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第239回往復書簡 あとはあした、19時半
石田千 → 牧野伊三夫さんへ
秋の雨がつづく。しとしと、朝は傘をさしたけど、帰りはささない。はんたいの日もある。
よく食べ、よく眠り、よく歩いている。元気はあんまりないけど、からだは、だいじょうぶのようす。
遠出の前日は、早寝。うまくいけば。19時半、遅くとも20時にはふとんにはいる。そして、2時半に起きる。
読書の時間は、夕食のとき、冷凍したパンが焼けるまでの15分。それでも、ぽつぽ
第238回往復書簡 盛岡へ
牧野伊三夫 → 石田千さんへ
十一月、盛岡で行なう個展の案内状が刷りあがった。デザインは盛岡在住の伊瀬谷美貴さん。繊細で丁寧なデザインをされる方だ。昨年、「ひめくり」の菊池美帆さんから個展の依頼があって、今年の初め、大雪の日に盛岡へその打ち合わせを兼ねて遊びに行ったとき久しぶりにお会いして、デザインのお願いをした。その後はメールでのやりとりだったが、こんなに離れて仕事ができるのだから、35年
第237回往復書簡 しばらくお待ちください、10時
石田千 → 牧野伊三夫さんへ
東京に戻り、用事が滞る。暑い。くたびれた。からだがのろまになる。
遅れてごめんなさい。
ほうぼうに、お詫び申し上げるうちに、息が苦しくなる。
しばらくお待ちください。
子どものころ、テレビの画面がそんなふうになった。
グレーの画面だったから、白黒テレビのころかなあ。
ゆっくり進むといいきかせても、ざわざわしている。
過呼吸と二人三脚秋来たる 金町
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第235回往復書簡 文庫本、16時20分
石田千 → 牧野伊三夫さんへ
牧野さん、目のぐあいは、いかがですか。
夏場は、汗が目に入ったり、不調はおつらいことと思います。泳ぐときにも支障があるかもしれませんね。くれぐれも、お大事になさってください。
こちらは、お盆の帰省をしました。すこしでも長くと思いながら、2週間しかいられませんでした。お墓参り、5年ぶりに親戚をたずねたり、あっというまでした。母とはけんかばかりでしたが、ワインバ
第233回往復書簡 還暦、7月4日
石田千 → 牧野伊三夫さんへ
牧野伊三夫さん、還暦のお祝いを申し上げます。
60年まえ、7月に臨月をむかえられたお母さまは、暑さを乗り越え、辰年うまれの男の子をご出産されたのですね。
ご家族で、お祝いをなさいましたか。交友のひろい、牧野さん。お誘いも、たくさんなのかもしれませんね。還暦のあかい装束、きっとお似合いになられますね。
夏がお好きな牧野さんですが、くれぐれも、おからだ大切にな
第231回 ワンピースにカーディガン、11時
石田千 → 牧野伊三夫さんへ
月にいちどの11時、メンタルクリニックの診察がある。
まえは、朝いちばんにしていた。いまは、前日に遠出しているので、11時になった。
先月は、いまいちばん以前のようにしたいのは、おしゃれです。ふんわりしたスカート、長いスカートがあちこち、ことに地面に触れるのは、おそろしい。半袖でも外出できない。極力肌を出さず、首にはストール、帽子をかぶり、つるつるした素材の
第230回往復書簡 はちみつ、11時
石田千 → 牧野伊三夫さんへ
ことしも、東北の養蜂園より、1年ぶんの蜂蜜が届いた。
みつばちが、すくなくなっている。養蜂園のご夫妻は、高齢になられて、お仕事を縮小された。養蜂と、果樹園、重労働を案じている。
毎年2月に、1年ぶんを注文する。まえに3月に電話をしたら、売切れてしまっていた。
さくらんぼの花の蜜は、こっくり黄金いろ。甘さのあとに、桜餅のような香が、鼻をぬける。
この
第228回往復書簡 昼顔、9時20分
石田千 → 牧野伊三夫さんへ
遠出の仕事は、週に3日。2か月すぎて、車窓にながれる木々のみどりも、勢いを増している。手入れのされている林とそうでないところのちがいも、わかってくる。
行きも帰りも座席にすわれるようになったので、眠っていることも増えた。眠りこけ、ふと目がさめる駅は、たいていおんなじところ。うたたねにもリズムがあるみたい。
きのうも、ねぼけた目で、あとひと駅。電車が動くと、フ
第226回往復書簡 音読、19時
石田千 → 牧野伊三夫さんへ
夕食は、パン。冷凍してあるので、焼きあがりまで、16分かかる。
アルミホイルでくるんであるのを、焼き網にのせて、表裏4分ずつ。ホイルをはがして、おなじように4分ずつ。4分ごとに、キッチンタイマーに呼ばれている。
焼きあがるまでは、おつまみタイム。みぎ手にはちいさな匙、ミックスナッツをすくって、ぽりぽり。左手は文庫本をもって、毎日16分のみじかい読書。声をだし
第225回往復書簡 初夏の風
牧野伊三夫 → 石田千さんへ
博多の「メゾンはこしま」での個展のはじまりの会を終えて、十日ぶりに戻った。家をながくあけて帰ると、窓を全部開けて風を入れ、台所や風呂場の水道の蛇口も開いて水を流しっぱなしにする。それから掃除機をかけ、神棚に手を合わせ、一段落すると、ビールが飲みたくなる。それがわかっているから、出がけに冷蔵庫で冷やしておくのだ。よく冷えたのを抜いて、一気に飲む。そうすると家も体も
第224回往復書簡 いちご、19時
石田千 → 牧野伊三夫さんへ
連休のあいだの平日、帰省をしてきました。
羽田空港では、いつもバスターミナルから、飛行機へと移動しますが、今回は、バスに乗って、あたらしいバスターミナルに移動して、またバスに乗って飛行機へ。なんだか空港のバスツアーのようで、おもしろかった。
日本一のバスターミナルは、なんといっても、日田の駅前。毎回、おみやげ、おむすび、菓子パンを買ったりできる。なにより、寶屋