十月の国
あまねく甘く有無を言わせず
秋を支配する金木犀
つめたい真冬のすがしさに焦がれ
見捨ててどこへいこうか 十月の国
荒れ果てた庭で老母が夢見てる
曲がった指から花束はすり抜ける
こわれてゆく先に望むものがあると信じてる
形見の指輪の石は割れてる
きらいでいてもいいでしょう
誰しもすきではないでしょう
言葉にするのはあきらめ、やめても
気持ちひとつ殺さずに持っていたっていいでしょう
思い出を蹴り飛ばして歩く
光の濃さにあえぎつつ
風とわたしは時に生きるともだち
見捨ててどこにいこうか 十月の国
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?