みつまめ

最近 Kindle Unlimited と Audible を使い始めて読書形態が変わ…

みつまめ

最近 Kindle Unlimited と Audible を使い始めて読書形態が変わり、久しく読んでいなかった小説なども読むようになったのでその記録を書いてみようと思いました。

最近の記事

*読了24冊目* 『水車小屋のネネ』

『水車小屋のネネ』津村記久子著 を読んだ。 山下理佐、 律という姉妹を中心に、彼女たちの成長を見守る隣人たち、そして忘れちゃならないヨウム(鳥)「ネネ」との物語。 ヨウムの寿命はおよそ50年だという。 そのうちの40年ほどを描く、、、というと、とても長く感じるが、小学生だった律が40代になる、それは意外とあっけない年月なんだなと思った。 理佐と律、若くして自立した姉と妹の生活が丁寧に丁寧に描かれていくのだが、その生活描写にのめり込んでいるうちに、気づくと人間の一生というも

    • *読了23冊目*『銀河ヒッチハイク・ガイド』

      『銀河ヒッチハイク・ガイド』ダグラス・アダムス著 を読んだ。 『イーロン・マスク』上下巻を読んだ時に、マスク氏の愛読書だと書いてあったので読んでみた。 痛快だった。 好きか嫌いかで言えば、大好きな系統だった。 どれだけ頭のいい人が書いたのかと思う。 こんなに先の展開が読めない本もめずらしい。 それでいて小難しいことは何一つ書いていない。 ナンセンスギャグの連発。 天才バカボンを楽しめる人はこの小説も大いに楽しめるだろう。 腹を抱えて笑っているうちに、実はものすごい深淵に触れ

      • *読了22冊目*『成瀬は信じた道をいく』

        『成瀬は信じた道をいく』宮島美奈著 を読んだ。 「成瀬ならどうするだろう?」 何か困ったことに行き当たると、私はいつもそう考えるようになった。 それくらい憧れてしまっているのだ。 小学生のゼゼカラファン北川みらいと同じだ。 成瀬の親友島崎みゆきも、それはほとんど恋なんじゃないのか?と思えるくらいなのだが、人間が人間に本気で惚れ込むとはこういうことなのだろう。(成瀬側も同じなのだと思う) クレーマーの話も面白かった。 クレームする側の心理にこれほど光を当てた物語は今までな

        • *読了21冊目*『忘れ川をこえた子どもたち』

          『忘れ川をこえた子どもたち』マリア・グリーペ著 を読んだ。 少し前に読んだ『魔女のまなざし』角野栄子著の中で紹介されていた本で、とても気になったので読んでみた。 スウェーデンではこれを子供たちが読むのか? というのが、まず最初の驚きだった。 深い、深すぎる。 大人が読んでも拾い切れないような深さが、物語の随所に散りばめられている。 たとえばこんな文章。 「この世の昼の面が見えるのは、確かに良いことだ。が、影の面もあわせて見ることのできる者こそ、ほんとうにかしこいのだ。」

        *読了24冊目* 『水車小屋のネネ』

          *読了20冊目*『奇跡の教室』

          『奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち 伝説の灘校国語教師・橋本武の流儀』伊藤氏貴著 を読んだ。 2012年に発行された本である。 10年以上前にたまたまこの奇跡の授業に関する特集を何かのテレビで見た。 当時すごく感動したのたが、歳月が経ち、細かいところを忘れてしまったので本を取り寄せて読んでみた。 そして前回テレビで見た時以上に感動してしまった。 エチ先生は中高一貫教育の灘校で国語の教師をしていた。 中学校の3年間の授業を教科書を使わずに『銀の匙』という中勘助の

          *読了20冊目*『奇跡の教室』

          *読了19冊目*『メンタル強め美女白川さん①』

          『メンタル強め美女白川さん①』獅子著 を読んだ。 漫画である。 主役の白川さんはメイクばっちりめの美人で人当たりもよく仕事も出来る。自分をしっかりプロデュースしているタイプで男性社員の受けも良い。 同僚の女性たちからどんなにぶりっ子と言われようとも我が道を邁進する姿は、見ていてまぶしいくらいだ。 白川さんは「中々いないぞこんな人」っていう最強キャラなのだが、周りを取り囲む職場の仲間たちが「いるいる、うちにもいる!」という人ばかりな(というか、自分にも思い当たるふしがいっぱ

          *読了19冊目*『メンタル強め美女白川さん①』

          *読了18冊目*『魔女のまなざし』

          『魔女のまなざし』角野栄子著 を読んだ。 「境界」というのが魔女のキーワードなのだなと思った。 光と闇。 蜜と毒。 美しさと醜さ。 この世とあの世。 見えるものと見えないもの。 それらの間のところに立っているのが魔女という気がした。 立っているというか、(ホウキで)浮かんでいるというのか。 魔女の相棒が黒猫であるというのもうなずける。 しなやかに境界線を飛び越えそうな生物といったら猫だろう。 何事も白黒つけたい人たち(世の中を規律で固めたい人たち)にとって、魔女たちが

          *読了18冊目*『魔女のまなざし』

          *読了17冊目*『イーロン・マスク 下』

          『イーロン・マスク 下』 ウォルター・アイザックソン著 を読んだ。 とんでもなく面白かった『イーロン・マスク 上』の続きである。 上下巻通して思ったのは、たぶん究極の心配性なんだなということだった。 頭のいい人は物事の突端に触れただけでその全貌を知る。 だから今の人類の様子を見ただけでこの先の地球の行く末を見通してしまって「このままじゃダメだ」と思ったのだろう。 私たちがせいぜい数十年(自分の寿命)の範囲で考え行動しているのに対して、イーロンは何百年、何千年、いやひょっと

          *読了17冊目*『イーロン・マスク 下』

          *読了16冊目*『三体』

          『三体』 劉慈欣著 を読んだ。 む、むずかしい。 理系脳ゼロの私には難しすぎる物理の話が延々と続くのだった。 だが、とにかくとんでもなく壮大な話であることは分かった。 ちょっと『幼年期の終わり』を思い出した。 文化大革命によって父親を公開処刑された葉文潔(イエ・ウェンジエ)。 明晰な頭脳を持った彼女は人間の愚かさを一瞬で見通した。 その後の人生をなるべく静かに過ごしたいと考えた彼女は、僻地の基地で秘密裏に進められている国家プロジェクトに参加することとなった。 異星人とコン

          *読了16冊目*『三体』

          *読了15冊目*『堀江貴文のChatGPT大全』

          『堀江貴文のChatGPT大全』 堀江貴文、荒木賢二郎 著 を読んだ。 一刻も早くやらねば! と思った。 2年ほど前にVRゴーグルを購入した。 その時も「早くやらねば!」と思って飛びついたのだ。 これから絶対にVRの時代が来ると思った。 毎日ビートセイバーで踊り狂っていた。 が、飽きた。 そこでもっとVRの世界でコミュニケーションを取ってみようと思った。 が、現実の世界でのコミュ障は、VRの世界へ行ってもやはりコミュ障であった。 ある日VR空間で通りすがりの人に声を掛け

          *読了15冊目*『堀江貴文のChatGPT大全』

          *読了14冊目*『放課後ミステリクラブ 1 金魚の泳ぐプール事件』

          『放課後ミステリクラブ 1 金魚の泳ぐプール事件』 知念実希人著 を読んだ。 本屋大賞に初めて児童書が選ばれたというので読んでみた。 そうか、本好きを育てるならより早い時期から…ということなんだな。 確かに子供の頃に本を好きになった人は余程のことが無い限り一生読み続けると思う。 私は普段あまりミステリーを読まないので不勉強だったが、作者の知念氏はもともとは大人向けのミステリー小説を書いている人気のベストセラー作家さんだ。 その作者が児童書を書こうと思ったきっかけも、子供た

          *読了14冊目*『放課後ミステリクラブ 1 金魚の泳ぐプール事件』

          *読了13冊目*『変な家』

          『変な家』雨穴著 を読んだ。 どこの書店に行っても目立つところに置いてあるので気になっていた。 とにかく売れている本なのだと思う。 不可解な間取りを持つ家をめぐるミステリー。 間取り図を握りしめながらのストーリー展開は、小説というよりは謎解きゲームの感覚に似ているなと思った。 物語が先にあるのではなく、興味を掻き立てられる仕掛け(間取り図)が先ずあって、それに沿うように物語を肉付けしていった感じ。 物語の中に当事者はおらず伝聞形式で会話が進むのでどこか説明っぽいのは否めな

          *読了13冊目*『変な家』

          *読了12冊目*『リカバリー・カバヒコ』

          『リカバリー・カバヒコ』 青山美智子著 を読んだ。 公園にある古いカバの乗り物にまつわる都市伝説、それをめぐる短編集。 各章ごとに主人公が違いそれぞれ独立した話になっている。 新築マンション「アドヴァンス・ヒル」の住人たちが、敷地からほど近い公園と、公園の目の前にあるサンライズ・クリーニングを通してゆるーくつながってゆく物語である。 私は特にに第4話「勇哉の足」が好きだ。 タイトルの通りこの章の主人公は勇哉なのだが、私はクラスメートのスグルに釘付けになった。 つくづく

          *読了12冊目*『リカバリー・カバヒコ』

          *読了11冊目*『イーロン・マスク上』

          『イーロン・マスク 上』ウォルター・アイザックソン著 を読んだ。 いやはや凄い。 何人もの人間が何百年もかかって成し遂げるような変革を、たったひとりで20~30年のあいだにやってのけている。 確かに大天才であるが、余裕しゃくしゃくで進んできたわけではない。 常にお尻に火が付いた状態で危ない橋を渡り続けている。 それを彼は「生まれてこのかたほぼずっと危機対応モード」と表現している。 南アフリカに居た子供時代、家では父に学校では友人に傷つけられた。 そんなイーロン少年は『銀

          *読了11冊目*『イーロン・マスク上』

          *読了10冊目*『祖母姫、ロンドンへ行く!』

          『祖母姫、ロンドンへ行く!』 椹野道流著 を読んだ。 もともと『ハリスおばさんパリへ行く』など、おばちゃんが異国の地で珍道中を繰り広げる系の話が好きである。 しかも今回は80代のおばあちゃんと20代の孫娘という凸凹コンビが繰り広げる旅だというので楽しみに読んだ。 まずこの旅は普通の旅ではない。 超ゴージャス旅である。 飛行機は行きも帰りもファーストクラスで、宿泊しているホテルも最高級、しかもジュニアスイートである。 そして登場してくるそれぞれの分野のスペシャリストたち(

          *読了10冊目*『祖母姫、ロンドンへ行く!』

          *読了9冊目*『一人称単数』

          『一人称単数』 村上春樹著 を読んだ。 これらの短編の主人公って全部村上春樹さんだよねと思った。 違うのかもしれないが、そう思って読んだ方が断然楽しめたので、私は勝手にそう思って読んだ。 主人公の「僕」は自分から積極的に働きかけていくタイプではないのだが、向こうからやってきた時には大抵流れのままにすべて受け入れているのがすごいと思う。 なんというか、垣根が低いというか、なんでも吸収するスポンジみたい。 「なんでも吸収するスポンジみたいね!」というのは、よく小さな子供に向け

          *読了9冊目*『一人称単数』