクター同士の関係性が細かく描かれる事が多い気がします。
だから、繊細で微妙な表情の描き分けとか、心理描写が得意な作家さんが多いのも納得。
(一説によると、女性はキャラクター同士の関係性にグッとくる人が多いのだとか)
あと、「男性同士」の恋愛を描くのに、やっぱりジェンダーの問題からは逃れられないので。
だからこそジェンダーについて挑戦的だったり、一般的な考え方を理解した上でのフラットな視点だったり。マイノリティの捉え方が何となく優しかったり。
そんな話が多いのかも。
また自己分析に走ってしまいました。笑
紹介した3作品、個人的にはイチオシのコミックです。
ご興味があるものがありましたら、ぜひ読んでみてください!
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たま〜に感想文を書きます。熱量割と高め。
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