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①「どんな感じで過ごしてますか、普段は」


取材会場は カテリーナの森 ステージにて

記事・写真 三浦順子


はじめに

時は2023年の秋。編集長KEYちゃんと私(三浦)は大分県のちょっと北の方へ向かった。行き先は「カテリーナの森」。野外ステージで素敵なライブがあったり、古楽器が作られたりしているその場所のことは何年も前から聞いていた。あのカテリーナに行くのかぁ…。これからその舞台の上で、3人のアーティストから話を聞く。メンバーは山香町在住の木村さんと、画家の安藤さんと、baobabの未來さん。baobabのCDを聴き、安藤さんの緻密な絵画を観て、木村さんのアート活動のことを思うと…うわー、なんかすごい。ドキドキしながら行ったんで、私はあまり質問してません。連載第1弾の今回は、みなさん家でどんなふうに過ごしてるんですか?みたいなお話ですが…もちろんこのメンバーですから。普通の近況報告にはなりませんよ、笑。さあ、編集長KEYちゃんっ、あとのことは頼みます!


ミンタラ創刊号を見ていただくの図

安藤:(このメンバーの)チョイスをしたのは誰なんですか
編集長:ミンタラマガジンのクルーのみんなで考えたんです
安藤:いやー、ちょっと個人的には相当面白いと思う。この3人でしょう

(一同笑う)

安藤:みんな分野が違いますからねー。

(一同うなずいている)

編集長:みなさんアーティストっていう共通点があって
安藤:うん、面白いと思います。

(最初から編集長手作りのおやつタイムが始まる9:30AM)

編集長:はい。これ(おやつを置く)
未來:でか!。笑
編集長:お腹が減ってきたら食べてください
未來:もういただきます

木村さん 安藤さん

編集長:普段はみなさん、どんな感じで過ごされているんですか?
安藤:僕は普通に絵ですからね。教室もやってる。場所はメインは宇佐のカルチャーセンターみたいなところです。
木村:(家の)引っ越しはした?
安藤:した。
木村:じゃあ家の改修はまだ続いてる感じ?。
安藤:改修はまだ半分ぐらい。


安藤さんの家って…いいっすねぇ

安藤:カテさん(※カテリーナ古楽器研究所=未來さんの本拠地)とかとお付き合いさせてもらってると「古民家っていいな」と思うでしょ?。…僕もそう思っちゃったんですね。それで古民家のほうに行っちゃったわけですよ。そしたら、屋根はないわねー

ー屋根がない!!

木村:補修のしようもないみたいな感じだね

安藤:壁なんかもなくてー。

ー壁もないんですか!

木村:いや、あるじゃないですか一応

安藤:1階の土壁は壊れてて外が見えるんですよ。

未來:土間が池になるっていう…

安藤:そうそうそう。

(一同黙った後爆笑)

木村:屋根ないのは厳しいね

安藤:もう、何とか屋根にしましたけどね。

編集長:自分で張ったんですか?

安藤:瓦ですね。…なので、まあ日常はそういった家の修繕。あとは制作と教室ですかね。



編集長:何時ぐらいに絵を描くんですか。この時間がいいとかあるんですか。

安藤:あんまないですけどね。でも(家には)奥さんだけでしょ?。朝が普通に来るじゃないですか。んでご飯食べるでしょ?で、まあ各々(活動する)でしょ?で、夕方ご飯食べるでしょ?

編集長:…普通なんですけどなんか面白いのはなんでですかね笑

安藤:集まるでしょ?2人で

未來:はい。

安藤:その後解散でしょう。

未來:はい、解散です。はい。

安藤:お昼また集まる。また解散

木村:食べるときに集まるんですね。なるほど、

安藤:うん。で夕方から集まって夕食でしょ

未來:うん

安藤:また解散。

木村:…仕事の成果とかは話し合わないんですか

安藤:もうだからそういう話も結構やっぱ日常に入ってるんで、普通に。で夜12時ぐらいまで。それが毎日です。同じルーティーンで。

一同:ほー

未來:じゃあその、2人それぞれの時間は何かしら描いたり…

安藤:そそそ。お互い、アトリエにこもって、描いてる感じ?

木村:胸をえぐるような駄目出しとかはされないんですか?

安藤:…はないんですよー。

(一同笑う)

木村:あ、ないの?

安藤:はい。すごい褒めてくれる。香さん(妻の安藤香さん=アーティスト)てそういう人なんですよね。なんかこう「ワーッ」て喜んでくれるタイプ。

未來:…いいっすねぇ。いいっすよ!羨ましいっすよ

編集長:え、未來さんたちご夫婦は違う感じ…

未來:胸えぐられっぱなし、アハハハハハ!

編集長:へえー!怒られてますか

未來:もうもうもう!

一同:ハハハハハハ!!


未來さん 木村さん

コウハクさんと木村さんの出会い

編集長:木村さんちはどうですか?。

木村:うちはね、もう諦めてますね。

編集長:あ、

木村:このダラダラした生活をしているのがこの人の生き方なんだなっていう。ハハハハハ

編集長:作品とかに関しては…

木村:作品っていうか…僕はあんまり創作もしてないですからね。もうただダラダラ遊んでるような感じなんで。まあ家にいないで何してきたんだろうということもあんまり追及もしないし。ハハハハハ

安藤:息子さんは?

木村:電器屋さんで働いてます。

安藤:あっち方面には行かなかったんですか?デザイン系というか

木村:ああ、パソコンが好きだったんですよね。何をどう考えたんだか、親は全然関知してなくて。かみさんの方にはいくらか話してるみたいだけど。親を見て「こうはなりたくない」と思ったのかもしれない。ちゃんと働いてて。

編集長:一緒にお住まいなんですか。

木村:そうです。だんだん鬱陶しいですよね…アハハハ!!なんだか鬱陶しいヤツがいるなと思うとたいがい自分の姿…だそうです。笑

編集長:集合はしないんですか?。木村さん

木村:集合はないですね。

編集長:そのまま散り散りに

木村:散り散りに。たまーにパソコンがもうあまりにも僕はできないんで「頼むからやってくれ」って言って、さげすまれながらね。息子に「俺がいつまでもやってるとあんたがいつまでたっても覚えないから」って言われて


一同:ハハハハハハ!


木村:コウハクさん(未來さんの父・松本公博さん)がそうだったんでしょ?

未來:コウハクはもっと圧が強かったんでー。「やらないだけで俺はやればできる」っていう感じで頼みに来るんですよ、笑。そのくせに僕でもできないようなことを求めてきたりするんですよ。原理的にはできるはずだみたいな感じで、なんか一番いやな

安藤:ちょっと、そうだなぁ

未來:で、なんかちょっとやりだしたら「こんなん手の方が早いじゃねえか」みたいな感じで。笑。

木村:目に浮かぶよ。

編集長:コウハクさんとは長いんですか。木村さんは

木村:僕はね、出くわして。「一緒に何かやらないですか」って話になって。…なかなか僕の方がここに寄りつけないのは、結局最初(コウハクさんと)一緒に居り切らんかったんですよ。引っ越しでくっついてきて…あのときには僕もなんか行き暮れたようになっちゃって。東京におられんなぁみたいな感じになったんですけど、1人でどっかへ場所を探していくっていうような、そんな行動力もなく。たまたまそのときに知り合いの美術館のやつから「ちょっと大変な引っ越しがあるから」って。

未來:はい

木村:(カテリーナの)引っ越しを手伝うことになって、コウハクさんに会った。それで(東京から山香に)一緒にくっついてきた。しばらく居候させてもらったりしていたんですけど、結局一緒におりきらんで、離れちゃったんですよ。離れたって言ってもすぐそこなんですけど。笑。未來くんが10歳のときだったかな

未來:東京から引っ越しのとき…覚えてますもちろん。

木村:(それから木村さんが)ケガしちゃって。さすがにこのままこの関係でっていうのは残念だなと思って、リコーダーを教わりに来てね。ある時期。

未來:うん、そうですね

木村:松本さん(コウハクさん)はなんか怪訝な顔してて。「リコーダー習いにくるの?」みたいな感じで。

未來:けどなんか楽しみでやってましたね。

木村:あれは面白かったですね。2年ぐらいやって…いろいろ話しますけど。僕、褥瘡(床ずれ)を作っちゃってね。めぶき園(木村さんが関わってきた豊後大野市犬飼町の施設)にずっと通う…クッションもなしに車に乗って、結構1時間半片道みたいのをしてたんです。それで疲れがたまってきて、お尻に圧がかかってて、で弁当箱みたいな大きさの褥瘡ができちゃって。それで、せっかくやってたリコーダーも結局7カ月ぐらい中断して、それからまたちょっと途絶えてしまった感じだった。

安藤:それってどのくらい前なんですか

未來:6、7年前ぐらいのことですよね。それからコウハク…、うん。(亡くなって)5年ぐらい経つ。

編集長:歴史が、ありますねー。

木村:だからいい機会をもらったなーと思ってるんですよ。

未來:うんうんうんうん。

木村:もうずいぶん昔のね、話だけど。

編集長:へえー…なんか、頻繁に会われたりしてるのかなっていう感じを持っていたんですけど

未來:いや近くなんで、すれ違うとか「どうもー」とかね、それこそコンビニでコピーしてる時に会うとか、そういう感じで。

木村:最近でこそ少しずつね、ライブしてもらったりとか。めぶき園の人の作品を音に起こすっていうのをお願いしてやってるとかですね。


めぶき園での作品にリズムを感じて

ー作品から音を起こしたりしてるんですね。平面なんですか?
木村:岩崎さんっていってね、水彩で花をずっと描いてる人がいて。最初すーっごい写実的な、達者な絵をババババーって書いたんですよ。

岩崎さんお花の絵① 初期作品


それが…彼らは一つのことをやりだすとあんまりそこから外れていかない。毎日のように花を描くっていうルーティーンが続いて、絵がパターン化してきた。だんだんそれが一見ね、稚拙に見えてくるんですよ。いま見ると琳派(※1)みたいでデザイン的でもあるし、違って見えるんですけどね。

岩崎さんお花の絵② だんだんパターン化してデザイン的に


※1 琳派とは↓

木村:で、横に付いてて結構悩んで、安藤さんにも相談したりね。「でも、多分無限にやれることはあるはずだから」とか彼は言ってくれたりして、そうかなーとか思いながら。

未來:うん

木村:でも、絵ですからね。自分がこうしたいっていってやってることを「いやそれ違うだろ」って、こっちに連れてくるわけにはいかない。

未來:うんうんうんうん。

木村:施設もね、それから何カ所か変わったんですよ。環境の変化で絵がちょっと萎縮したような印象になって。けど見てるうちに、なんかもう◯が、ポンポンポンとなんですけど、3つ並んで2つ行ったりとか、4、4、5とかね。単純にリズムを感じるんですよ。で、なごみ園の職員と「音は起こせるんじゃないかなー」という話になった。音感を刺激するようなふうにちょっと見えたんですよね。ポンポンポンポンポンポンポンポン、タタタタタタターって。で、未來くんに頼んでやってますね。

編集長:未來さんは今までそういう作業をされたことはあったんですか。絵から音にするみたいなことは

未來:音楽って結構映像とか、何かしらから影響を受けて作るっていうことがあって。自然現象もそうだし絵もそう。何かから影響を受けてとか日々の中の出来事によって、感じ得て音になっていくみたいなこともあるので。でも、木村さんのその提案っていうのは新しい形だったなと思います。

(③へつづく)
7/19(土曜)19時 更新!

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次回②は制作についてのお話から田舎暮らしに欠かせない草刈りのことまで…。表現ってすべてが一体なのだなぁとジワジワわかる内容です。そして、ただ話しているだけでもなぜか面白い安藤さんのルーツについてもお聞きしていきます!


プロフィール


安藤 誠人(あんどう まさと)
1972年 大分県別府市生まれ
2000年(専)仙台 College of design入学
2002年 鯨井久樹 造形美術教室 入門
2003年 安藤誠人個展 
    以降個展、グループ展多数
2011年 大分県宇佐市に移住
2021年 カテリーナ古楽器研究所大分移住30周年記念公演に絵画で参加
2023年 カテリーナ古楽器研究所開設50周年記念公演に絵画で参加
現在、一色による色調と技法と物質を内なる必然性と関連した絵画表現を探究。

https://www.instagram.com/masato.ando_?igsh=MXNram91OXBtdnhpeA%3D%3D



木村 秀和(きむら ひでかず)
1961年兵庫県生まれ
東京造形大学で彫刻を学ぶ。           
大分移住後別杵速見森林組合で林業に携わる。   
2000年作業中の事故で脊椎を損傷し以後車椅子生活となる。
現在豊後大野市犬飼町 社会福祉法人萌葱の郷の施設で自閉症の人達の美術制作をサポートしている。

https://www.facebook.com/profile.php?id=100055164999837

松本 未來(まつもと みらい)
1982年東京生まれ
ヨーロッパ、中世・ルネサンス期の古楽器を復元・制作する工房を遊び場に、数多くの古楽器に囲まれ、制作の現場で育つ。調律師でもあった父のチェンバロ調律は子守唄。音楽は家族の楽しみ、コミュニケーションの一つとして日常にあった。旅をすれば歌が生まれ、楽しくなれば太鼓を鳴らし体が動く。生活は作ることを基本として、楽器に限らず道具やものは自らが作る。そんな生活の場が現在の生きる道を形づけてきた。baobabと同時に古楽器演奏ではシトール、ギターン、ハーディー・ガーディー等を担当する。作ることと音を奏でることは、互いに大きなインスピレーションを与え合うものとして存在している。音楽よりも長い経歴を持つ楽器制作では、現在、カテリーナ古楽器研究所を主宰する。

https://l.instagram.com/?u=https%3A%2F%2Fwww.catherina1972.com%2F&e=AT3O9GZr4J6LtclP76nb8cBe3Ns6eB62KCVFcnVUPSxtz-d6brXt742Z5KrLF-BgWTIlCypJOEmovxADPy-SzCVeWSkieXjL4hALVYDQrpXVQ0KMrfWCHA



Magazine Crew

文・写真
三浦順子(あのね文書室)
ライター/インタビュアー。 大分県の片隅でドタバタと4人の子育て中。猫3匹と6人家族で暮らしています。元地方紙記者(見出しとレイアウト担当)。2019年、インタビュー記事を書きはじめました。2022年からは地方紙と専門紙の契約ライターもやってます。

https://www.instagram.com/nemuidesu?igsh=a2wwbHRkZnh2MDM2



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