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プログラミング・スクールでの半年間を人事的にまとめてみた

先日、無事ジーズアカデミーの卒業式を迎えることができ、この感覚が鮮明なうちに、note(自己評価)を書いてみようと思う。表題『プログラミング・スクール』としているが、この名称がなかなかフィットしない。なぜなら、プログラミングという技術を体得するため入学したジーズ・アカデミーだったが、そこで得られたものは、技術以上にビジネス・パーソンとして必要とされるマインドセットとスキルセットだったからだ。

ジーズ入学の背景(学びの動機)
MBA生活が終了し、ちょうど半年が経過した頃、MBA同期が既にジーズ・アカデミーというプログラミング・スクールに通っていた。MBA後の学びロスに陥っていたというのもあったが、自身の苦手な領域であるITの知識・技術を身に付けなければ時代に取り残されるという危機感と、組織・人事に従事するものとしてのリスキリング(学びなおし)の体現の必要性を感じたことが一番の背景だった。また、MBAに2年間通った結果、物事を常に白黒はっきりさせ、解決策を導き出すという自身の恐らく本質的なところが強化され、次第に自身の柔軟性が欠けていくことの恐怖も同時に感じていたため、クリエイティブな組織に飛び込むことで副次的に得られるものがあるのではないかと期待していた。本来、自身の強みというと実はロジック以上にこの潜在的に何かを感じ取る嗅覚なのかもしれないとよく感じる。

ジーズでの苦悩(組織再社会化)
新たなコミュニティでハイパフォーマンスを発揮するための『組織再社会化』という理論では、アンラーニング(学習棄却)がとても重要であると言われている。よって、理論・ロジック、さらには主張性という自分らしさの封印を心掛け、自身に欠けている右脳というか想いの部分をいかに解放させるかを意識した。しかし、入学数か月後に、ロジックで語れないストレスと、自分の本質に踏み込み内省をし、それを表現しなければならないということに、私にはアレルギー反応が出てしまった。ジーズ内で俗に言う『Why me』である。スタートアップ創業者にとって、なぜこのビジネスをやり遂げる意味があるかという強い信念がなければ、並み大抵ならぬ過酷な挑戦が強いられた際に乗り越えることは困難だ。よって、『セカイを変えるGEEKになろう』という創業理念のもと、ジーズ・アカデミーでは、『自分が何者であるか』『なぜこのビジネスを自分がやる意味があるのか』『なぜ自分でなければならないのか』という問いを何度も何度も突き付けられ、Why meを磨いていく。

組織人事コンサルタントとして従業員の能力開発に向き合う中で、長期的な明確なゴール(成し遂げたいこと)を設定し、そのためにバックキャスティングで動いていくビジョン型の人材がいるとすれば、自身の価値観に沿いながら目の前の課題を愚直に解決してくことにやりがいを感じ、点と点をつなげ先に進んでいくバリュー型の人材が一部存在すると従業員と対話する中で感じており、自身もまさにこの後者だと認識している。さらに、潜在的なインスピレーションと目の前の動機によりアジャイル的に動いていくことを好む自分にとって、明確なスタートアップという高い志と長期の目標を持ちそのために取り組んでいこうとする同期に圧倒され、正直居心地の悪さも感じていた。

メンターとの出会い
私自身は1年前に組織人事コンサル会社を立ち上げ、ありがたいことにクライアント様に恵まれ、事業会社の人事責任者や、組織人事コンサルタントとして日々忙しく過ごしている。365日24時間手を止めると何も生み出さないという独立して何かをやっている者としての危機感の中、ジーズ・アカデミーの毎週のプロダクト提出課題や卒業制作に時間を割くことが、徐々にストレスになっていった。何よりコードを書いている時間イコール、クライアント様へ割く時間が圧迫される。1社、在宅医療の人事の責任者として従事をしているが、夜な夜な現場のスタッフが患者様へ薬を届けるやりとりが社内SNSで流れ、従業員からDMが入り、悩んでいることを打ち明け相談してくれることも少なくない。日々、生死と向き合い、巷でいうライフワークバランスなんていう概念さえなく医療に従事し、誇りを持って仕事に従事しているそんな従業員が尊く、頭が上がらない。自分自身はというとそんな中でもPCに向いコードを書いている。そこへも導入しうる人事関連のプロダクト制作を行っているとはいうものの、この投資以上に解決すべき重要度の高い問題はあるのではないだろうか。頭の片隅ではそんな考えがあるものの、学校へのプロダクト提出とその他緊急度の高い仕事の締め切りに追われ、重要度を見失っていきそうなのが怖かった。人としての本質、あるべき原理原則のようなものをずっと考えていた。コードを書くこと自体は嫌いではなかったが、次第にコードを書こうとする度に自己嫌悪に陥っていった。どうしても自身がやっていることの違和感が拭えず、卒業を断念しようとも考えていた。そんな中、あるメンターさんとのご縁をいただき(ジーズ・アカデミーにはメンター制度といい、卒業制作に取り掛かる最後の数週間を各分野での活躍され実績のあるメンターさんからメンタリングを受けるというありがたい制度がある)、かけられた言葉で迷いが払拭された。

『プロダクトを作ることが正解でもない。クライアントに徹底的に向き合うように。クライアントの課題があなたの課題です。』

自身の事業会社での挫折を機に、『報われない従業員を救いたい。そのためにできることをやろう』と決めた信念がブレブレだったことにも気付けた。受講生に徹底的に向き合い、こういった声掛けをして下さったメンターさんの姿勢から、プロフェッショナリズムを感じ、自分もこうありたいと強く思った。解決の手段や方法、アウトプットの手段はむしろどうでもよく、目の前の従業員そして課題に徹底的に向き合い、ひとりひとりが活き活き働ける世界を作るため、その都度、自身の信念に従い判断すればいい。今後も何があってもその信念を貫くことができるかが試されるのだろうと思う。ただ、今回のように迷いがあったからこそ、この信念が強固なものになっていくのだろうとも感じている。これがWhy meと呼ぶものなのかは未だにわからない。『なぜ』私がこれをやりたいのかはわからない。幼少期からさかのぼってそこにルーツがあるのかもわからない。ただ、目の前のクライアントに向き合いたい。きれいごとで言葉を並べるのも嫌だというのもあるが、そもそも言語化できない。『なぜと言われても何ででもやるんだ』的な想い、がある。

半年間の学びを振り返り自己評価
学習効果性の理論では、学び自体(通学や知識・技術の習得)の効果性は2割に過ぎず、より重要なのは学びの前工程(目標設定)と後工程(学んだことの実践)がそれぞれ4割だと言われている。ということで、入学前に以下のように学びの目標設定を行っていた。

『プログラミングの技術体得』と『(抽象度高いが)人間力向上』
わりとあるべき論が強く、MBAによりその特性がさらに補強されている実感あり。ぐーっと理論武装を強化した2年から、今度はぐーっとクリエイティブな世界を学び、その外圧外したくらいが理想な自分なのではないかといくつになっても理想な自分を模索中。すでに入学からこれまでの3週間では、新たな世界・考えに触れ、人としての反省点も日々多い。半年後にマインドもスキルも成長したと言えるよう、全力でコミットし、後悔ないよう過ごしたい。『硬直した木は折れやすく、柔軟な木は折れにくい』ユダヤのある格言が、自身の近年のテーマになっている。柔軟だが芯のあるしなやかな大人になりたいと思う今日この頃。(入学時のメモより)

●結果的にジーズで得られたもの
果たして入学時の目標は達成できただろうか。ということで得られたものの振り返りと自己評価。(あくまで自分の中での相対性。どれだけ伸びたか)

(マインド面)

・柔軟性_MBAからの振り幅デカい中で、クリエイティブなコミュニティを体感しようと努めたことは柔軟かと(相対性)
・自己理解_自分自身と徹底的に向き合うことができた(こだわりも悪い面も)
・信念・価値観の強化_仕事をする上での判断軸が明確になった
・メンタルの強さ_忖度・迎合せず、自分らしく振る舞う度胸が付いた

(スキル面)
・忍耐力
_自身が設定した基準値までは絶対到達するというやり抜く力
・概念化・言語化能力_起こっているエラーを特定・言語化する能力
・論理的思考力_起こっているエラーを発見し解決するまでの思考の道筋を立てる力
・発信力_自分では解決しようもない問題について、抱え込まずに助けを求める発信力。課題を解決したいという想いでの建設的な批判力(本当は言わずにやり過ごしたい中、やり過ごせない性格。悪く言えば出る杭だが)
・プログラミングスキル_想定していた範囲でのプログラミング知識の習得

(足りなかったところ・課題)
・継続性・一貫性
_前述通り、仕事とのバランスが取れなくなり(マインド面で)、一貫性に欠けてしまった。0か100かの根本的特性が影響
・チームビルディング_クラス貢献できていない自覚あり。プログラミングスキルの低さと、マインド面の余裕のなさから

(解決策・今後のアクションプラン)
やはり、課題の根本原因はマインド面から。これからも人事としての『This is Me』を強く持ち続け、視野を広く持ち続け、様々な世界感を受け入れる柔軟性を保ちつつも、揺るがない信念をさらに強化させていく必要がある。

総じて、ここまで内省できる機会が得られ、ジーズ・アカデミーに入学・卒業でき本当に有意義な時間を過ごすことができたと思う。今後もクライアントに付加価値を提供し続けられるよう人間力、ビジネススキルの醸成を行い続けたい。人に恵まれ、見えない何かに導かれ、これまでも幸運に恵まれてきたのは、人としての原理原則に沿い、目の前のことを愚直にやり続けてきた結果だと思う。将来のビジョンやでっかいセカイではないけれども、これからも目の前のリアルな世界に徹底的に向き合い、自分のやるべきミッションを続けていきたいと思う。

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