みつまめ

最近 Kindle Unlimited と Audible を使い始めて読書形態が変わ…

みつまめ

最近 Kindle Unlimited と Audible を使い始めて読書形態が変わり、久しく読んでいなかった小説なども読むようになったのでその記録を書いてみようと思いました。

最近の記事

*読了17冊目*『イーロン・マスク 下』

『イーロン・マスク 下』 ウォルター・アイザックソン著 を読んだ。 とんでもなく面白かった『イーロン・マスク 上』の続きである。 上下巻通して思ったのは、たぶん究極の心配性なんだなということだった。 頭のいい人は物事の突端に触れただけでその全貌を知る。 だから今の人類の様子を見ただけでこの先の地球の行く末を見通してしまって「このままじゃダメだ」と思ったのだろう。 私たちがせいぜい数十年(自分の寿命)の範囲で考え行動しているのに対して、イーロンは何百年、何千年、いやひょっと

    • *読了16冊目*『三体』

      『三体』 劉慈欣著 を読んだ。 む、むずかしい。 理系脳ゼロの私には難しすぎる物理の話が延々と続くのだった。 だが、とにかくとんでもなく壮大な話であることは分かった。 ちょっと『幼年期の終わり』を思い出した。 文化大革命によって父親を公開処刑された葉文潔(イエ・ウェンジエ)。 明晰な頭脳を持った彼女は人間の愚かさを一瞬で見通した。 その後の人生をなるべく静かに過ごしたいと考えた彼女は、僻地の基地で秘密裏に進められている国家プロジェクトに参加することとなった。 異星人とコン

      • *読了15冊目*『堀江貴文のChatGPT大全』

        『堀江貴文のChatGPT大全』 堀江貴文、荒木賢二郎 著 を読んだ。 一刻も早くやらねば! と思った。 2年ほど前にVRゴーグルを購入した。 その時も「早くやらねば!」と思って飛びついたのだ。 これから絶対にVRの時代が来ると思った。 毎日ビートセイバーで踊り狂っていた。 が、飽きた。 そこでもっとVRの世界でコミュニケーションを取ってみようと思った。 が、現実の世界でのコミュ障は、VRの世界へ行ってもやはりコミュ障であった。 ある日VR空間で通りすがりの人に声を掛け

        • *読了14冊目*『放課後ミステリクラブ 1 金魚の泳ぐプール事件』

          『放課後ミステリクラブ 1 金魚の泳ぐプール事件』 知念実希人著 を読んだ。 本屋大賞に初めて児童書が選ばれたというので読んでみた。 そうか、本好きを育てるならより早い時期から…ということなんだな。 確かに子供の頃に本を好きになった人は余程のことが無い限り一生読み続けると思う。 私は普段あまりミステリーを読まないので不勉強だったが、作者の知念氏はもともとは大人向けのミステリー小説を書いている人気のベストセラー作家さんだ。 その作者が児童書を書こうと思ったきっかけも、子供た

        *読了17冊目*『イーロン・マスク 下』

          *読了13冊目*『変な家』

          『変な家』雨穴著 を読んだ。 どこの書店に行っても目立つところに置いてあるので気になっていた。 とにかく売れている本なのだと思う。 不可解な間取りを持つ家をめぐるミステリー。 間取り図を握りしめながらのストーリー展開は、小説というよりは謎解きゲームの感覚に似ているなと思った。 物語が先にあるのではなく、興味を掻き立てられる仕掛け(間取り図)が先ずあって、それに沿うように物語を肉付けしていった感じ。 物語の中に当事者はおらず伝聞形式で会話が進むのでどこか説明っぽいのは否めな

          *読了13冊目*『変な家』

          *読了12冊目*『リカバリー・カバヒコ』

          『リカバリー・カバヒコ』 青山美智子著 を読んだ。 公園にある古いカバの乗り物にまつわる都市伝説、それをめぐる短編集。 各章ごとに主人公が違いそれぞれ独立した話になっている。 新築マンション「アドヴァンス・ヒル」の住人たちが、敷地からほど近い公園と、公園の目の前にあるサンライズ・クリーニングを通してゆるーくつながってゆく物語である。 私は特にに第4話「勇哉の足」が好きだ。 タイトルの通りこの章の主人公は勇哉なのだが、私はクラスメートのスグルに釘付けになった。 つくづく

          *読了12冊目*『リカバリー・カバヒコ』

          *読了11冊目*『イーロン・マスク上』

          『イーロン・マスク 上』ウォルター・アイザックソン著 を読んだ。 いやはや凄い。 何人もの人間が何百年もかかって成し遂げるような変革を、たったひとりで20~30年のあいだにやってのけている。 確かに大天才であるが、余裕しゃくしゃくで進んできたわけではない。 常にお尻に火が付いた状態で危ない橋を渡り続けている。 それを彼は「生まれてこのかたほぼずっと危機対応モード」と表現している。 南アフリカに居た子供時代、家では父に学校では友人に傷つけられた。 そんなイーロン少年は『銀

          *読了11冊目*『イーロン・マスク上』

          *読了10冊目*『祖母姫、ロンドンへ行く!』

          『祖母姫、ロンドンへ行く!』 椹野道流著 を読んだ。 もともと『ハリスおばさんパリへ行く』など、おばちゃんが異国の地で珍道中を繰り広げる系の話が好きである。 しかも今回は80代のおばあちゃんと20代の孫娘という凸凹コンビが繰り広げる旅だというので楽しみに読んだ。 まずこの旅は普通の旅ではない。 超ゴージャス旅である。 飛行機は行きも帰りもファーストクラスで、宿泊しているホテルも最高級、しかもジュニアスイートである。 そして登場してくるそれぞれの分野のスペシャリストたち(

          *読了10冊目*『祖母姫、ロンドンへ行く!』

          *読了9冊目*『一人称単数』

          『一人称単数』 村上春樹著 を読んだ。 これらの短編の主人公って全部村上春樹さんだよねと思った。 違うのかもしれないが、そう思って読んだ方が断然楽しめたので、私は勝手にそう思って読んだ。 主人公の「僕」は自分から積極的に働きかけていくタイプではないのだが、向こうからやってきた時には大抵流れのままにすべて受け入れているのがすごいと思う。 なんというか、垣根が低いというか、なんでも吸収するスポンジみたい。 「なんでも吸収するスポンジみたいね!」というのは、よく小さな子供に向け

          *読了9冊目*『一人称単数』

          *読了8冊目*『成瀬は天下を取りにいく』

          『成瀬は天下を取りにいく』 宮島未奈著 を読んだ。 志が大きいって大切なことだなと思った。 成瀬の掲げた志は「200歳まで生きる」である。 だから毎朝走り込み、丁寧に歯を磨く。 200歳まで生きるためには与えられたリソース(肉体資源)を大切にする。 掲げた夢がドデカイ奴は、大抵身の回りの小さなことに気を取られない。 それはスポーツ選手などもそうだと思うが、日々の練習で友達との仲が疎遠になってもそのことでクヨクヨ悩んだりはしない。 眼差しはひたすらゴールをしっかりと見据えて

          *読了8冊目*『成瀬は天下を取りにいく』

          *読了7冊目*『墨のゆらめき』

          三浦しをん著 『墨のゆらめき』 を読んだ。 うん、好きだ、大好きだ! 以上。 旨いものを食べた時と一緒で、本当に好きなものは「うーん、旨い!」しか出てこない。 そんなわけで、今回は主人公の実直なホテルマン・続力(つづきちから)の人に話しかけられやすい性質について非常に共感したので書いてみる。 まず、人に話しかけられやすい人の特徴の描写が見事である。 つまりこれは、作者自身がこういう体質であるということだろう。 そして私も同じ体質である。 思いつくことを書いてみると

          *読了7冊目*『墨のゆらめき』

          *読了6冊目*『黄色い家』

          『黄色い家』川上未映子著 を読んだ。 生きるって大変だ。 何度そう心の中でつぶやいただろう。 とにかくやりきれない。 そこでその道を選ばなければこんなことにはならなかったのに…と思える瞬間がひとつもない。 この家に生まれて、こういう親で、こういう経済力で、こんな風に育てられて、本人の学力はこれくらいで、こんな人間関係で…と積み重なっていったら、もう誰でもこうなるしかないだろうと思えてしまう。 その逃げ道のなさは、おそらくその親の代、そのまた親の代からずっと連綿と続いている

          *読了6冊目*『黄色い家』

          *読了5冊目*『ハロルドとモード』

          『ハロルドとモード』コリン・ヒギンズ著 を読んだ。 19歳と79歳の恋愛である。 ハロルドは19歳にしては幼すぎるなと思った。 母親を驚かせたくて自殺ごっこを繰り返したり。 そんなに家が嫌なら飛び出せる年齢だと思うが、彼はずっと家にいる。 この幼稚さは、おそらく純粋さから来るのであろう。 どうしようもないくらい繊細で臆病で、幼な子のようにピュアでやさしい。 この優しさは「他人に親切にする」という類の優しさではなく、「曇りなき目で真っ直ぐに世界を見る」というやさしさだ。

          *読了5冊目*『ハロルドとモード』

          *読了4冊目*『街とその不確かな壁』

          『街とその不確かな壁』村上春樹著を読んだ。 村上春樹さんの長編小説は純愛をテーマに描かれていることが多いが、この話もそうである。 なぜ純愛なのか? おそらく恋が一番私たちの「タガを外させる」ものだからであろう。 この小説の中には、ふたつの純愛が描かれている。 主人公の「ぼく」の純愛と、子易さんの純愛だ。 どちらも愛する女性が人生の途中で去ってしまい、残された彼らは喪失感を抱えたまま生きている。 それを子易さんは、 「いったん混じりけの無い純粋な愛を味わったものは、言う

          *読了4冊目*『街とその不確かな壁』

          *読了3冊目*『ハヤブサ消防団』

          『ハヤブサ消防団』池井戸潤著 を読んだ。 作者の池井戸潤さんが大人気の作家さんであることは知っている。 が、作品を読むのはこれが初めてだった。 ドラマ化や映画化されている作品がたくさんあることも知っているが、それらも見たことが無い。 というわけで、初・池井戸潤である。 まず、とても面白かった。 最初の方でひたすら繰り広げられる田舎暮らしの描写のシーンも楽しく読んだ。 私自身が田舎の出であるので、地元の消防団や、神社の掃除当番や、同じ名字がやたらと多いので下の名前で呼び合う

          *読了3冊目*『ハヤブサ消防団』

          *読了2冊目*『光のとこにいてね』

          2023年本屋大賞第3位、直木賞候補作、「光のとこにいてね」一穂ミチ著を読んだ。 主役は果遠と結珠というふたりの女の子だが、私が圧倒的に応援したいのは結珠の家庭教師、藤野だった。 なんでこんなにいい男なんだ? でもこの物語においては、彼がいい人であればあるほど悲しい。 ただの都合のいい登場人物のように思えてしまう。 藤野は小瀧家の不穏さも、結珠と果遠の事情も、全部知ってたくせになんでわざわざ結珠を選んだのかなと思う。 結珠に惚れたというよりは、結珠と果遠の関係に憧憬のよう

          *読了2冊目*『光のとこにいてね』