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第14回「重ねることの価値」

 48歳の誕生日をむかえた朝、幾分かすずしくなった東京で、一年間ではなく、一週間を振り返っています。とにかく忙しい一週間でした。リードタイムの短い仕事がすべて急にスケジュールをかきわけて入り…こういうときは、必ずどこかにしわ寄せがくるものです。大切な用事を忘れたり、大切な人を蔑ろにしたり、気持ちが急くことで視野も狭くなり、決断する力も鈍ります。それは経験から学んでいます。それこそ48年積み上げた自身の経験です。だからあえてこうして書き記し、そのときの心境を振り返ることができるようにするのです。

 忙しさを理由に書くことを省くと、成長できない気がするので、どのようなときも優先してこの作業を進めます。この経験こそが価値となるでしょうし、そもそも人生は経験の集合体でしかないと僕は思います。だから、書き記し振り返ることが、多くの価値を創造する根源になると考えるのです。
 様々な技術の発達は、このようなことを容易にしました。ノートにペンで記し帳面が何冊もたまることは、もはやありません。それぞれの「あのとき」を簡単に検索できます。だから自身の財産・価値を残さないのは大きな損失になる気がしてなりません。

 特に世の中に様々なモノがあふれかえって、多くの人が物質的な満足をさほど求めなくなったイマ、消費者が提供されるサービスの中心に「経験」という種類のものが存在することは明白です。心地よさや快適さの体験はまさにその一つですが、経験し積み重ねたことや研鑽し続けた結果が、いわゆるノウハウといわれる価値ある商材に他なりません。
 これまではなかなか対価を付与されず、軽視されがちだったこれらの経験は、今後、より一層価値を増し、評価されるべきであると思わされます。もちろんその質や程度にもよることは間違いありません。

 良質な経験は、どのようにできるのでしょうか。これも経験則ですが、良質な環境に身をおくことが、まずスタートラインだと思います。良質な環境に身を置くと運も縁も良質になるし、その逆もまたしかりです。質悪な環境に身を置くことの代償が大きいことも強く理解しています。それでも、失敗を繰り返してきました。それもまた人生なのかと今では思います。
 何度も身をもって経験し、それを重ねることの価値…誰かに何かを伝えることができるとすれば、それを伝えたいです。声を大にして、未来の自分にも。また新たな一歩を踏み出すために、スタートラインに立ってみました。

 

 

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