わたしのフリーペーパー戦記
先日、会津美里町を紹介するフリーペーパーの入稿が、無事に完了しました! いまは印刷所さんから冊子が届くのを、どきどきしながら待っている状態です。
制作したフリーペーパーの概要はこちら。
タイトル : 『Misse』
キャッチコピー : 会津美里に恋する、マガジン
判型 : A5サイズ・フルカラー・8ページ
内容・目的
会津美里町の観光情報を紹介し、町を知る、足を運ぶきっかけをつくる
制作人数 : 2人(自分+デザイナー)
テキストの確認は協力隊や役場の方々にご協力いただきました!
制作期間 : 1ヶ月ほど(企画から入稿まで)
今回は自己流ですが、簡単な冊子の制作工程をご紹介いたします。フリーペーパーだけではなく、ほかの制作物をつくる際にもご活用ください。
ものづくりをする上で、私が思うことも盛りこんでいます。
「とりあえず、本をつくる流れが知りたい!」という場合は、太字を追うと読みやすいかと思います。
冒険のはじまり
私は常々、編集者はRPGの主人公に似ているな〜と思っています。
装備を整え、仲間を集めて指示を出す。そして困難(制作)に立ち向かい世界を幸せにすることは、本が読者に届くまでにそっくりなのです。
ここからは、RPGのストーリーに沿って説明を進めてまいります。
まずは、大まかな流れから。
企画、ラフづくり
↓
(取材のアポ取り、デザイナーなどの手配)
↓
制作
↓
印刷・(手)製本
基本的にはこの3~4ステップで、本づくりを行います。
では、それぞれの内容をもう少し詳しく、ぐぐっとよって見てみましょう。
旅立ちの準備
・企画、ラフづくり
書籍内容や仕様、紙面構成(ラフ)を決めます。
私が中身の面で重視しているのは「誰に向けて、なんのために、どう伝えるか」です。
出版社であれば、どのくらい収益が見こめるかも重要なポイント。今回はフリーペーパーということで、お金の部分は無視しています。
しかし、ターゲット層へ効果的に情報を届けること = 利益といえるかもしれませんね。
仕様は冊子の大きさ、ページ数、カラー・モノクロ、本を綴じる向きなどを、内容にあわせて考えていきます。
あまりにも壮大なフリーペーパーにしたり、コストのかかる紙や特殊印刷を選んだりすると、あとで己を呪いたくなるので慎重に。
発行しても収入がないので、予算との相談は大切です。
ラフは紙面の設計図です。
テキストや写真の位置、文字数などを決めます。
企画の内容によって、ページをさく分量、縦書きにするか横書きにするかなどを考えていきます。
情報が掲載しきれなかったり、テーマとちぐはぐな構成になったりしないよう、本のテーマを意識するとよいと思います。
あとから変更することも多いので、最初はさっくり書いてみてください。
制作にあたり、1番最初に私が書いたラフ。かなりざっくりです。白い。
これをカタチにするデザイナーさんには本当に頭が上がりません。
手書きの人もいれば、Word や InDesign で組む人もいます。やりやすい方法でつくってみてくださいね。
・スケジュール
修正や見直しの時間を多めに取って立てるのがおすすめ。
いかに優れた内容でも、情報に誤りがあれば価値がなくなってしまいます。徹頭徹尾の心構えで、最後にシワ寄せがきても対応できる余白を持たせておきましょう。
全体のスケジュール管理も編集者の仕事です。
仲間を集める
・仕事の依頼(取材先、デザイナーなど)
取材のアポ、依頼などは、企画と制作のはざまに声をかけることが多いです。いくつか候補を出し、優先順位をつけてあたっていきます。
第一候補に断られても、どうかあきらめないでください。「捨てる神あれば拾う神あり」です。拾ってくださった神さまを厚く信仰し、最大限の感謝を伝えましょう。
取材先にフォーカスしている、またはデザイナー・カメラマンありきの場合は、企画の段階で話を通しておくと安心です。
取材先に本の趣旨や依頼内容を説明し、企画書を送ります。
ここで「なぜ、あなたにお願いしたいのか」を明確に伝えるのが重要。内容を理解してもらうと、その後の取材や制作がスムーズです。
先方が「これは私にはあわないと思う……」といって、自分の人選が誤っており、それを気づかせてくれることもあります。
候補者の情報をたくさん仕入れておくことが、ミスマッチの防止につながります。また取材をするときに小ネタとして出せば話が広がり、会話がつながりやすくなりますよ。
実際に取材したら、想像していなかった面白い話を聞けることがあります。
記事の内容、取材の切り口は決まっていても、「こっちのほうがよさそう」と判断したら中身を変えるのもありです。
取材については、こちらの記事がおすすめ。
魔王の城へ
・制作
いよいよ魔王の城に突入です。ここに足を踏み入れたら、どんな恐ろしいことが起こるか……。
混乱した仲間に殴られようが、罠にかかって苦しい思いをしようが、太平洋のような心で落ち着いた対処をしなくてはなりません。
複数人で制作を進めるにあたり、最も大切にしてほしいのが報連相です。
「え、そんなこと?」と思われるかもしれませんが、これは誰かと物事を進めるときの基礎。土台がぐらぐらだったら、積み上げられたものはいつ崩れてもおかしくありませんよね。
作業中に起こるトラブルの大半は人によるものです。連携が取れなかったため、人災が発生して大惨事に陥ったこともありました。
〜セピア色の回想シーン〜 ▶︎▶︎ : スキップ
学生時代に授業の一環として、冊子をつくったときのことです。
私には、同じゼミに所属する友人Aがいました。Twitterのレスポンスは神速なのに、グループLINEで制作の話をすると途端に音信不通。
原稿やレスポンスの遅れで全体の作業が進まず、やがてチーム内の空気は最悪に。
結果、その人との友情は粉々になりました。
つながりが深いほどダメージは大きくなります。
「大丈夫だからなにも言わない」は危険です。
問題がないのか確認中なのか、はたまた見てすらいないのか、こちらはわかりません。
知った仲だとはいえ、相手の気持ちを完全に読み取ることは不可能です。ささいなことでも話し合って齟齬を減らしていけば、作品の品質向上にもつながります。
また逐一「どうですか?」と聞き直すことは時間の無駄にもなります。これは投げたボールを拾って、相手に手渡ししている状態。
効率よく作業を進めるために、コミュニケーションの流れはよくしておきたいですよね。
時間の流れは平等です。他者と関わるとき、その人の時間をもらっている感覚を持てば、おのずと思いやりのある行動がとれるはず。
取材の際にも、忘れてはいけない気持ちだと考えています。
悲しい事件を避けるためにも、どうか報連相はしっかり行なってください。
とくに進捗状況は綿密にやり取りを。
締切前になって、「ごめん……」と死の宣告を受ける確率を下げられます。
自分が忙しくて期限を過ぎそうな場合、それがわかった時点でいまの状況といつまでに作業が終わるかを早めに連絡しましょう。
・修正
書いたテキストは一晩寝かせ、印刷して確認してみてください。
時間を置くと、書いていたときより客観的に文章が読めるようになります。一文字ずつはじくテキストの誤りを見つける読みと、読者としての読み、2つの視点で内容と見つめあってください。
赤字はだれが見てもわかるように。必ず赤ペンで書くという決まりはないので、ほかの色を使ってもOKです。
枠外まで線を引いて書くと、中がごちゃごちゃになりませんよ。
文章の確認が苦手な方は、ゆっくり音読をするのがおすすめです。
読んでいてつまずくのは文章に淀みがある証拠。声に出すと間違いや、表現と語尾の重複に気づきやすくなります。
息継ぎしたいところに句読点をおくと、リズムがよくなってメリハリがでますよ。
一番よいのは他者に確認してもらうこと。
タイトルや見出しなど、案外目につくところの間違いは見落としがちなので注意が必要です。
取材先への原稿確認(必要な場合)もお忘れなく。
・印刷、(手)製本
自分で製本をする場合は、ここでもうひと頑張り。
疲れてしまったら、一呼吸おいてから作業を再開してくださいね。つくっている途中で体力が切れると、「もういいや」と投げ出したくなります。
逆に立ち止まるとできなくなってしまう方は、そのまま制作を続行し、完成したらすぐに身体を休めてください。
健康第一です。
そして世界は平和につつまれた
印刷所への入稿が完了したら、あとは現物が届くのを待つだけ。
私の心は解放感のあと、一瞬でミスがあったらどうしようと不安に押しつぶされそうになります。何度確認しても心配なものは、心配。
フリーペーパーが無事に届くと、本当によかったと泣きたくなります。
ものづくりには天井がありません。こだわりたければ、どこまでもこだわることができます。
しかし締切を設けないと、永遠に完成できない人も多いのではないでしょうか。かくいう私もそのひとりです。
限られた制作期間で、いかに完成度の高い作品を生み出すか。効率よく作業を行う方法を常に考えることが大切です。
培った経験や失敗が、次の成功につながります。
1回や2回うまくいかなくても、この世は終わりません。最初から、とんとん拍子に進むなんて滅多にないですよね。
できるまでやれば、失敗は成功に変わります。
諦めたらそこで試合終了なのです。
みなさまの旅路に幸多からんことを願っております。
▶︎さいしょから
▷つづきから
ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
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