群青 すい

「むれあお すい」です。 詩を書く場所をさがしてきました。 心機一転、ぼちぼちと。 …

群青 すい

「むれあお すい」です。 詩を書く場所をさがしてきました。 心機一転、ぼちぼちと。 以前書いていた場所はこちら→ https://t.co/fGMmSOLUBC

最近の記事

無限のかたち

よく眠れる花のお茶をさがす いつもの棚のあおい箱 死角から男がやってきて わたしの名を呼んで壁になる 限度を超えて見開いた目が床に落ちる前に つかまれたわたしの腕が言う 「この男を知りません」 爪も言う 指も言う 髪も言う 「知りません」「知りません」「知りません」 男はたじろいで去る 外に出てわたしは息をする 忘れていた息をする 光は言う 「あなたを知りません」 わたしは言う 「ではここから。はじめまして」 光は来たる 彼方から久遠から わたしは踊る 時に飾られ 耳

    • jiffy

      すぐかえる ってあなたは言って ふいとわたしはこころを離した 世にはあまりに光と色があり プリズムのあなたをわたしは忘れた 珈琲 けむりのように苦くて (底無し沼に死体棄てるように) つまんだ角砂糖沈めた まがいものじみたあかるさに 金管楽器の音がする 天気雨 サイレント映画のように降るしずく あなたはいますかいませんか それとも もう生きてはいませんか?

      • 天国と地獄

        「現」 例えば目が覚めて枕辺のタオルには血がついていて 流れ出たあれこれで粘着力失った絆創膏をいくつも剥がして 例えば母から家中の刃物を捨てると罵られ 窒息するみたいに固く固く心に包帯を巻いてその声から遠ざけて 例えば愛と支配の類似性なんか知らなくて きらきらと 星光る 夜空のもと肋骨折られてそれに気づいたりなんかして 業火のような憎しみも 果てなき道に似た絶望も この胸にとぐろを巻くのに天の国の俤はなく 汚れなき肉も心も知らず 血は赤くただ赤く醜く 呼びかける先が

        有料
        100
        • indispensable

          ひかりの中で 為す術なくて 過ちをおかせとチャイムが鳴るの わたしたち 心臓がうごいてた ふりかかる汗が 夕立のようで あんなにまぶしい日だったのに 目をつむればつめたくいられた 傷を合わせて もうきっと 誰もふれられないところにいきましょう わたしを隠して くるしめないで 帳のように 金碧朱、いま降りてきて

          十月の国

          あまねく甘く有無を言わせず 秋を支配する金木犀 つめたい真冬のすがしさに焦がれ 見捨ててどこへいこうか 十月の国 荒れ果てた庭で老母が夢見てる 曲がった指から花束はすり抜ける こわれてゆく先に望むものがあると信じてる 形見の指輪の石は割れてる きらいでいてもいいでしょう 誰しもすきではないでしょう 言葉にするのはあきらめ、やめても 気持ちひとつ殺さずに持っていたっていいでしょう 思い出を蹴り飛ばして歩く 光の濃さにあえぎつつ 風とわたしは時に生きるともだち 見捨ててどこ

          完璧な日曜日

          いつかこの憎しみを はなびらちらすように手放したら それはもう知らないわたしだろうな 硬くつめたい冬の夜風に 両頬を傷つけてほしいと願ってた 意味をさがしていた 仏花の白さを問うように 意味はなかった 一直線の傷痕は 「それまで」と「これから」の単純なスラッシュ 骨が哭いている 鼓動は物音になったのに 母が家中の刃物を隠し 父が家中の金を盗んで 生まれた空白を怒号と罵声が丁寧に埋める わたしは古びたちいさなハサミを抱きしめて きつく閉じたまなうらに火花のようなあかをみる

          完璧な日曜日

          hesitate

          きみは眠っていた 怠惰さをののしられても ぼくは知っていた 結実のための眠りだと 水中のように息苦しく まっしろにひかる廊下で きみは眠っていた 制服の裏に絶叫が隠れてる かたわらにいたかなしみが めざめてきみをだきしめる きみは激しく紺青に染まる きみは眠っていた かなしみの波を胸に飼い 生徒手帳の俤を真っ黒に染めながら

          grope

          時がはしっていったから わたしの髪はきらきらゆれた 朝日をはじく波のように けがれることなどないかのように 光の残り香をかぎわけた 熱くて甘いチャイに似ていた かがやくはおなじ太陽(あの日と) つめたきはわたしの影(あの日の) てのひらいっぱいに 愛という名の おぞましい花びらが降りしきる あとから、 あとから、 あとから、、、、、、、

          fluke

          電線で刻まれた ずたずたの空 落ちておいで この腕に 抱きとめてあげる 透明なむらさきが世に満ち満ちて 時に手垢がつく前に 閉じたまぶたの裏 しろい鳥がわたる ひかりのよう、 予感のよう、 はやすぎた春の朝あのひとは眠った いざや いざ。 空白のてのひら 神の目をぬすんで この世にはじめてうまれてみせた ひらめくひとみのいのちのごとく 空はしずかにふるえていた

          err

          制服の内側 素裸のうんめい ひび割れたような赤い傷 伏せたまつげに降る罵声は黒い雪 (鎖ざした胸には  何の音もしない  何の  声もしない) 「おまえがうまれたとき  またおんなかっていわれて  おかあさんはくやしくてねえ」 幼さを四捨五入 持たされただけの肉体を思うまま されるまま それは自傷 する自由、しない自由、死ぬ自由。

          Death

          おまえの名前を呼んでいる こんなにひどい雨の夜は特に しずくがそのままおまえになって この身をやわく濡らせばいいと そうしてそのまま立てずにいても まなうらには良し悪し思い出が集う やさしげや いとしげで ひとはさまざまだ くれた灯りと偽りをかぞえてひまつぶしもできる 胸のくらがりには星をかざろう いつかただひとり見上げた名の知らぬ冬の星 時間も頬も切るような風の中で まぶたにふれる闇い手に 幼いままの恐怖をかくして おまえの名前を呼んでいる

          consolation

          浅く眠っていた 風の音が聴こえるほど 夢はみたくなかった その中で死ぬのは飽きたから 淡く生きていた 思考が結ばぬほど 赤く咲くチューリップ 生きているのがふしぎだった 開けた窓から 腕を突き出し 天使よとまれ とつぶやいて かすめたものが 花か雪か 眼を閉じたぼくは知らないまま

          bone

          骨になるのをまっていた 風のはげしい火葬場で かなしみの速度に 追いつけないからだのままぼんやりと 骨になるのをまっていた 切り離してわらいながら そのかたちが消えていくのがつらすぎて フォーカスできずにぼやけるこころ 白小菊 初春の ちいさな苺大福 眼に馴れて 共に燃された 外着のいろのサファイア・ブルー

          affinty

          硬いかなしみがガラスのように 成す術なくぶつかりあった あたためあえず つながりあえず ひとつになるのは業火の中で 光が遠い放課後で ことばもころがるだけの教室 窓の外ほうり投げられたまなざし 鳥でも雲でもなく死をさがしていた わたしたち この世にこぼれ落ちた 青空のふち そっと追いやられ きみをみて 胸をおさえた 傷ついたように時があふれて

          ひとなみ

          さいごの煙草が切れたから やれやれ サンダルをつっかけた 昔は「おそと」がだいすきで いつでも駆けずりまわっていたが 八月 空があおすぎて どうにもこうにも身をちぢめた がやがやと肩を寄せ ひとなみ 知らん顔ばかりを盗み見 「せめてなりなさい」と言われてた ひとなみ あけすけに傲慢な爪先 あのねこうやって他人のなか 歩くように 人生だってどう見えようが孤独だしそうでもなかったりするでしょうが 名乗るように数字を告げて用を済ませ かげろうを追うように何度も角を曲がる うら

          末期

          紛いの光にあやつられ ほころぶときさえ騙される 花さえそうだというのなら ひとなどたやすくそうだろう さあ あと もういちど おまえがため息をついたなら 一体どうしてやろうかな? ほおづえつく窓の外はようやっと くすんだ青が雲のすきまから破片のように 骨が行く手をはばむまで きつくその身をさぐっても 「生きている」それだけが 気に障るほどこだまする 髪が光にとかされて 横顔に時が粉と散る うつくしくて、うつくしくて うつくしくて、うつくしくて