最近の記事
圧倒的な数の手仕事によってつくられた空間に身を投じながら、その半生をめぐる展覧会 梅津庸一「クリスタルパレス」国立国際美術館(1/3)
大阪市・国立国際美術館で開催中の特別展「梅津庸一 クリスタルパレス」。圧倒的な数の手仕事によってつくられた空間に身を投じながら、その半生をめぐる展覧会。SNSではカラフルな展示風景写真とともに満足度の高い感想も見られ、美術関係者やアートウォッチャーだけでなく、ヴィジュアル系バンドのファンも多く来場しているようだ。 梅津庸一は、油彩、ドローイング、映像、陶芸、版画などの制作に加え、私塾の開設や展覧会の企画、非営利ギャラリーの運営といった多岐にわたる活動を展開する美術家であり、本
マガジン
記事
“答えあわせはまた後で” 津田道子ーー『 Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる』レポート&レビュー TCAA2022-2024受賞記念展
TCAA2022-2024受賞記念展『津田道子 Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる』『サエボーグ I WAS MADE FOR LOVING YOU』レポート&レビューより続く。 津田道子がTCAA の受賞記念展でサエボーグ『 I WAS MADE FOR LOVING YOU』と共に開催中の個展『Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる』は、一つの大きなインスタレーション空間の中でパフォーマンスが行われるサエボーグと異なり、三つに
“弱さと愛” サエボーグーー『I WAS MADE FOR LOVING YOU』レポート&レビュー TCAA2022-2024受賞記念展
TCAA2022-2024受賞記念展『津田道子 Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる』『サエボーグ I WAS MADE FOR LOVING YOU』レポート&レビューより続く。 サエボーグがTCAA受賞記念作品展で展示中の作品『I WAS MADE FOR LOVING YOU』は、アーティスト・トークでも語られた通り『あいちトリエンナーレ2019』で発表した『House of L』と直接的なつながりを持っている。 『House of L』では、ラ
TCAA 2022-2024受賞記念展『サエボーグ「I WAS MADE FOR LOVING YOU」/津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる』レポート&レビュー
2024年3月30日から7月7日まで、東京都現代美術館(MOT)で、本年もTokyo Contemporary Art Award ( = TCAA) の受賞記念展『サエボーグ I WAS MADE FOR LOVING YOU』『津田道子 Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる』が開かれている。 同アワードは東京都とトーキョーアーツアンドスペースTOKAS(=TOKAS)が主催し、『海外での展開も含め、更なる飛躍とポテンシャルが期待できる国内の中堅アー
ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ 展示レポート 3/3
6. あなたたちはなぜ、過去の記憶を生き直そうとするのか? 遠藤麻衣 国立西洋美術館所蔵エドヴァルド・ムンク《アルファとオメガ》の世界観に触発され、その物語をストリップ劇場の記憶も絡めて翻案し、演じ直す≒生き直すパフォーマンスの映像作品。 期間中に遠藤によるトークセッションも行われている。 飯山由貴が突如パフォーマンスを行った同日、遠藤麻衣は百瀬文と所々赤く塗られた白い服を着て手を繋ぎゆっくりと歩くゲリラパフォーマンスを展示企画室前のロビーで行った。飯山に
ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ 展示レポート 2/3
3. この美術館の可視/不可視のフレームはなにか?布施琳太郎 階段で降りていくと青い光が漏れていた。象徴的な色の照明を使う布施琳太郎はル・コルビュジエが基本設計した国立西洋美術館の本館建築へ多大な関心を寄せ、美術館の建築というフレームを問うていた。 田中功起 田中功起は美術館の不可視のフレームとでもいえるものを問題化した。「複数の提案を作品化し、美術館が暗黙のうちに前提としている「鑑賞者」の取捨選択を批判的に浮き彫りにしようとする」。 提案のうち「臨時託児室」、「翻訳言
ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ 展示レポート 1/3
2024年5月12日まで、国立西洋美術館では初となる現代アーティストとの展示が開催されている。本記事ではインスタレーションビューを中心に紹介する。(作家による記事確認が必要なパートは時間がないため除いた) 本館入口から階下へ下り、企画展示室前のロビーにある展示ステイトメント。よくある日英併記ではなく複数の言語で出されていることに気付く。田中功起が行った美術館への提案の一つが実現したもの。「介入的なプロジェクトなどの多様な芸術実践のなかで、田中は「共に生きるとは何か」を
ワタリウム美術館メンバーシップ・イベント 梅津庸一と展覧会を鑑賞する | 国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」(投稿まとめ)
本記事はX(旧:Twitter)への投稿をまとめたものです。 2024/4/27(土)、ワタリウム美術館によるメンバーシップ・イベントとして、国立西洋美術館で開催中の企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」にて「梅津庸一と展覧会を鑑賞する」が行われた。 取材:@Romance_JCT 作品・作家の解説に加え、梅津氏による愛憎入り混じるコメントがなされる。雲行きが怪しくなると和多利浩一氏に「次行きましょう」と流される手厳しい指摘もあったが批判ば
ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ レポート
国立西洋美術館で企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?―国立西洋美術館65年目の自問現代美術家たちへの問いかけ」が開幕。 まだ見ぬ美術館のカタチを建築から捉えようと試みた布施琳太郎、自分の過去や現在、頭の中が開陳されているようだと語る中林忠良ら21組が参加。 遠藤麻衣による同館で撮影され自身も出演の映像作品と回転ベッド(座れる!)。 壁にはムンクの版画連作が並ぶ。 彫刻や絵画でない生の身体という新しいメディアが美術館に持ち込まれること、またそのメデ