第219回往復書簡 自画像
牧野伊三夫 → 石田千さんへ
絵描き仲間たちと年に二回、四月と十月に発行している美術同人誌が、この春、刊行二十五周年の節目を迎えた。僕はこの本を創刊して、編集発行人をつとめてきた。一時期、千さんも同人だったことがある。これまでずっと掲載する絵も文章も自由なテーマだったが、節目の号というので、創刊以来はじめて、絵の方は「自画像」、文章の方は「私の絵が生まれるとき」というテーマを設けた。なぜ自画像をテーマとしたかというと、先行き不透明な時代に、ここで一度みんなで自分をみつめ