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どうして就職活動における面接というもので、「いじめ経験の有無」を問うの?

あなたは人をいじめたことがあるだろうか。
人にいじめられたことがあるだろうか。
いじめを見たことがあるだろうか。
いじめが起きていることを聞いたことがあるだろうか。

いじめの経験を反省したことがあるだろうか。
過去にいじめをした自分を責め続けているだろうか。
過去に自分をいじめてきた相手を許せるだろうか。


これは本当に純粋な疑問で、どうして企業の面接で 初めて会う人事の人にこんな質問をされるのだろうか。

そして就活生は、そもそも この質問に正直に答えるのだろうか。

まぁ正直に答えるかどうか以前の問題で、あまりに突飛な(珍しい)質問すぎて言葉に詰まることもあるかもしれない。


圧迫面接をする理由の1つに、「ストレス耐性を見ている」だったり、「圧を感じている状態でも冷静な判断や思考ができるかを見ている」というのを聞いたことがある。

じゃあいじめ経験の有無を尋ねる理由は何なのだろう。考えられることは色々あるが、そもそも加害者側だったことがある人間がそうやすやすと それを正直に述べるだろうか。そこまで初めて会う社会人に過去をさらけ出すだろうか。(さらけ出す必要があるだろうか。)

それ以上に.....自分が被害者側だったらどうなのだろう。あるいは傍観者だったら。
被害者側だったら、それを言われたらどう思うのだろう。どう答えるのが正解だと考えるのだろう。正直この質問に対しては、「正直に答えずに『いいえ』と言いさっさと次の質問に移ってもらう」のが1番良いのではないかと言わざるを得ない。(実際に、次の質問に移ってくれたという就活生のエピソードもある)


もし加害者だったことを言ったら、「人を傷つける人間とは働きたくない」「この人は人間関係で問題を起こすかもしれない」と思われるかもしれない。
もし被害者だったことを言ったら、「メンタルが弱い人間とは働きたくない」「この人は人間関係に対し臆病でコミュニケーションに難があるかもしれない」と思われるかもしれない。

どちらも偏見に満ちているが、"偏見"に気づいていない大人がいないとも限らない。
あの時いじめを見て見ぬ振りをした教師のように。



就職活動における企業の面接というものでいじめ経験の有無、いじめ見聞きの有無を問うのならば、その後ろにいる人のことを考えてもらいたい。

その後ろで 誰かにその過去を掘り起こされて、傷ついているかもしれない人のことを。

過去を深堀ってその人の"人となり"を知ろうとすることと、
過去に土足で踏み込んで 誰にも言わなくても(知られなくても)生きていけることをむやみに明らかにしようとすることは、全く違うことだ。


そう思いたい。



過去はその人の全てではない。過去に犯した罪を抱えて生き続けている人もいる。
そして何より私は、加害者は何らかの"罪"を忘れてはいけないと思っている。許してもらえたか否かにかかわらず。