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SF、読書のよろこびマガジン

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大人になってからSFの楽しみを知った人の記録。本が好き、ゲーム興味ないかたはここで。
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2020年12月の記事一覧

【読書記録】「メンタリスト」を手掛けたジョーダン・ハーパーの小説デビュー作「拳銃使いの娘」

【読書記録】「メンタリスト」を手掛けたジョーダン・ハーパーの小説デビュー作「拳銃使いの娘」

白人ギャング軍団の大ボスともめて、家族を皆殺しにすると予告された主人公ニック。
彼は、娘のポリーを守るために、盗難車の助手席に乗せて逃亡する。明るい展開が全く見えないアクション・バイオレンス小説だ。

敵の大ボスが最初から、もう投獄されているのが面白い。
彼の意志は、買収された刑務官や手紙の切れ端、暗号や耳打ちによって各地に広まる。
彼らの信者である全米の白人ギャング、一触即発の南米系グループ、ど

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馳星周「少年と犬」ジョン・ロンドン「野生の呼び声」 新旧犬小説を続けて読むと2倍おもしろかった!

馳星周「少年と犬」ジョン・ロンドン「野生の呼び声」 新旧犬小説を続けて読むと2倍おもしろかった!

馳星周さんは、おもに人間の裏社会の小説で有名なかた。ゲーム好きには「龍が如く」の1作目の監修をして、シリーズを成功に導いた人でもある。「少年と犬」は、震災後の日本で飼い主を探して転々とする犬の話。

「野生の呼び声」はジョン・ロンドンの体験をもとにした動物小説で、過酷な北の大地で犬ぞりをひく犬のはなし。

厳しい生活に震災が追い打ちをかけて、仕方なく犯罪に手をそめて生きる人が悲しい。ゴールドラッシ

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【漫画レビュー】表紙だけで人生!フレデリック・ペーターズ「青い薬」

【漫画レビュー】表紙だけで人生!フレデリック・ペーターズ「青い薬」

バンドデシネ(フランス語圏のマンガ)初体験でこの本を選んだのは、あまりにも濃いオレンジの表紙が、ぱっ!と目に飛び込んできたから。

日本の浮世絵はフランスで人気があったときくが、そのときにフランス人が驚いた紺色のようなオレンジだ。荒れる海にソファーが浮かんでいる。その上でほほ笑むふたり。
この表紙だけでほぼ人生。この本の語っているすべてがこの表紙にある。人生はたいへんだけど、目の前の幸福をみていき

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