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創作文

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我喜歡你(下書き供養)2019/11/23

「おまえのこと好き」
ごめん、なんて愛の言葉の次に謝罪がついてきて、驚いてしまった。
”まあ、いつものことか。”なんて、無理やり腑に落とした。
この人は自己肯定感が欠乏しているから、自分自身のことを受け入れられない人間なのだ。
だからきっと、戸惑っているのだと思う。
自分を愛せないのに、他人を愛するというのはとても複雑だと、わたしは考える。
自分自身を愛せないから、自分が愛しているひとから好かれる

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落ちて生く

落ちて生く

元通りになることはない。
壊れてしまったものは、元通りにはならない。
頑張って作った砂の塔は思ったよりもあっけなく、人差し指で触れただけでさらさらと崩れていった。

ーーーーー

熱を持ったノートパソコンのように、頭がとても熱くて、バグを起こしたかのように頭が回らない。

コップに注いだ液体を一気に飲んで、体を冷ます。

睡眠導入剤を4日分ほど、アルコールで流し込んだ。
あとは眠るだけ。
ここ最近

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【よみもの】夜を超えろ

【よみもの】夜を超えろ

シングルの薄っぺらい布団に残った香り。
夜遅く、毛布を被って思いっきり息を吸う。むせるくらいに腹にちからをこめて。
鼻をくすぐるのはもちろん自分の匂いではなく、連泊していった想い人のものだ。

朝が苦手だから、日がよく入る窓辺に頭を向けられるように枕を配置する。今日も月明かりがこの部屋を照らしている。きのうはふたつの影が重なっていたけれど、今日は自分の影ひとつ。
起き上がって窓辺に寄り添う。昨

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よみもの「鍋底の焦げでも食ってろ」

よみもの「鍋底の焦げでも食ってろ」

喫煙所。隣は非喫煙者の女友達。
吸わないのになんでここにいんの。外で待ってればいいのに。

彼女は突然、軽く音を立てて息を吸って、なにか深刻そうな顔して
「さいきん、貧血がひどい」と、ゾンビみたいな顔して嘆いた。
うん、おまえ明らかに貧血って顔してるよ。

「なんで?夜ふかしでもしてんの?」
「いや、わかんないけど」

心底どうでもいいような気もしているけど
なんだか放っておけない彼女に
「明日さ

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尖った芯

尖った芯

先がつん、と尖っていた鉛筆の芯は、絵を描くごとにどんどん丸くなっていく。カッターナイフでまた削り、尖らせて、また描き始める。
しばらく描いていれば、また丸くなる。さあまた鉛筆を削らねば。と、その繰り返しで白紙を埋めていく。すこし余白を持たせると雰囲気が出る。
歌を作るのもたぶんそれと同じようなことだと思った。

わたしは「幸せは途切れていく」と、「ゆうやみ」という歌の歌詞に書いた。
その曲はまだ製

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ゆうぐれの白昼夢(メモ)

ゆうぐれの白昼夢(メモ)

(昼寝中の猫の夢から連想した、曲。になる予定です)

夕焼けのデイドリーマー
昼寝中の夢を救ってくれ
悲しみのデイドリーマー
あなたの声で目覚めたい

本当は自炊なんてしてない

蛇口をひねり、やかんに水を入れる。
これはケトルに変えたい。
今すぐティファールにかえたい。
カップ麺のフィルムをめくる、
かやくとスープを取り出す、
かやくを麺の上にあけ、お湯を線までいれる。
蓋の上でスープの小袋を温める。

3分たったら、即席麺ができあがる。

「オマエさ、自炊したら?」
「たまにしてるんだけどな。このカップ麺の安い味が好きなんだよ」

ワインレッドの艶、指先に。

あの娘の爪はいつも派手。
ネイルアート、とかナントカ。あぁいうのしてる子は大人に見える。
わたしもああやって、爪に色を乗せれば大人になるのかなぁ。なんて考えて、コンビニで血豆みたいな色?多分ワインレッドというもののネイルを買った。
コンビニ袋をガサガサ言わせながら帰宅する。
心はなんだかほくほくしている。

ブラックコーヒー

ブラックコーヒー

喫茶店、奥の席。ついてすぐに注文。

アイス…えっと、ブラックでお願いします。

すっきりと、苦い。少しだけ酸味があって、そして奥が深い味。
この琥珀色の飲みものはいつも、アイスの無糖と決めている。
と、彼は言う。

「苦いな」
「なら飲まなきゃいいじゃん」

「いや、いいんだ」

「じゃあ文句言わないでよ」

「文句じゃねえよ」

わたしのは、お砂糖たっぷりで、ミルクもたっぷりだ。

この男のい

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袖丈

覚束ない足取りで改札を抜けて

人の少ない5番ホームに向かう。

地元密着の単線から見える景色はすっかり春になって

心躍る半面、桜を通して季節を見送ることに切なさを感じます。

似合わない厚底シューズに強がりを詰め込んで大きなカバンには不安を詰め込む。

抱え込むような性格でもないけれど、ひとになにか核心みたいなものをつたえるのは苦手だ。それなら無理に話さなくていいかなって思考で。

何を伝えた

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歌詞無題

歌詞無題

あなたを守らなくっちゃ
そう思うんだ
あなたは穏やかに
また嘘をつく

あなたの強さを
信じている
あなたの寂しさを
包んであげたい
そう思うのは
間違っているかな

消えかけの灯火を
守るようにして手をかざす

例えようのない孤独に
ぽっかりと空いた穴
そんな闇の中でも
そばにいるから
隠さないで
その運命から
あなたを守ってみせるさ

ーーーー

夜明けとブロンド(歌詞原案)

夜明けとブロンド(歌詞原案)

月明かりに輝くアッシュブロンド
うつむきがちな寂しい瞳が
こちらを見つめていても、君の強さは変わらない。

わかってる
きみは強いけど、誰よりも傷つきやすくって繊細だから

もしも、傷つきすぎたその手のひらが
あたりまえの優しさに抱きしめられていたならば…。

ううん、考えるのはよそうか。
きみはきみだから。

どうか、その寂しさを隠さないでほしい。
いままでの悲しみを、忘れずに。
染み付いた傷跡

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無題

この雪が融ける頃には
すべて忘れて
生きているのだろう

あてにならない
そんな言葉はいらない
僕は手紙を書いて
そして君とまた出会うのだろう

君の涙を
ここで拭ったことも
きっと忘れてしまうから
この雪が解ける頃にはこの雪が融ける頃には
すべて忘れて
生きているのだろう

グッドバイ

グッドバイ

例えようのない孤独
行き場のない思い出すらも
きみは包み込むよう
抱きしめてくれる

この心が
暗く、落ち込んでしまって
いつか泣いてしまったなら
きみはきっと優しく微笑むだろう

傷つけすぎたこの手が
あたりまえのような暖かさを知っていたのなら
僕はあなたを抱きしめてあげられただろうか

春の風に憩わせるように
きみはそっと笑う
「ひとりじゃない」って
幸せに、なってもいいかな
ぼろ

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