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会社員を卒業したら正論嫌いになった話

正論とは「理にかなった正しい論」。今日は、呪術廻戦の五条先生なみに正論が嫌いになったというお話です。日々「経営者って何考えてるか意味わからんよね・・」とあきれている従業員の方やコンサルタントの方にむけての、ちょっとしたexcuseです。

正論バンザイの経営企画時代

私はこれまでのキャリアの大半、会計・ファイナンス、経営企画と、表計算ソフトで数式を組みまくったり、ビジネススクールで経営学をやったり(当時の振り返り夏休みに出産しながら大学院に通った話) ロジックガチガチの世界にいました。

勉強した経営学を使えるのがうれしくって、その後に就いた上場企業の経営企画でも、正論バンザイ状態!
自社の分析をするにも、厳しい状況の中小企業さんに対しても(中小企業診断士です)「業績がよくならないのは、経営学を学んできちんとそのとおりに実行しないから。」などという正論をのたまっていました。

起業したらぶっ飛んでいった正論

それが一転、自分が(アクシデントでほぼクビのように💦)会社員を卒業したとたん、あんなに正論正論と言っていた私から、正論がぶっ飛んでいってしまいました。

なぜならが、正論では一銭も稼げないことが身にしみて分かったから。
これまで慣れ親しんだ正論の経営学、例えばマーケティングやビジネスのフレームワークなど、確かにビジネスプランコンテストの応募ではすごいパワーを発揮しました。そして、ビジネスモデルを説明するためのコミュニケーションツールや、頭の整理としては使えます。でも、美しいビジネスモデルを書くだけでは、当たり前ですが一銭も生まれない

そして、正論で考えた通りに実行しても、すぐに想定外の問題にでくわす。例えば、「こんだけ営業したら最低30人ぐらいお客さん来るだろう」と仮説をたてたところ、やってみたらゼロ・・みたいなことは日常茶飯事・・

正論がだめなのではなく、道端でのビラ配りでも飛び込み営業でも、泥臭く、手を動かしては仮説を修正しながら、道を切り開くこと。それこそが、机上の空論で正論を述べるよりよっぽど大切だったのです。

もうひとつ気づいたのは、経営者になったら1日25時間、考えるのは経営のことばかり。そうすると、私がえらそうにのたまっていた正論の大半など、すでに頭の中でシミュレーション済み。正論を話すヒマなどないと、泥臭く手を動かし、仮説修正を繰り返しているのです。

今まで好き勝手に正論を主張させていただいた経営者のみなさん、本当にすみませんでした!と、自分で事業を始めた途端、土下座をしたい気持ちでいっぱいになりました。

尊敬する経営者さん達にも多い正論嫌い

周囲の尊敬する起業家さんや経営者さんからも、以前から正論ぎらいな方ちょくちょくおられました。

マーケティングは嫌いだからやらん!」とおっしゃる社長さん。マーケティングをしないのに、消費者に刺さる、こだわりの商品を全国で販売されておられます。

「大企業がやらない面倒くさいことをしないと中小は生き残れない」とおっしゃる起業家の先輩。
以前の私なら「面倒くさいことは人件費がかかって収益性が悪いのでは」などと言っていたでしょうが、この「中小企業は面倒くさいことをすべき」本当に正しいです。

またこの方は、事業も軌道にのせられ、メディアなどにもよく取り上げられるのですが、起業される前のエピソードで、「起業の際に何人かの中小企業診断士の先生に相談したら、『こんなん儲からないから辞めとけ』と言われた」そうです。

それを聞いて「え・・それ私ちゃう?」(当時出会ったことないし違います)とドキドキ💦そのエピソードを聞く度に、以前の私を思い出して、たくさんの経営者さんや起業家さんに謝りたい気持ちでいっぱいになります。

正論嫌いハラスメントしたらすみません!

最近、「ロジハラ」と呼ばれる、正論を突き付けて相手を追い詰めるハラスメントがあるそうです。

私も含む、正論嫌いな経営者は、この反対の、「正論嫌いハラスメント」をやっているかもしれません。
私はたまにダンナに「みんなが善意で言ってくれるんだから、感謝してちゃんと聞け!」としかられるくらいですし・・ 

実はこれ、悪気はそんなにないんです。
正論がぶっ飛んでしまった経営者が常に考えていること。それは、どれだけ他との違いをだせるか常に正論の反対を考えるクセがあるんです。
経営者が「正論なんてつまらん!」というのは、この、正論の反対を考えるクセが口にでてしまっているだけで、悪気はないのです。たぶん。

なので「あの経営者、いつもへそ曲がりなことばかり考えてて可愛そうだね・・」と、生暖かい目で見守ってあげてください。

正論でものごとをフラットに考えるとすごく良いアイデアもあるはずです。なので、「ここぞ!」というときには、経営者の「正論嫌いハラスメント」に負けず、正論を言い続けてあげてください。

正論と正論嫌い、こんな多様性がぶつかってこそ、革新的なことが生まれるはずですから!

今日の教訓は、経営者って、正論嫌いになるくらいいろいろ大変だけど、おかげで、大好きな、目隠しをとった五条先生のこのカットが使えるネタが書けて本当によかったなということ❤️なんのこっちゃ(おわり)

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(サムネイルと上記マンガ引用:『呪術廻戦』8巻65話、芥見下々先生)

それではみなさん、良い週末を❗





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