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守る女と壊す女 『ザ・クラウン - シーズン4』

最近は韓国ドラマに夢中な私だが、「愛の不時着」に出会う以前、海外ドラマといえば NETFLIXオリジナルシリーズ「ザ・クラウン」が一番のお気に入りだった。

その「ザ・クラウン」のシーズン4が、昨日11月15日(日)ついに配信された。
韓国ドラマの長さに慣れてしまった私にとって、1話1時間、10エピソードの「ザ・クラウン」はある意味楽勝。昨日と今日で早々に観了してしまった。



さて、この物語は現英国君主であるエリザベス2 世とその家族の人生、そして人間模様を描いた壮大な歴史ドラマだ。

シーズン4はいよいよチャールス皇太子がダイアナと出会い結婚をする。
そして鉄の女「マーガレット・サッチャー」の登場だ。

現代英国王室を語るにおいてダイアナは超重要人物ではあるが、個人的にはダイアナとチャールズの不幸な結婚よりも、女王とマーガレット・サッチャー、この二人のリーダーの関係に興味惹かれた。


エリザベス女王は立憲君主制の長として「何もしないこと」が自分の仕事だと考え、政治に関し自身の意見を表明しないことを信条としている。

彼女にとって一番大切なのは代々受け継いてきた君主制を守ること。
それを持続するために欠かせない「伝統」に重きを置く。
君主制の継続は他の何よりも優先され、その為にはどんな犠牲もいとわない。

しかし「何もしない」「意見を述べない」生き方は、簡単なようでいて実は一番難しい。なぜなら感情を持った人間の生き方として、それは極めて不自然なことだから。
それでも、守るべきもののために信条を貫き、家族にもをそれを求めてきた。


一方で、商店の店主であり議員だった父の背中を見て育ったマーガレット・サッチャーは革新的だ。既得権や "今までのやり方" にこだわるベテラン議員たちを追い出し、どん底の状態にある国の経済を立て直すため大改革に乗り出す。
大きな痛みを伴う改革はその分反発も大きい。

しかしそんなことは承知の上。
彼女は戦うことに意義を見出している。
「何もしないで解決することなどありえない」というのが彼女のスタンスなのだ。
サッチャーは首相としての役目を果たすべく、つまりは経済を復活させ、国民を自立させるために自身の意志を貫き通す。


一見正反対な二人だが、実は共通点がある。
それは英国のために自身の人生を捧げていること。
この、自身の信念を曲げない2人の女リーダー、女王と首相との掛け合いは見応えがあった。


それにしても、ダイアナといいサッチャーといい俳優陣が素晴らしい。演技はもちろん、とにかく実物と似ている。
顔や姿だけではなく話し方やしぐさまで、ものすごくよく研究されている。

また、現役の王室メンバーの人生をドラマにするのは、史実に基づいたフィクションとはいえ、なかなかスゴいことだと思う。
これも英国のお国柄なのか。

ともあれ、1年待った甲斐あり、ドーンと胸にくる重厚な人間模様を堪能した。

次のシーズン5では、シーズン3の時と同様に登場人物の経年に合わせてキャストを刷新するらしい(とネットでみた)。配信は来年ではなく2022年になるとか。

気長に待つとしよう。


***


さて、初めて「ザ・クラウン」を鑑賞したのは昨年。
鑑賞後は英国王室の歴史に俄然興味が湧き、以下2つのドキュメンタリー作品を鑑賞した。

1.『ハウス・オブ・ウィンザー  イギリス王室の歩み』(2017)
2.『ストーリー・オブ・ダイアナ』(2017)


特に『ハウス・オブ・ウィンザー イギリス 王室の歩み』が面白い。ドラマの理解がより深まる&歴史好きには必見の作品だ。
(2作品共に本日現在NETFLIXで鑑賞できます)


もうひとつ紹介したいのは、映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」。こちらも良作。
「ザ・クラウン」シーズン4の時代背景がよくわかるので併せて鑑賞するといいかも。メリル・ストリープ演じるサッチャーも迫力あって見応えあります。



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