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ソリューション営業は終わった③|イノベーションと自主性を求める新しいマネジメント

こんにちは。かきもとみさです。

前回記事①、に引き続き、「営業の教科書」の論文の紹介と自分なりの気づきを綴ってみたいと思います。

営業マネージャーはどうすべきなのか

トップセールスが標的とする顧客には「扱いやすさ」よりも、変化を受入れる「機動性」が求められ、ソリューションではなく「インサイト」を与えることがこれからの時代に求められる営業であると前回記事にもまとめていました。

これらの変化に対応してマネジメントを実行する側はどうすべきかについては、下記のようなことが書かれていました。

マネジメントの焦点も、エラー発生率ゼロの生産プロセスを構築することから、イノベーションを促進するための優秀な人材を募集し、採用することへと変化した。

上記著書より

営業マシンの量産は終わり

上記からもわかる通り、これからの時代はマネージャーはセールスに対して裁量権を与え、目指す指針だけを共有して自律した営業活動に邁進させるべきということです。

これを聞いて、自分が昔いた営業組織はまさに「営業マシンの生産工場」を目指していた会社だったなぁと痛感しました。

昔、在籍していた組織はこんな感じでした。

・訪問記録は必ずインプットし、月に〇〇件というインプットの最低ノルマが課される。
・営業チームで統一の施策が付与され、その進捗と効果を月ごとに検証していく。
・月の訪問件数、提案件数、見積件数などを可視化し進捗管理。
・大型案件については進捗を特に管理され、受注に至るまでに期間、抑えるべきポイントの共有、システムへのインプットを義務化される。

上記のようなことをメンバーは強いられ、マネージャーは営業メンバーの稼働実績を見ながら、「どうすれば売上があがるのか」ということについて稼働データから仮説検証し、答えを導いていくことができます。

これは営業部としてはかなりレベルが高いことだと思うし、ここまできちんとできていれば優秀な組織であると言えるでしょう。

私が以前の記事で書いたことも、この状態を目指すべきだとしています。

「科学的に営業する」というのはまさにこの「営業マシン生産工場」であり、ある意味、マネジメントとしては理想的な部分もあると思います。

ただし。

自分がこういう組織の中で、マネジメントではなく1人のメンバーとして働いていた時に、あるひとつのモヤモヤを抱えていたことをよく覚えています。

それは「これって、どんなに"仕事がデキナイ"人材でも、一定のマネジメントレベルに達することを目指していないか?」ということでした。

つまり、稼働データから抽出された「収益を上げるために必要なプロセスはこれ」という「答え」をSFAなどのシステムが用意してくれて収益が上がるのであれば、それに従っていれば良いだけなのでマネジメントの優秀さは全く必要なくなります。当時私がいた会社はその状態を組織は目指しているように思えて他ならなかったわけです。

なので、当時の私は「組織の底上げのために営業メンバーが付き合わされているだけじゃん」と本気で思っていました。「そのためになぜ遅くまで残業して稼働状況や報告事項をインプットしなければならないのか。(そう思い始めてすぐ後くらいに退職しました….)」

私のような1人のセールスに、そう思わせてしまう。これこそが営業マシン生産工場のデメリットなのではないかなと思います。

当時は、私自身は部門でも上位をキープするトップセールスの部類にいたと自負しており、システムにインプットなんてしなくたって収益は上げられる人材でした。

だから、組織の底上げのために増やされる仕事に対してすごくネガティブにとらえており「お客さんのために動きたいのになんでこんなことのために残業してるんだろう」と感じていたんです。

営業メンバーに裁量権を与え、イノベーションを促進する組織

成功のカギを最も簡潔に表すとすれば、最高の人材を雇用し、権限を与える環境を生み出し、必要なツールと指針を与え、みずから手出しをしないことなのである。

同著

著書にある上記を読んで、「ああ、理想論だなぁ」と、良くも悪くも思いました。

「良くも」と言ったのは、「ああ、以前いた会社がそういう組織だったら、最高だったのに。」という、激しく同意の意味です。

本来、顧客に一番近いセールスが、顧客の変革を促進するために「インサイト」を与え、課題やニーズを再定義するプロセスに関わり、価格競争ではない提案をしていく。これが本物の営業担当者のあるべき姿だと思うし、それはマネジメントの細かいプロセスKPIなんかでは決して生み出せない賜物だと思うのです。

「悪くも」と言ったのは、上記が最高の営業マネジメントであると深く理解しつつも、「口で言うのは簡単だけれども、それでうまく組織が回るとは到底思えない」という本音です。

もちろん、優秀な人材ほど、裁量を与えられるほど定着率は高まり離反を防ぐことにはつながるかもしれませんが、これからの時代に求められる上記のようなマネジメントスタイルは、ある程度の優秀さを備えた人材があってこその理想像です。

能力が高い人材を自社の組織に抱え続けるなんて、至難の業。ましてや限られた予算(給与)で人材を確保し、自主性の高い営業組織を構築し、イノベーションを促進するだなんて「やっぱり学者が書いた机上の空論だな」と言ってもいいくらいの難易度でしょう。

引き算してはどうか?

ですが、上記のように営業メンバーの自主性を尊重し、裁量権を与えながら顧客にインサイトを与えていく組織を目指ざす。これに向けて少しずつ変化を起こしていくこと自体は不可能ではないのではないかもしれない、と感じます。

そもそも、仮に組織にソリューション営業が定着し、営業マシンの大量生産工場が設立できたのだとしたら、それはその時点でものすごい功績です。世の中のほとんどの営業をかかえる会社がまずこのレベルに達しません。

だから、ここからさらに変革することも不可能ではないかもしれません。

そのためにどうすべきか。単なる私のアイデアですが、「営業マシン量産」のための施策を少しずつ引き算していくのはどうかな、と思います。

システムへの稼働インプットの項目を減らしたり、メンバー統一の施策を減らしたり。架電件数や訪問件数のKPIを無くしてみたり。

正直、営業マシン量産の組織に在籍していた私からすると、「今月は〇件、これを入力して」と毎日のようにTODOが増えていくことに慣れている状態にあると(もはや慣れ過ぎて感覚がマヒしている状態)、「これからは、〇と〇はインプットしなくてもいいよ」と言われると、それだけで「え!!ほんと!?」と、とんでもなく心理的負担の軽減されたように錯覚するレベルだと思うんですよね。

だから、「マシン」工場でのプロセスに慣れた営業メンバーたちから、すこしずつメンバー統一のTODO事項を引き算していく。これは絶大なポジティブな心理的効果を生むと確信しています。

その分、マネジメント人材は、チームが目指している指針や方向性だけはきちんと浸透させていく。その実現のためにどうすべきかは「メンバーに自ら考えさせ、目指させる」というスタンスを少しずつ取り入れると良いのではないでしょうか。

こういうことを少しずつ着手していくと、徐々にこれからの時代に求められる自主性のある営業組織に近づけるのではないかなと思います。


長くなってしまいましたが、今回は自分が在籍していた組織での実体験を踏まえて書いてみました。

また気づきがまとまったら続きを書きたいと思います。


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