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第225回往復書簡 初夏の風

牧野伊三夫 →  石田千さんへ

 博多の「メゾンはこしま」での個展のはじまりの会を終えて、十日ぶりに戻った。家をながくあけて帰ると、窓を全部開けて風を入れ、台所や風呂場の水道の蛇口も開いて水を流しっぱなしにする。それから掃除機をかけ、神棚に手を合わせ、一段落すると、ビールが飲みたくなる。それがわかっているから、出がけに冷蔵庫で冷やしておくのだ。よく冷えたのを抜いて、一気に飲む。そうすると家も体も、なにかすっきりとした気分になる。
 先週から盛岡の「ひめくり」で毎年恒例のTシャツ展もはじまっている。ことしは、「干潟の渡り鳥たちのために」という抽象的な絵を刷った。来週からは、銀座の「森岡書店」で美術同人誌『四月と十月』の仲間たちとの刊行25周年記念の展覧会がはじまる。
  (5月15日水曜日)


Tシャツ「干潟の渡り鳥たちのために」2024年シルクスクリーン(刷り/6Jumbo pins)

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