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第224回往復書簡 いちご、19時

石田千 →  牧野伊三夫さんへ

 連休のあいだの平日、帰省をしてきました。
羽田空港では、いつもバスターミナルから、飛行機へと移動しますが、今回は、バスに乗って、あたらしいバスターミナルに移動して、またバスに乗って飛行機へ。なんだか空港のバスツアーのようで、おもしろかった。
 日本一のバスターミナルは、なんといっても、日田の駅前。毎回、おみやげ、おむすび、菓子パンを買ったりできる。なにより、寶屋のおかみさんが、わざわざ見送りにきてくださる。毎回、かならず、きてくださる。日本一のバスターミナルは、だんぜん日田です。
 東北の晩春。筍、山菜のさかりでした。こごみに、うるいに、ばんけ。わらびには、まだはやかった。あちこちからいただいて、母は連日、筍の皮をむいて、米ぬかでゆで、水にさらしていました。そうして、粕汁や煮もの、朝昼晩と飽きず食べていました。
 今回うれしかったのは、地元のいちご。実がやわらかいので、地元でしか食べられません。甘く、香りよく、すこし小ぶりで、長細い。毎晩、友人のお店から送っていただいたワインといっしょに、ふたりでひとパック。
 10時、3時には、ああ、ぜいたくといいながら、チョコレートとコーヒー。
 テレビもたくさん見ました。朝のドラマが、とてもおもしろかった。かえってから、毎日、母に続きをきいています。
 台所の換気扇、エアコン、トースターと電子レンジ。掃除をしたのは、それくらいで、のんきにさせていただきました。衣がえにはまだ寒く、冬とおなじかっこうですごしていた。
 東京にもどったら、いきなり夏でした。
 朝はストーブをたいていたのに、アパートにもどったら、まっさきに、エアコンの除湿をつけました。日本は、ひろいなあ。

  筍の毛深い皮を飽かずむく    金町
  (5月10日金曜日)

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