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「未来」を読んで 1

湊かなえさん作の「未来」という本を読んだ感想を書いていく。

あらすじはいつものようにBOOKデータベースから。

こんにちは、章子。わたしは20年後のあなたです」。ある日、突然届いた一通の手紙。送り主は未来の自分だという……。『告白』から10年、湊ワールドの集大成!待望の書き下ろし長編ミステリー!!

この感想には重大なネタバレが含まれているのでご注意ください。


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この本の題名は「未来」。ラストには「明るい未来」なんてものが見えるのかな,,,,,と疑心暗鬼になりながら読み始めた。
この本の感想をいくつか読んだけれど、未来が見えた、最後は希望を持てたというような意見が多かった気がする。
だけど私はそうは思わなかった。この話は本当に最後まで、生きるか死ぬかの瀬戸際のような感じがしていた。
もっと正確に言えば、現状を変えるためには「自殺をするか、悪魔の相手を殺して自分が殺人犯になるか」
この2択しか存在していなかったような気がするのだ。


今回の感想文は本当に自己満足of自己満足!なのでまずは1人1人の登場人物の紹介をしていく。明るい未来を待ち望む彼らに「未来」が見えたのかどうかは、この本を手にとって確かめてみてほしい。


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主人公:佐伯章子→未来の自分から送られてきた手紙に返信する形でこのストーリーは始まる。いつだって母親を支えていた。父親が大好きだった。実里のいじめにより不登校になったが、亜里沙に助けられ学校に行くようになる。
母親が早坂と再婚してしばらくはうまくいっていたが、早坂の経営したレストランが倒産した後 彼に暴力を振るわれるようになる。最終的に母親を傷つけた早坂を殺し、家に火をつけようとしたところに母親が帰ってきて、母親に助けられる。
最後には亜里沙と夢の国へ行く。明るい未来を求めて。助けてくれる大人を探しに。
主人公の友達:亜里沙→学校に行かない子供。愛に飢え、人前では自分を守るために武装していた。主人公を救い、最後にはともに父親を毒で殺して家に火をつけ、夢の国へ行こうと 主人公と一致団結する。だが彼女は須山に薬を飲ませただけで放火はできなかった。
未来からの手紙は彼女にも送られてきていた。
主人公の母親:文乃(本名は真珠、名前を変えた)→小さい頃から議員である父親に性的暴行を受け、兄には売られ、母親は自分の旦那が自分の娘をそういう行為を行なっていることに心を病み自殺。彼女は孤独だった。
人形(オフ)の状態が8割、人(オン)の状態が2割。心を守るために心を石のように硬くした。
小さい頃には良太の放火と殺人の罪を被り、兄を悪者にしてでも良太を守る。だが最後に早坂を殺し放火をした自分の娘の罪を被り、娘を逃す。
主人公の父親:良太→病気で亡くなってしまう。子供時代に森本誠一郎に頼まれ、彼の家を放火し彼の父親を殺してしまうが、真珠が罪を被ったことにより罪は問われずに済んだ。誠一郎のことを親友だと思っており、真珠が罪を償った後 今度は自分が真珠を守るために結婚。

主人公が通う学校の先生たち
林優斗先生→文乃を担任として支えるうちに実際に恋をし、フラれた後最終的にストーカー化してしまう。正義感で弱さを隠していた。
大原先生→説明は割愛するがクズ教師。この作品には"ダメな先生とダメな親"ばかりが登場する。
篠宮真唯子先生(もう1人の主人公)→この本で重要な「未来からの手紙」はこの先生が書いたもので、主人公の父親にそれを頼まれた。家庭の事情で母親に金を取られ、借金を返すために自分の体を売ってしまう。やがて実里の母親にその行為がばれ、先生を辞めることになる。

主人公のクラスメイト:実里→誰かを傷つけなければ気が休まらないクラスのいじめっ子。父親の不倫に気づいており、父親と仲が良かった主人公を妬んでいたせいで、暗黙のラインを超えるレベルの嫌がらせを主人公にする。
母親の再婚相手:早坂誠司→主人公にDV。文乃には最終的に売春をさせる。主人公に毒を飲まされ死亡。文乃の兄と顔が似ており、だからこそ文乃は早坂に従い、言われるがまま行動していた。
亜里沙の父:須山さん→健斗を買春した挙句、亜里沙にDV。
亜里沙の弟:健斗→須山に美少年として売春をさせられ、それを苦に自殺。

亜里沙の知り合った先輩:智恵理さん(竜崎)→父親から性的虐待を受けたことにより二重人格になる。もう1人の人格は竜崎。最終的に自宅に放火、警察へ。
篠宮先生の恋人:原田くん→篠宮が大学で出会った住む部屋が隣の男。

森本誠一郎:主人公の父親である良太の親友→美男子。議員である親を「悪魔」と呼びつつ、自分も真珠の体を売っていた。良太と誠一郎と真珠は家で幸せな時間を過ごしていたこともあった。
ただ罪悪感は残っていて、最後には良太を「親友」と認め、自殺。


最初にも述べたように、この物語では生きるか死ぬかを迫られている気分になる。現実から逃げて自殺をするか。体を売るか売られるか。自分を苦しめる相手を殺すか。誰かを守るために、誰かを殺すか。


本当に主人公や亜里沙を助けてくれる大人はいるのだろうか?
こういう子供に手を差し伸べてくれる人はいるのだろうか?
そう問いかけながら明日から感想を書いていく。

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