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第11回「YOU CAN'T STOP US」

 世界的スポーツブランドのキャンペーンです。新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るう中、人々がパンデミックを乗り越えるために製作されたとされていますが、ナイキ原宿で、実に嫌な思いをしました。最近アクティブにスポーツする機会が増え、ウエアを見たみたいという理由だけで訪れた直営店での話です。
 まず、入店時にLINE公式アカウントへ強制的に登録されます。コロナウイルス感染予防を理由にです。「登録しないと入店できないのですか?」とたずねると、「入店できません。」と素っ気ない回答。「スマホを持っていない人はお客になれないですね?」重ねた質問に、「そうですね、無理ですね。」

 耳を疑ったのですが、このご時世、コロナが理由なら仕方ないかと思い、LINE公式アカウントへ登録し、いざ入店しようとすると、次の関門が。二人目の店員が、「NIKEのアプリを登録しなければ商品購入できません。」と、笑顔一つなく言い放つのです。この時点で、店員の笑顔などはどうでもよく、このシステム自体に憤りを感じました。感情を害し、もちろんアプリの登録もせず、生涯NIKEの商品を購入することはしないと決意し、店をあとにしました。コロナを理由にLINE公式アカウントへ登録させることについても、やはり疑問が残ります。

 NIKEは、我々の世代にとっては、マイケルジョーダンやタイガーウッズなど、憧れの象徴がその身体のどこかにつけているSwooshマークそのもので、アスリートを神格化したブランドです。最近では、いち早くD2C化に取り組んでいる企業として注目されていますが、それが故に、メディアとしての立ち位置や、自社テクノロジーの進化へ執心、傾倒しすぎたのではないかと疑わされる衝撃的な出来事でした。
 D2Cは「Direct to 消費者」を意味しますが、直営店で文字通り直接的に嫌な思いをするのであれば、もはやその商品を消費することはないでしょう。

 最初から、48歳のLINE公式アカウントの登録を嫌がる中年男性は、顧客として排除されていたのかもしれません。招かれざる客だったのでしょう。おそらく、そういうブランド戦略なのかもしれません。
 たとえ購入しなくても、笑顔で商品紹介してくれたり、たとえスマホの使い方が下手でも、欲しい何かを一緒に探してくれたり、そういうブランドを僕は好みます。もう思いを止められません。セルヒオラモスには、他のスパイクを履いてほしいものです。

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