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月金帳

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小説家石田千さんと画家牧野伊三夫さんの往復書簡
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記事一覧

第242回往復書簡 秋の日

牧野伊三夫 →  石田千さんへ 盛岡での個展に向けて、版画をふたつ彫り終える。 さて、これ…

港の人
2日前
15

第241回往復書簡 あとはあした、19時半

石田千 →  牧野伊三夫さんへ  秋の雨がつづく。しとしと、朝はさしたけど、帰りはささな…

港の人
2日前
13

第240回往復書簡 のとのわ

牧野伊三夫 →  石田千さんへ  富山の荒井江里さんが、能登の支援プロジェクトを立ち上げ…

港の人
2週間前
19

第239回往復書簡 あとはあした、19時半

石田千 →  牧野伊三夫さんへ  秋の雨がつづく。しとしと、朝は傘をさしたけど、帰りはさ…

港の人
3週間前
27

第238回往復書簡 盛岡へ

牧野伊三夫 →  石田千さんへ  十一月、盛岡で行なう個展の案内状が刷りあがった。デザイ…

港の人
1か月前
17

第237回往復書簡 しばらくお待ちください、10時

石田千 →  牧野伊三夫さんへ 東京に戻り、用事が滞る。暑い。くたびれた。からだがのろま…

港の人
1か月前
19

第236回往復書簡

牧野伊三夫 →  石田千さんへ  38年前にアンデスの高原列車に乗ったときの記憶を描いている。あの日、僕は列車の電灯が消され、月明りだけになったうす暗い座席で流しのチャランゴを聴いてクスコの街へ向かっていた。古い記憶は輪郭がボンヤリとしていて、河原で丸くなって転がる石のようになって残っている。  (9月16日月曜日)

第235回往復書簡 文庫本、16時20分

石田千 →  牧野伊三夫さんへ  牧野さん、目のぐあいは、いかがですか。  夏場は、汗が目…

港の人
1か月前
26

第234回往復書簡

牧野伊三夫 →  石田千さんへ  暗い森の向こう、薄めたような淡い水色の空に珊瑚色の雲が…

港の人
2か月前
19

第233回往復書簡 還暦、7月4日

石田千 →  牧野伊三夫さんへ  牧野伊三夫さん、還暦のお祝いを申し上げます。  60年まえ…

港の人
2か月前
35

第232回往復書簡

牧野伊三夫 →  石田千さんへ  結膜炎で視界がボンヤリしている。このまま失明してしまっ…

港の人
3か月前
22

第231回 ワンピースにカーディガン、11時

石田千 →  牧野伊三夫さんへ  月にいちどの11時、メンタルクリニックの診察がある。  ま…

港の人
3か月前
40

第230回往復書簡 はちみつ、11時

 石田千 →   牧野伊三夫さんへ   ことしも、東北の養蜂園より、1年ぶんの蜂蜜が届い…

港の人
4か月前
30

第229回

牧野伊三夫 →  石田千さんへ  寝ころんで、ネナ・ベネッサノウを聴いている。もうずっと。  あの日、車にガソリンと水、それにフランスパンとイワシの缶詰めなどの食料を積んで、トゥリアラからフォールドーファンへ向かっていた。僕は画材を入れたカバンにマルティニックのラムをしのばせて、堀内君と後部座席に身を沈めていたが、その飲料用のペットボトルに入れたガソリンが燃えるのではないかと案じていた。  彼らは、森のなかで迷ったが、地図はおろか、磁石も星座も頼りにせずに、ベヘルカの浜ま