第5回「本当に必要なもの」
日差しが乱反射する波間を見る目を細めます。晴れた週末を過ごしに、そろそろ夏がやってくる近所の海岸へ参りました。もはやマスクをしている人の数はさほど多くなく、それはその行為自体があまり意味のあることではなく、儀礼的で形式的なことに過ぎないということをわかっているからなのでしょう。公表される感染者の数の正確性や、自粛要請の必要性について疑問を感じつつも、従ったフリをしている人たちなのでしょう。浜辺には、言われなくても清潔さや人との距離感を保てる人たちが梅雨の晴れ間を過ごしに来ています。
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