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*読了13冊目*『変な家』

『変な家』雨穴著 を読んだ。
どこの書店に行っても目立つところに置いてあるので気になっていた。
とにかく売れている本なのだと思う。

不可解な間取りを持つ家をめぐるミステリー。
間取り図を握りしめながらのストーリー展開は、小説というよりは謎解きゲームの感覚に似ているなと思った。
物語が先にあるのではなく、興味を掻き立てられる仕掛け(間取り図)が先ずあって、それに沿うように物語を肉付けしていった感じ。

物語の中に当事者はおらず伝聞形式で会話が進むのでどこか説明っぽいのは否めない。
とはいえ、もともと感情的な表現を目指した作品ではないのだろうから、そのドライさがかえって良い。
普段あまり小説やドラマや映画を見ないという人の中には感情を揺さぶられるのが苦手という人もいると思うが、この作品にはそれがない。
たとえば「ここで泣け!」「ここで笑え!」というような押しつけがましさもない。

その代わり知恵の輪をひとつひとつ解いていく時のような緊張と解放の連続がある。
背筋がゾゾっとするような展開が続いていくが、最後まで読み通すと気味の悪さよりも悲しさの方が残る。

普段あまり本を読まないという人にこそ試して欲しい作品だ。



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