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【NML】Vol.2_神谷年幸さん (ジャズ喫茶「グッドベイト」マスター)

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神谷 年幸(かみや としゆき)
「グッドベイト」マスター。様々なジャズ雑誌への寄稿、ローカルラジオ番組「FMジャズ喫茶Pitch」では新旧問わずオススメのレコードを紹介。好きなアーティストはエリック・ドルフィー。

知立市を横切る国道155号線から少し脇道に入ると、ジャズ喫茶「グッドベイト」はあります。マスターの神谷さんは大のレコード収集家で、お店にはなんと4万枚以上のレコードがあり、この所有数は個人でも団体でも日本一なのだそう。そんな神谷さんの素顔に迫ります

中学から集めていたレコードで
ジャズ喫茶をオープン

–まずは神谷さんについてお尋ねしてよろしいでしょうか?  
神谷さん 現在69歳、知立で「グッドベイト」をオープンさせてからもう47年です。趣味は音楽鑑賞と釣りと自動車鑑賞ですね。毎週土曜日の22時からは、地元のラジオ局の番組に出演していて、いろいろなジャズを紹介しています。あと依頼があった時に「ジャズ批評」とかいろいろな雑誌へ寄稿しています。  

–超メジャーな媒体ですね。改めて神谷さんの凄さを感じるんですが…。お店には大量のレコードがありますが、いつ頃から集めていたんですか? 
神谷さん
中学1年生からですね。当時はラジオを聴いて、録音して何回も聴いていたりしたけど、やっぱり好きな曲は手元に置いておきたいじゃないですか。月に1〜2枚、ご飯を買うのも我慢して買い集めていました。父に頼んでプレーヤーも買ってもらって。 

–その頃からジャズを? 
神谷さん
いえ。初めて買ったのはビートルズ。他にはローリング・ストーンズとか、小さい頃はいわゆるブリティッシュロックが好きでした。今はもうなくなってしまったんですが、地元のレコードショップに行くのが楽しみでしたね。 

–レコードに目覚める前は何をしていましたか?
神谷さん
中学は柔道部。意外でしょ?でもすぐやめちゃったんだよね、ある時、当たりどころが悪くて目から血が出る大怪我をしてしまって(笑)。高校に入ってからは美術部。卒業後はデザイン学校に通ってポップアートを勉強してました。ジャズを聴き始めたのは高校3年生くらい。

 –どうりで店内がおしゃれなわけですね!レコードは気軽に買えるものではなかったと思うんですが、どんなところに惹かれましたか? 
神谷さん
ラジオが音楽を聴く手段の主流だったから、ラジオと違って自分の好きな時に好きなだけ聴けるところがよかったんだよね。歌い方とか、楽器の弾き方も真似してみたいっていう気持ちがあったから、歌詞カードを片手に飽きるほど聴きました。初めはさっきお話しした地元のレコードショップで購入していたけど、だんだん珍しい盤が欲しくなったり、安く手に入れる方法はないかって考えるようになって。名古屋や京都のレコードショップまで足を運んで、度々レコードバーゲンに行っていました。これが家族旅行みたいなもんで。子どもたちには申し訳なかったけど(笑)。

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▲普段は入ることができないレコード室を特別に見せていただいた。棚は数メートルにもなる。アーティストごとにインデックスがつけられて管理されている

–そんな神谷さんですけど、実はグッドベイトを始める前に、企業に就職していたんですよね? 
神谷さん
そう。19歳で地元の広告代理店に就職して4年くらいは働きました。小さい会社だったので、営業もライティングもデザインも全部1人でやらないといけなくて。しかも、新人の私に社長とか部長とかトップクラス相手の営業ばかりで、正直ストレスが…。今だから言えるけど、午前中に仕事を全部終わらせて、午後からはジャズ喫茶めぐりをする時間にしてた(爆笑)。そうやって息抜きしてたけど、やっぱり続けるの難しいなあと感じるようになって。そうなった時にこれから何がやりたいかって考えたら、レコードをその時700枚くらい持っていて、ジャズ喫茶って居心地いいなあと思っていたので、ジャズ喫茶を始めようと。グッドベイトのお店を建てて思い切って退職しました。

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