Yasumune MINAMITANI

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最近の記事

第20回「2023年のはじめに」

 一年ぶりに書いてみました。自分で記したものを読み返して思わず苦笑します。自分は何も変わっていないということを実感するのです。1年という期間、様々なことがありました。小さな成功もあれば、大きな失敗もあります。得たものがあれば、失ったものも。取り巻く環境が変わり、好むと好まざるにかかわらず歳を重ね、心に残るのはただ反省のみです。  不思議なくらい自分は変わっておらず、進化がないわけです。身近にある美しさや親から授かった丈夫な身体や環境、いまここにある当たり前に感謝…昨年の年始に

    • 第19回「2022年のはじめに」

       目の前に広がる景色に驚いて、思わず江ノ電を降りました。下車して小走りに海岸線に近づく行動は、今年50歳をむかえる男のそれではないかもしれません。僕を本能的にそうさせた景色は、文字通り筆舌に尽くしがたく、慌ててスマホ片手に動画を撮りましたが、レンズ越しに見るのはもったいなかったので、ブレた動画のみが記録されました。  相変わらずうまく撮れていないことに苦笑しながら、僕は海から吹く凍てつくような強い風を全身で感じ海沿いの道を二駅分歩きました。もとよりキレイな景色も冷たい風もイン

      • 第18回「余命1年」

         「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり」。50歳で手前で、ふと織田信長が好んだと言われる幸若舞「敦盛」の一部を思い出すのですが、調べてみると、この時代に生きた人々の平均寿命を表現したものではないようです。  天界の時間と比べれば、50年の人生など実に儚い、と世を儚む詞だそうで、桶狭間で今川の軍勢と対峙する信長が、「目前の困難など大した問題ではない。全て儚いものにすぎない。」と吟じて、自らを奮い立たせ、仲間を勇気づけたのではないかと、想像させられます。  確かに

        • 第17回「つづく道」

           ここ数年、この時期は沖縄で過ごしていました。恒例の季節行事となっていた春季キャンプへの帯同は、2021年はお休みです。あるものがなくなるというのは、どうも心地よくはなく、一種の喪失感があります。  第一線で活躍していたプロアスリートは、引退してどのように感じるのでしょうか。興味があります。昨日までの環境が大きく変わり、短期や中長期の目標が一度になくなるわけですから、さぞかし喪失感も大きいのではないでしょうか。一挙手一頭足が注目されることも、毎週歓喜の渦中に身をおき、自身の軌

        第20回「2023年のはじめに」

          第16回「サボらない質」

           少し肌寒くなり、台風が東京に冷たい雨を降らせています。気候だけでなく、銀行をはじめとした身近な企業の対応もお寒いものに変わってきています。これを人は、「with」や「after」と呼んでいるのでしょう。  兆候はありました。すべての言い訳にコロナが使用されるのです。郵送物が届かない、決裁をもらえない、納期が間に合わない…すべてが、ウィルスのせいで片付けられていました。新型ウィルスは、我々の身体や世の中の経済的側面にダメージを与えただけでなく、人格等その内面的な本質にダメージ

          第16回「サボらない質」

          第15回「甘さは必要か」

           甘いものが好きです。和も洋も問いません。疲れた時の糖分補給、何かがうまく進んだ時のご褒美、いろいろと理由をつけては頬張ります。糖質やカロリーは気にしません。純粋に幸福感を味わいます。  ストレス解消に一役買うのも甘いものです。今でこそなくなりましたが、敗戦後にホテルの部屋や帰りの車中で、きのこの山やたけのこの里を貪り食べた記憶もまだそう遠くはありません。記憶媒体としてのスイーツは、決して甘い思い出だけを思い出させてくれるわけではないのです。

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          第15回「甘さは必要か」

          第14回「重ねることの価値」

           48歳の誕生日をむかえた朝、幾分かすずしくなった東京で、一年間ではなく、一週間を振り返っています。とにかく忙しい一週間でした。リードタイムの短い仕事がすべて急にスケジュールをかきわけて入り…こういうときは、必ずどこかにしわ寄せがくるものです。大切な用事を忘れたり、大切な人を蔑ろにしたり、気持ちが急くことで視野も狭くなり、決断する力も鈍ります。それは経験から学んでいます。それこそ48年積み上げた自身の経験です。だからあえてこうして書き記し、そのときの心境を振り返ることができる

          第14回「重ねることの価値」

          第13回「もつべきものは」

           学生の頃、大人になりたくない、大人になったら、体も動かなくなって心も萎れていくのだろうと、誤ったことを想像していました。なぜ「不惑」などというのだろう、萎れた心で迷うことなどないはずと…もうすぐ50を数える歳になり、そのときの自分の誤りを微笑ましくさえ思うほど、快適で学ぶことが多く、充実しているイマがあります。未だに解決できないことがあったり、決断を誤ったり、なるほど不惑だなという実感もあります。  より先輩の言葉をありがたく感じ、もっと昔のことを聞きたいと心底思うようにな

          第13回「もつべきものは」

          第12回「amazing北九州」

           J3から昇格したばかりのチームが連勝記録を伸ばしたことでも、その内容がシンプルで激しく、観ている地元のファンを魅了していることでもありません。スタンド最前列からタッチラインまでが8mしかなく、フェンスも65cmしかないため、臨場感溢れるスタジアムは、いまのところ15,000人収容と小ぶりで、そのサイズ感がamazingです。  スタジアムが新幹線の小倉駅から徒歩10分程度と、歩いてマチの代表を応援に行かれる、その街自体のサイズ感なのかもしれません。実に心地よく感じるのです。

          第12回「amazing北九州」

          第11回「YOU CAN'T STOP US」

           世界的スポーツブランドのキャンペーンです。新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るう中、人々がパンデミックを乗り越えるために製作されたとされていますが、ナイキ原宿で、実に嫌な思いをしました。最近アクティブにスポーツする機会が増え、ウエアを見たみたいという理由だけで訪れた直営店での話です。  まず、入店時にLINE公式アカウントへ強制的に登録されます。コロナウイルス感染予防を理由にです。「登録しないと入店できないのですか?」とたずねると、「入店できません。」と素っ気ない回

          第11回「YOU CAN'T STOP US」

          第10回「ヒーロー」

           週末だから休んでもよいし、世間はお盆休みだから、気兼ねなく休めばよいのですが、なかなか気持ちがそうもいかなく、思い切り休暇を謳歌できないことが、しばしばあります。そういうときは決まって中途半端に時を過ごし、何かの義務や責任が頭から離れないままスッキリしない状態を次の日に持ち越すのです。それを責任感の強さと表現すれば聞こえはよいですが、気持ち切り替えが下手で、時間を無駄にする典型的な状態に過ぎません。随分前から、このような側面の自分がいます。

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          第10回「ヒーロー」

          第9回「マジックアワー」

           4年ぶりにお誘いをいただき、東京湾に。思い返せば、リオ五輪が開催され、閉会式の花火とマリオに扮した安倍首相が印象的でした。そのマリオが苦悩し、オリンピック延期となった年に、また東京湾で、振り返りの機会を得るのでした。小さく揺れる船上で4年間を振り返ると、著しい進歩が何もないことに気づきます。あのときも僕は自分を省みて、決意をあらたにしています。4年が経ちました。進化を期すオリンピアンだったら、メダルはおろか出場すら危ぶまれる状況でしょう。あのときと同様の心境です。  4年

          第9回「マジックアワー」

          第8回「コストパフォーマンス」

           よく耳にする言葉です。投資効率を意味しますが、費用対効果を示すため、転じて「値段の割に…」と、消費するシーンにおいても支払った対価と得られる満足を比較して、使われる言葉です。「ランチのコスパがいい」のようなフレーズはグルメサイトでよく見かけます。  先週から出張で訪れている南房総近辺で、土地に明るくないため、当然のようにネットで食事できる場所を探すのですが、散見されるこの言葉に疑問が浮かびます。なぜコストと表現するのだろう?、なぜ安さを求めるのだろう?、なぜ安さを売りにする

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          第8回「コストパフォーマンス」

          第7回「運と縁」

           生きていれば74歳をむかえている母の誕生日だった日曜日。同期の親友から誘われたのが偶然その日だったので、カレンダーに書き込み、縁を感じました。今年48歳になる僕たちは、勝手に12年を1周と数えれば、ちょうど4周目を終えて、5周目のスタートをむかえます。12-13歳のときに出会った方々とは、もう30年を超える付き合いで、人としてカッコワルイ部分を互いに見聞きしながら、ここまで歩んできています。カッコイイ部分は互いにさほど印象に残らず…結婚式でスピーチするようなイイ話など霞むく

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          第7回「運と縁」

          第6回「晴耕雨読」

           どうせ天気が悪いのだろう。そう決め込んで、日曜日の準備をしました。一回り以上も年下のデキる後輩から勧められた本たちをクルマに積め込み、帰宅の準備を。晴耕雨読とはいえないのでしょうが、ほんの少しでも世俗から離れて悠々としたいなと思います。特に、痩せるとか生えるとか、エビデンスの欠いた広告が目に入るPCからは、少しの間、目を遠ざけて過ごしたいという感情が自然に沸き起こります。  目が覚めて、カーテンの隙間から差し込む朝日が、天気予報のハズレを知らせてくれます。籠っているのは、も

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          第6回「晴耕雨読」

          第5回「本当に必要なもの」

           日差しが乱反射する波間を見る目を細めます。晴れた週末を過ごしに、そろそろ夏がやってくる近所の海岸へ参りました。もはやマスクをしている人の数はさほど多くなく、それはその行為自体があまり意味のあることではなく、儀礼的で形式的なことに過ぎないということをわかっているからなのでしょう。公表される感染者の数の正確性や、自粛要請の必要性について疑問を感じつつも、従ったフリをしている人たちなのでしょう。浜辺には、言われなくても清潔さや人との距離感を保てる人たちが梅雨の晴れ間を過ごしに来て

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          第5回「本当に必要なもの」