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もしも私が死んでしまったら

この前見た映画の中で、「末期がんの主人公が、残される婚約者のために新しい恋人探しをする」というシーンがあった。

わたしたち夫婦も、「もしお互いが死んでしまったら」という話をするのだけど、

わたしはこの映画に出てくる主人公とは違って、旦那には

「わたしが死んだあとに、他の女の人と結婚するなんていや。かなしい。いや。」と言っている。

わたしがもし末期がんになって死ぬことになっても、わたしは、旦那に「わたしが死んでも、新しいパートナーを見つけて、幸せになってね」なんて

言える気がまったくしない。(そういうシチュエーションになったことがないから机上の空論でしかないけど。)

だって、そんなの想像しただけでいやだ。

そんなのフィクション映画の綺麗事ストーリーでしか見たことがないし、

もしかしたら実際は、「ほんとはいやだけど、本心を隠して、相手のために言っている」場合もあるのかもしれないけど、

わたしは本心じゃないならなおさらそんなこと言えない。

自分が死んでしまうだけでかなしいのに、旦那に「死んでも誰か新しい人に出会ってね」なんて、かなしいのダブルパンチだ。


死ぬまでの生きているうちは、「わたしが死んでも、他の女なんて作らないで」と言わせてもらいたい。旦那にもそこは合わせて「うん、絶対つくらないよ!」と言ってほしい。

それはうそでもいいんだよね。

死んだあとに、旦那が何をしようがそれは旦那の勝手で、自由にすればいい。だって、わたしは死んでるんだもん。

ただ生きているうちは、私の希望が「だれかいい人がいたらその人としあわせになってね」になることはないんじゃないかなあと思う。

そのきもちがまだよくわからない。(いまはまだ新婚で、もっと長く時間を過ごしたらきもちが変わるのかもしれない。)


***

ちなみに旦那は「僕が死んだら、たぶん10年間ぐらいたったら新しい人を見つけて結婚してもいいよ」

というような可愛らしいことを言っていた。


旦那が死ぬことは、じぶんが死ぬことよりもっとかなしい。

わたしにとって、旦那がいない世界は生きている気がしていなくて、実際に「生きていけるか生けないか」という問題はおいといて、

まず生きていくやる気がなくなるだろうし、それこそ生きていく方法がわからなくなって途方にくれてわたしも死んでいなくなってしまいたいとおもうと思う。

わたしが末期がんになったとして、死ぬことが怖くて悲しくてどん底まで落ちたあとに、

最後に前向きに立ち直るスローガンは「まあ、死ぬのが旦那じゃないだけよかったな」になるだろうなあと思ったりした。



▽ちなみに見たのはこの映画!

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ラブロマンス系はめったに見ないんだけどすごくわたし好みでよかった。(とは言っても、この映画はがっつりロマンスではなく、ヒューマン・ドラマよりだった。)

わたしの好きな映画は、「主人公をとりまく人たちの心情描写がすごく丁寧に描かれている」っていう傾向に最近気づいたんだけど、

この映画は、主人公はもちろん、登場人物みんなが愛されるべきキャラクターで、心惹かれる「サブキャラクター」が丁寧に描かれている。

特に、主人公の友人の末期がん患者がとてもよかった。

キャラクターにしっかりと個性があって、出番はそんなになくてあくまでサブなんだけどそこでひとつの物語ができて別の映画が生まれそうな主人公との関係性がすごく好きだ。

映画にすごく奥行きが出る。


それから、この映画がよかったのは、主人公と恋人との関係性が、私と旦那の関係性に似ていたっていうこともひとつある。

物語の中で、末期がんの主人公のアビーと婚約者役のサムがベッドに入って会話をするシーンがあるんだけど、

アビー「もしわたしがカルトに入ったらどうする?」

サム「ぼくもいっしょに入るよ」

アビー「もしわたしがゲイになったら?」

サム「ぼくもゲイになるよ」

アビー「もしわたしがめっちゃ口が臭くなったら?」

サム「そしたらミントを買うよ。それかぼくの嗅覚神経を壊すよ」

っていう会話があるんだけど、主人公アビーの突拍子もない質問も、それに淡々と答える婚約者役のサムも、その切り返し方も、

わたしと旦那の会話にすごく似ている。

主人公アビーのほうが圧倒的に落ち度があるのに、逆ギレしてベッドで背を背いてサムを無視しているところとか、それに対してサムが「ごめんね」って完全に困った顔して眠りにつくところも似ている。

主人公のアビーが癌におかされて、サムとキスをしたあとに吐いてしまったときのサムの「ぼくとキスするとみんな吐き気をもよおすみたいなんだ」っていう切り返しとか、

アビーが、自分が死んだあとのサムの未来の恋人のために買った指輪を最終的に自分がつけることになったときのサムの「僕の未来の恋人のためとか言ってほんとは自分のために買ったんでしょ」というところとか、

ユーモアのセンスがすごくわたしの旦那に似ていたんだよね。


そこもこの映画が気に入った理由のひとつ。

わたしもよくベッドに入ってから突拍子もない質問をしているんだけど、

その大半は、わたしの中で大喜利大会が始まっていて、旦那はどうやって答えてくるのか期待しているところがある。

そして旦那はその大喜利大会でかなりの確率でわたしを笑わせてくるんだよな、と映画を見ながらそんなことを思ったよ!






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