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みしか
2018年3月9日 22:50
「やっぱり板そばはうまいよなぁ……。」 カイさんは長方形の枠のなかに平たく盛られた蕎麦に、嬉しそうに箸を入れていく。そういえば、カイさんと初めての食事も板そばだった。 嬉しそうに蕎麦をすする彼を見ながら、ぼんやりと大学時代を思い出す。初めて、カイさんが私をこの店に連れてきてくれたときのことを。 いつの間にか、この店で二人で食事をとることが当たり前になって、先輩と後輩から友達になって、今
2018年1月6日 00:17
こつん、と乾いた音が落ち着いた茶色のツヤを持つテーブルの上で響く。 店にいる人たちには聞こえていないのか、気づいていないふりをしているのか。ふと周囲を見渡しても、視線を上げる人はいない。それぞれが手に持ったケータイとか、文庫本とか、そんなものに夢中になっている。「とりあえず、ランチセットでいい?」 私の返事を待たずに、彼はさっさと店員に注文をする。Aセット、ドリンクはコーヒー、ホットで。